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アジア随一のラグジュアリー客船「ゲンティン・ドリーム」が那覇寄港
ドリームクルーズの第1号船が日本初寄港
2017年4月10日 06:00
- 2017年4月4日 那覇寄港
香港のドリームクルーズが2016年11月に就航した「ゲンティン・ドリーム」が、那覇新港に4月4日に寄港した。翌日4月5日には宮古島・平良港に寄港。これが日本初寄港となる。
富裕層をメインターゲットとしたアジア初のプレミアムクルーズとして2016年に設立されたドリームクルーズ。その第1号船であるゲンティン・ドリームは、全長335m、総トン数15万トン、客室数1674、乗客定員3352名、乗組員数2016名という超大型客船。今回のクルーズには、約2700名が乗船したという。
4月2日に香港を出港したゲンティン・ドリームは、4月4日午後に那覇新港に入港。16時半の下船に合わせ、沖縄民謡の生演奏や、ミス沖縄、キャラクターのマハエちゃんがお出迎え。記念撮影をする姿が多く見られた。
17時過ぎ、船内に案内される。船内で歓迎式典が行なわれるのだ。
船内は豪華ホテルのよう。揺れなどまったく感じず船の中ということを忘れてしまう。エレベータで6階に移動、ステージが設けられたラウンジに案内され、席につくとウェルカムドリンクが振る舞われた。
式典に先立ち、男女のダンサーがステージパフォーマンスを披露。アクロバティックな動きに大きな拍手が送られる。
式典では、最初にドリームクルーズ社長のサッチャー・ブラウン氏が登壇。「ドリームクルーズを擁するゲンティン香港と那覇は、20年前から付き合いが始まった。スタークルーズは2008年から340回那覇に寄港している。今回は里帰りの気分。ゲンティン・ドリームが初めて日本をクルーズする記念すべき日の最初が那覇であることをうれしく思う。海の上で豪華な暮らしを送りながら、宝の島である沖縄、宮古島までの旅を楽しめる。急成長中のラグジュアリー市場に、最高のサービスと利便性を提供できるクルーズ」と挨拶し、今後のクルーズ市場のさらなる活性化への意欲を語った。
また、夏には船上で沖縄の芸能や食などを楽しめる祭りも開催することを発表した。
続いて沖縄県を代表して文化観光スポーツ部長の嘉手苅孝夫氏が登壇。うちなーぐち(沖縄方言)での挨拶を通訳者が訳せず、会場の笑いを誘った一幕も。ゲンティン・ドリームの那覇への寄港をうれしく思うと述べ、「沖縄県の観光産業にクルーズは欠かせない。受け入れ体制の整備も最大限努力していく」と語った。
続いて記念品の贈呈式が行なわれた。
ドリームクルーズから沖縄へ、ゲンティン・ドリームの1/600スケールの模型が、また沖縄からドリームクルーズへは紅型(びんがた)のタペストリーが贈られた。さらにゲンティン・ドリーム船長から那覇市へ、アート作品「愛する人の夢の旅」が、那覇市からゲンティン・ドリームへ琉球ガラスの盾が贈られた。
このアート作品に描かれた「愛する人の夢の旅」は、上海出身のアーティストであるジャッキー・ツァイ氏によるもので、宇宙飛行士とマーメイドの愛がテーマとなっている。ゲンティン・ドリームの船体に描かれているのはこの絵なのだ。また、船内にもこのストーリーが描かれている箇所がある。
引き続き、鏡開きが行なわれた。紅型をデザインした法被をまとい「よいしょ」の掛け声で入槌。
式典終了後、サッチャー・ブラウン社長へのインタビューが行なわれ、4つの質問が投げかけられた。
――今後の需要をどう見るか?
ブラウン社長:新しい船は努力が必要だが、ゲンティングループのスタークルーズやクリスタル・クルーズで培った関係を活かし、運営していきたい。
これから沖縄は一番よい季節になるので、需要が伸びる可能性を持っていると期待している。
――日本の寄港地になぜ沖縄を選んだのか?
ブラウン社長:那覇とは1990年代から関係を築いてきた。その成功が一番の理由だ。
また沖縄には、独特の文化、歴史があり、ホスピタリティも高い。旅行者にとっても刺激のある旅を楽しんでもらえると思う。
――今後の運航スケジュールについては?
ブラウン社長:夏は那覇・宮古へのクルーズを引き続き行なっていく。年末にはシンガポールを母港とし、ペナンやプーケット、スラバヤ、バリなどを巡る5日間の旅を2バージョン企画している。
また今年11月には、「ワールド・ドリーム」を就航するので、こちらも面白い旅を計画している。
――沖縄に期待することは?
ブラウン社長:沖縄は大型クルーズに対して迅速に対応してくれている。利便性、効率性も検討してくれている。それは、クルーズ市場が大きいと理解してくれているからだろう。当方には世界の港について知見を持っているので、アドバイスやガイダンスをする機会を増やしてほしい。
「ゲンティン・ドリーム」の船内
その後、数ある施設のなかからいくつかをピックアップして船内見学が行なわれたが、どれも洗練されたワンランク上のものばかりだった。レストランやバーをはじめ、スパ、ショップ、ライブステージ、ジム、カジノなど、まさに船の中に一つの町ができているようだ。
客室は、船内でもっとも大きなVIPルームを見学した。224m2あるという部屋は、船内に2室のみ。グランドピアノまで置かれていて驚くばかり。
船上デッキにはプールをメインとしたアクティビティがある。VIP専用のプールを見せてもらった。
船内の施設が素晴らしいがゆえに、乗船客にとっては下船してからの町に対しても期待が大きいだろう。ブラウン社長は沖縄のホスピタリティが高いと褒めてくれたが、もっと努力が必要ではないかと感じた。例えば、取材後に乗ったタクシー運転手の話では、ちょうどゲンティン・ドリームのお客さんを乗せたそうだが、日本の現金を持っておらずショッピングセンターで両替をしようとしたところ、両替機内の日本円のストックが足りず利用できない状態になっていたそうだ。
一気に3000人もの外国人客を迎える(ほかにもクルーズ船が寄港しているので、実質人数はもっと多い)ことは十分理解しているはず。起こり得る事柄について、早め早めの対応を打っておくことが必要だろう。