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ピーチ、機内販売でフォルクスワーゲンの“ピンクのビートル”「#PinkBeetle Peach Edition」を5台限定販売

ビートルのラッピング機も運航

2016年11月9日 発表

 ピーチ(Peach Aviation)とフォルクスワーゲン グループ ジャパンは11月9日、関西国際空港の格納庫で共同記者発表会を開催。顧客層の拡大と新しいライフスタイル提案を図る両社のブランドコラボレーションを発表した。

 発表会には、コラボレーションの企画で生まれた飛行機とクルマが並び、両社の代表である、ピーチ 代表取締役CEO 井上慎一氏、フォルクスワーゲン グループ ジャパン代表取締役社長 ティル・シェア氏がスピーチを行なった。

関空の格納庫で実施された発表会には、ピーチのラッピング機と、フォルクスワーゲンのビートルが並んだ
Peach Aviation株式会社 代表取締役CEO 井上慎一氏
フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長 ティル・シェア氏

 ピーチ 代表取締役CEO 井上慎一氏は今回のコラボレーションを「世界的な自動車ブランドで、クルマのデザインも高い支持を受けているフォルクスワーゲングループジャパンと、女性ユーザーに高い支持を頂戴している新しい概念の航空会社、ピーチとのコラボレーションが実現する」と説明。

 さらに、「移動や旅をすることの楽しさを、より多くの人に感じていただきたいという共通の思いから実現した。“People's Car”として常に人を中心に、安全で安心なクルマを提供することを目指し、モビリティの民主化を牽引するフォルクスワーゲン。ヒト・モノ・コトの交流を深めるアジアの架け橋を目指す、旅の日常化をテーマに空飛ぶ電車として新たなライフスタイルを提案するピーチならではのコラボレーション」と、両社の理念がマッチしたことによるコラボレーションであることをアピールした。

 その取り組みの第1弾として、「ラッピング機の運航」「関空のランプカーにピンクのビートルを使用」「機内販売専用限定車の発売」「搭乗時に配布しているフリーペーパー『Peach Live』でのフォルクスワーゲン車を利用したコンテンツの発信」という4つの取り組みを行なうことを紹介(取り組みの詳細については後述)。

 最後に「このコラボレーションにより、気軽な空飛ぶ電車での旅のプロセスを、女性を中心にもっと楽しんでもらえると確信している」と結んだ。

 フォルクスワーゲン グループ ジャパン代表取締役社長 ティル・シェア氏は、冒頭で「スピーチをする機会は何度もあったが、フォルクスワーゲンのロゴや商品がラッピングされた機体の前でスピーチするのは初めてで、誇りに思う」と挨拶。

 そして、「空でのモビリティを専門とするピーチ、地上でのモビリティが専門のフォルクスワーゲン。“People's Car”ブランドのフォルクスワーゲンは、当初より人々に安全なモビリティを手軽な価格で提供するミッションがある」としたうえで、「しかしながら、海に囲まれた国には人々の地上のモビリティに限界がある。ピーチは空飛ぶ電車をミッションとして定義し、国境を越える手段をより多くの人に手頃に提供してきた。地上であれ、上空であれ、モビリティの民主化こそが我々の2つのブランドの共通点。商品やサービスをよりアクセスしやすいものにすることで、数多くの人々にとって日常の楽しみが高まる」と、コラボレーションの経緯を説明した。

 また、会見後の囲み取材では、「本当に多くの点で、(両社の)利用者は同じアイディアを共有していると思う。人々はより大きなモビリティ、自由を求めている。両社ともそのような自由なモビリティを提供している点で共通している。モビリティを提供するだけでなく、9月に最新のビートルをお披露目したばかりの私たちにとって重要な車種で、このようなご縁ができて、大阪でピーチの皆さんとコラボレーションできることは素晴らしいこと。両社は利用者がフィットしており相性がよい」と、井上氏同様に共通の理念を持っている会社同士のコラボレーションであることをコメントした。

記者発表会でのフォトセッション

コラボレーションで実施する取り組み

 今回のコラボレーション第1弾は「ピーチのコーポレートカラーであり、女性にも人気のカラーである“ピンク”をキーワードに展開する」(井上氏)と紹介しているとおり、ピンクにちなんだ企画が実施される。

フォルクスワーゲン ビートルのラッピング機の運航

 1つ目は、ピーチが運航するエアバス A320-200型機の1機(登録記号:JA817P)に、フォルクスワーゲンのロゴと、ビートルをラッピングした機体を運航。国内線、国際線で11月10日以降に運航を開始する。運航期間は6カ月を予定している。

 機体前方には、ピーチ本来のカラーリングの曲線に沿って走るビートル2台、機体後方にはフォルクスワーゲンのロゴと、ビートルがラッピングされる。

フォルクスワーゲン ビートルのラッピングが施されたピーチのエアバス A320-200型機(登録記号:JA817P)
機体前方には、ピーチの塗装にある曲線に沿って坂を下るビートル
機体後方にはフォルクスワーゲンのロゴと、ビートルをラッピング

 井上氏は「ラッピングは目立つので、よいPRになるのは過去の経験からも分かっている。ただ、私たちは機体でメッセージをお伝えしたい。単にフォルクスワーゲンのラッピングというだけではなく、それを通したメッセージをお客さまに伝え、弊社の顧客層に響くようにしたい」。

 シェア氏は「ピーチに私たちのロゴやクルマがラッピングされているのを見て、たいへん誇りに思った。これは、日常生活のモノの考え方をさらに押し広げられるようなものではないかと思う。こういうアイディアどうか? と私のところに企画が持ち込まれたとき、今までは全然違う、日常生活の普通の考えを凌駕できると思った」と、ラッピング機について囲み取材のなかでコメントしている。

限定車「#PinkBeetle」をピーチが使用する関空のランプカーに導入

 フォルクスワーゲンはこのコラボレーションに合わせて、9月に発表した新型ビートルをベースにしたピンクのモデル「#PinkBeetle」を300台限定で発売する。新型ビートルは8色のボディカラー、インテリアカラーを選んでコーディネーションを楽しめることが一つの特徴で、そのカラーリングに新たな1色が加わることになる。すでに米国、カナダ、ドイツなどヨーロッパの一部では展開しているという。

 この製品名は「ハッシュタグ・ピンクビートル」と読む。シェア氏は「(2015年のニューヨークオートショーで披露したあと)米国のSNSで大きなバズを起こした、ハッシュタグ・ピンクビートルが正式な車種名として採用されることになった。フォルクスワーゲンの製品名に“ハッシュタグ”の名前が付いたのは今回が初めて」と説明している。

 このカラーは「フレッシュフクシアメタリック」という、やや紫がかったピンク。フクシアの花をイメージしたピンクで、アルファベット表記はFuchsiaで、英語風の発音では「フーシャ」となり同義の言葉。つまり、ピーチが機体に採用している「フーシャ」のピンクと同じフクシアの花に由来するピンクとなっている。この一致は今回のコラボレーションのためではなく、お互いがそれぞれ製品化したものが偶然一致したもの。

300台限定で販売される「#PinkBeetle」
車内もダッシュボードまわりやドアの内側のデザインに、ピンクをアクセントに施している
エアコンの吹き出し口やハンドルのアクセント
カーナビの周囲にもピンクをあしらっている。このカーナビはフォルクスワーゲン純正ナビの「716SDCW」
イグニッションスイッチもピンクの刻印
チェック柄にピンクをあしらった専用のファブリックシート
フォルクスワーゲンでは同日、1.4リッターTSIエンジンを搭載したビートルの新グレード「R-Line」も発表(写真手前のグレーの車両)。詳しくは僚誌Car Watchの記事を参照されたい
R-Lineに搭載される1.4リッターTSIエンジン
発表会では新型ビートルの8色のカラーラインアップが勢揃いした

 井上氏は#PinkBeetleについて、「弊社のブランディングとピッタリ。すなわちキュート&クール。色は、弊社のためにわざわざ作った色ではなくて、フォルクスワーゲンが持っていた色ということで、縁を感じた。ブランディングも、色も共有できる。加えて、フォルクスワーゲンのコンセプト、“People's Car”、皆さまのクルマだと。弊社も同じような意味の空飛ぶ電車。経営理念も含めてうまくシェアできるよいパートナー」とコメント。コラボレーションから生まれた色の一致ではなく、色の一致がコラボレーションの大きなきっかけになった。

 そして、この#PinkBeetleを、ピーチが関空で利用するランプカーとして5台を導入することを発表。6カ月にわたって、空港内を走ることになる。基本的には#PinkBeetleをベースに、「Peach」のロゴをラッピングしたもの。ちなみに発表会の展示では、両社のロゴが並んだナンバープレートが付けられていたが、ランプカー使用時には外されるという。

 このランプカーへの採用についてシェア氏は「ビートルはフォルクスワーゲンにとってもアイコン的な車種で、形が特徴的で、長年日本の市場にも導入されて定着しているクルマ。今回の色、ピンクはとてもイメージのよいもので、前向きなよいイメージを連想させる。そういうかわいらしい形の、かわいらしい色のビートルが、ピーチのスタッフの方が乗って空港中で頑張って仕事をしている姿を見て、人々は好きなるはずだし、思わずニコッと微笑みが生まれると思う」と喜びを示した。

 一方、井上氏も「一つのメッセージを込めたい。ピーチが現われたとき、ピンク色の機体は期待していないなかで登場し、航空機のデザインに一つの新しい風を吹き込んだと思っている。そういう視点で空港全体を眺めると、ランプカーは地味な存在だが、これもお客さまを楽しませることを付加できるんじゃないかと考えていた。そういう意味で最高のクルマをご提供いただいた」と、乗客や来訪者の反応を楽しみにしているとした。

ランプカーとして導入されるPeachロゴ入りの#PinkBeetle
発表会では両社のロゴ入りナンバープレートが付けられていた

5台限定の機内販売専用限定車「#PinkBeetle Peach Edition」発売

機内販売される5台限定車「#PinkBeetle Peach Edition」

 さらに、#PinkBeetleをベースにした「#PinkBeetle Peach Edition」を、ピーチ機内で販売。限定5台(先着)で、販売期間は12月20日まで。価格は307万円。

 #PinkBeetle Peach Editionは、ピーチのロゴとブランドカラーのストライプをボディ側面に追加。専用の17インチアルミホイールが標準装備したもの。さらにピーチポイント10万円分もプレゼントする。

 ピーチの機内にリーフレットが置かれているので、興味がある人はCA(客室乗務員)に相談する。申し込みWebサイトのURLが書かれた「カード」が渡されるので、降機後にそのWebサイトから申し込みを行なう仕組みとなっている。

ピーチ機内に用意されるリーフレット
リーフレットにはコラボレーションのラッピング機も掲載。裏面には#PinkBeetleの説明
購入したい人は機内でCAに相談すると、写真右のようなカードを渡される。このカードの裏面に購入申し込みWebサイトのURLが記載されている

 クルマの機内販売という取り組みについてシェア氏は、「おそらく自動車会社と飛行機会社がコラボレーションするのは前例がなかったと思うし、飛行機のなかでクルマを販売するのもなかったと思う。今まで誰もやってこなかった新しいことをやろうという企画」と、セールストークよりも企画そのものの斬新さをアピール。

 井上氏は「ピーチはこういうことが大好き。すべてにおいてファーストムーバ-でありたいと思っている。機内でクルマを売ることは、お客さまに「ワオ!」をお届けすることだと思う」と、この取り組みが行なえることに喜びを示した。

井上CEO「飛行機に乗ることそのものに加えて、乗る前、乗った後も旅の喜びを」

両社の代表は、ともに共通のテーマ、理念を持つことをアピール。Peach Aviation株式会社 代表取締役CEO 井上慎一氏(左)とフォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長 ティル・シェア氏(右)

 今回の取り組みについて、空のモビリティ、地上のモビリティというキーワードがキーワードが挙がったが、両社それぞれの主要顧客層に対しての旅の提案、メッセージを尋ねた。

 井上氏は、「ピーチは20~30代のお客さまが56%と若い方が多い。特に女性にターゲットしていて、その女性たちがいま、ピーチを使って自分のライフスタイルをどんどん広げていく、新しいムーブメントを起こしている。それを体験しているとき、単に飛行機で移動するだけではなく、飛行機の移動というそのものを楽しんでいる。

 今回のフォルクスワーゲンとの提携で、飛行機に乗る前、あるいは乗ったあとに、旅行先で同じように移動そのものを楽しむことができる。彼女たちは、旅の喜び、出会いの喜び、リアリティも大事だと彼女たちが発見して発信している。そういうムーブメントが今回の提携によって、さらにドライブがかかる気がしてならない。そういう意味で本当に今回のコラボレーションをありがたく思うし、楽しみ」と、特に女性の旅の楽しみ方の拡がりに期待を寄せた。

 シェア氏は、「現在ビートルの購入層は、男女比で50%ずつ。40~50代がほとんどで、今回のコラボレーションを通して、より若い層を狙いたい。さらに、限定の#PinkBeetleで、女性のお客さまにもアピールしたい。クルマを購入するきっかけになれば」と、ピンクの導入は女性へのアピールであると説明。

 一方で、「いま現在、ビートルの購入される40~50代の方も、心はたいへん若い方で、なにか新しいこと、違うことにトライしたいお客さまがいらっしゃると思う。そうした新しいことを求められるお客さまにもアピールできれば」と、既存の主要顧客への提案にもつながることに期待した。

 さらに、このシェア氏の発言を受けて井上氏は、「今の(実年齢は40代以上だが)“Young and Hot”の方たちは弊社をご利用になりつつある。いわゆるアクティブシニアというが、定年退職された方が楽しんでいる。シニアと申し上げるには気が引ける元気な方多く、例えば休日にピーチに乗ってサーフィンに行く人や、おやじバンドでツアーをやっている方、ご夫婦もいらっしゃる。皆さん元気な方なので、今の話を聞いて“合うな”と思う」と、この部分でも両社の共通性を見出していた。