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【ハワイ ツーリズム カンファレンス 2016】「データで紐解く日本人の消費行動履歴」など4つのセミナーを開催

2016年9月29日(現地時間) 開催

米国ハワイ州ホノルルにおいて開催された「ハワイ ツーリズム カンファレンス 2016」が9月26日~30日にハワイコンベンションセンターで開催された

 米国ハワイ州ホノルルにおいて「ハワイ ツーリズム カンファレンス 2016(The 2016 Hawai'i Tourism Conference)」が9月26日~30日にハワイコンベンションセンターで開催された。このなかでは数多くの講演やツアー、セミナーが組まれていたが、本記事では29日にハワイ州観光局の主催によって行なわれた4つのセミナーをお届けする。

 セミナーは、「富裕層マーケティングと日本人顧客の求めるサービススタンダード」(登壇者:Forbes Japan編集長 高野真氏、すし匠 中澤圭二氏)、「アジアマーケットの特性とハッシュタグマーケティング」(登壇者:INFORICH 秋山広宣氏(STEPHEN YAT WAH CHAN氏)、「データで紐解く日本人の消費行動履歴」(登壇者:JCBインターナショナル ホノルル支店長 鮎沢孝氏)、「ワークライフバランス ヘルスケア&ウェルネス構想」(登壇者:ディー・エヌ・エー Corporate Wellness Specialist 平井孝幸氏)の順で開催されたが、旅行業界向けの側面も強い。日本の旅行者にとっても興味深い「データで紐解く日本人の消費行動履歴」から紹介していく。

日本人の消費行動の分かれ目は1ドル105円?

JCBインターナショナル ホノルル支店長 鮎沢孝氏

「データで紐解く日本人の消費行動履歴」と題したセミナーを行なったJCBインターナショナル ホノルル支店長 鮎沢孝氏は、JCBに1991年に入社。JCBに入社したことを周囲に語ったら「JTBか?」と勘違いされたなど、セミナーの聴衆である旅行関係者が興味を引くよう配慮しつつ、日本人の消費行動履歴について語り始めた。

 このセミナーのベースとなっているデータは、クレジットカードであるJCBユーザーの行動履歴となり、それを鮎沢氏が独自に分析したものだという。そのため、これはJCBとしての見解ではなく、ホノルル支店長として勤務する鮎沢氏の仮説であるとのことだ。

 ご存じのようにJCBは日本の会社であり、日本の会社として唯一の国際カードブランド「JCB」を展開している。ハワイに進出したのは1990年。ワイキキトロリーのピンクライン乗車時にJCBカードを見せると無料で乗ることができるなど、ハワイにおいてさまざまな独自サービスも展開している。

JCBについて

 鮎沢氏は1枚目のデータ分析として、円ドルレートとJCBのハワイでの売上高を示し、その相関性に言及。一般的に円高ドル安になると売上高は増え、その逆である円安ドル高になると売上高は減るという。また、月による違いもあり、12月だけはそのような為替レートを気にしない人たちがハワイに訪れているという。12月は年末年始の休みなどハワイへの旅行費が高額になりがちで、それをものともしない人が訪れていることから、売上高の高い月になっているとのこと。

為替レートと消費の相関関係

 では一般的な人たちの消費行動のマインドが変化する為替レートはというと、「分水嶺は105円くらいかな」と、鮎沢氏は語る。これより円安だと消費行動は冷え込み、これより円高だと消費行動が積極的になる気がするとのこと。詳細な分析は必要だがと前置きしつつ、鮎沢氏はデータに裏打ちされた肌感として消費行動の分かれ目を105円と捉えている。

 そのほか、季節別世代別の売上げデータも提示。一般的に夏はファミリー層が多く30歳代~40歳代が増え、秋はそれよりも若い層が増えてくる。50歳代以上の層はまんべんなくハワイを訪れており、これは夏休みの影響やハワイ旅行が安くなる秋という時期が影響しており、街中を見てもそれは感じるほどとのこと。

季節別世代別売上げ高

 アウトレット利用者の動向やデパート利用者の動向は、日本での購買行動とのクロス分析で示したり、アラモアナショッピングセンターでのレストランの利用度など興味深い分析を提示していた。

カテゴリー別消費

富裕層マーケティングやDeNAの健康への取り組みなど

「富裕層マーケティングと日本人顧客の求めるサービススタンダード」に登壇したのは、Forbes Japan編集長の高野真氏と、リッツカールトン ワイキキ ホテルに新たに寿司店をオープンした「すし匠」の中澤圭二氏。高野氏は資産十数億の不動産をハワイに所有しており、富裕層の行動を語った。「すし匠」の中澤圭二氏は、ハワイでビジネスをする難しさを語り、高コストになりがちなハワイでのビジネスをどう成り立たせるかなどについて、体験を交えつつその分析を示した。

Forbes Japan編集長の高野真氏(左)と、「すし匠」の中澤圭二氏(右)を紹介するプレゼン画像
対談形式で進行。着席位置は、左が「すし匠」の中澤圭二氏、右がForbes Japan編集長の高野真氏

「アジアマーケットの特性とハッシュタグマーケティング」に登壇したINFORICHの秋山広宣(STEPHEN YAT WAH CHAN)氏は、近年拡大するSNSマーケティングについて解説。秋山氏は、食品メーカーであるカゴメの香港マーケティングにも携わっており、その経験を元に日本企業の海外プロモーションを手伝っている。そのなかで、SNSマーケティングに着目しており、ハッシュタグを使った同社のサービスについて説明した。

株式会社INFORICH 秋山広宣氏
SNSの特色
INFORICHの展開する事業

「ワークライフバランス ヘルスケア&ウェルネス構想」の登壇者である
DeNA(ディー・エヌ・エー) Corporate Wellness Specialist 平井孝幸氏は、同社の紹介を行なったあと、開発者が数多く所属する同社の特色を紹介。いかに開発者に健康に興味を持ってもらうかに苦労しているという。

 その一環として、朝ではなく夜にヨガを行なうことや、会社で健康器具を販売したことを紹介。一定の効果はあったという。

 そのうえで注目しているのは、スーパーフードなどパワーのある食材が当たり前のように浸透しているハワイとのこと。DeNAの関連会社には旅行を取り扱うDeNAトラベルもあり、そのスタッフとハワイを視察した模様を解説。今後、ハワイを組み込む形でのウェルネスツーリズムなどを考えており、ハワイツーリズムカンファレンスを訪れた地元企業に連携を呼びかけていた。

株式会社ディー・エヌ・エー Corporate Wellness Specialist 平井孝幸氏
DeNAの事業紹介
ビジョン
歩く際のヒント
ダイエット(食事)、エクササイズ(運動)、メンタルヘルス(心)、睡眠についての社内セミナーを実施
社内には健康器具の置かれたエリアがある
朝ヨガならぬ夜ヨガ。開発者が多い企業のため、出勤時刻が不規則。そのため夜にヨガを設定
将来計画1。渋谷地域をベースとしたヘルスケア事業が経済産業省の採択事業として認められている
将来計画2。ハワイを舞台にウェルネスツーリズムを計画。そのための視察を行なっているという
最後に示されたスライド。エクササイズ、ダイエット、睡眠、メンタルヘルスの4テーマを重視して健康に関する意識を高めていくため、キャラクターも設定した