ニュース

インドネシア、バリに続く10カ所の観光地やビザ免除プログラムの最新情報紹介

インドネシアの旅行会社がセールスミッション

東京:2016年9月7日 実施

札幌:2016年9月9日 実施

 インドネシア共和国観光省・ビジットインドネシアツーリズムオフィスは9月7日、日本人観光客を誘致するためにインドネシア本国から旅行会社がプロモーションに来日してセールスミッションを東京で実施。同日、これを機とした記者会見が実施された。同セールスミッションは9月9日に札幌でも行なわれる。

 インドネシア観光省では、バリ、ジャカルタ、バタム島といった有名観光地以外にも訪問してもらうための取り組みとして、「グレーターバリ」「グレーターバタム」といった「グレータープロジェクト」を実施。さらに現在は、10カ所の観光地開発優先地域を設定し、プロモーションを強化している。今回のセールスミッションでも、これらの新たな観光地が訴求される見込みだ。

 ちなみに、インドネシア観光省ではこれまで、2015年度にインドネシアを訪問した日本人渡航者数を49万2077人と発表していたが、これを修正。ビジットインドネシアツーリズムオフィス日本地区事務所 チーフマーケティングオフィサー 高橋直美氏によると「これまで速報値を案内していたが、先頃、観光省統計局より確定値として発表され、2015年度の日本人渡航者数は52万8465人と、50万人を超えていたことが分かった」と発表した。なお、2016年の目標値である55万人は変更せず、この目標達成に向けて取り組む意向だ。

 記者会見には、インドネシア共和国大使館 情報部 一等秘書官のウィダニ・サユオカ氏も出席し、「観光省から最新情報や、新たな観光地のいろいろな情報を紹介する。観光業界の人にインドネシアに関する情報や最新のビザ制度、国の安全安心の情報も、詳しく聞いてほしい。特に2015年からの新しいビザ免除制度について、ますます日本人に知ってもらいたい」と挨拶した。

ビジットインドネシアツーリズムオフィス日本地区事務所 チーフマーケティングオフィサー 高橋直美氏
インドネシア共和国大使館 情報部 一等秘書官のウィダニ・サユオカ氏
マーケティング戦略を担当するデディ・アハマッド・クリニア氏

 インドネシア観光情報については、インドネシアから来日した、インドネシア共和国観光省でマーケティング戦略を担当している、International Marketing, Assistant Deputy Directorのデディ・アハマッド・クリニア氏が説明。

 日本人にはバリ島が人気の観光地であることに触れたうえで、「バリ島はインドネシアに1万7000ある島の一つ。海岸線はカナダに次ぐ世界2位の5万4716km、面積の2/3は海。インドネシア観光省はさまざまな観光分野を幅広く楽しんでもらうために、もっと魅力のある観光パッケージになるように努力している」と説明。

 手つかずの自然が残されている「Natural Wonders」、美容(スパ)や健康に関する観光を楽しむ「Sensory Wonders」、300以上の先住民、700を超える言語が使われる多様性ある文化を楽しむ「Cartural Wonders」、ジャカルタを中心にモダンなクラブなどを楽しむ「Modern Wonders」、3つのプレートがぶつかるインドネシアならでは絶景を楽しむ「Adventurous Wonders」の5つの「Wonder」を訴求していることを紹介した。

 また世界遺産は、日本人にもよく知られているボロブドィールの寺院など文化遺産が4カ所、そしてスマトラの熱帯雨林やコモド国立公園など自然遺産が4カ所ある。

観光省がテーマに掲げる「Wonder」の一つ「Natural Wonders」
スパやマッサージを楽しめることを表わす「Sensory Wonders」
多様性ある伝統文化に触れられることを表わす「Cultural Wonders」
近代的な楽しみ方もできることを表わす「Modern Wonders」
インドネシアならではの絶景を楽しめることを表わす「Adventurous Wonders」
文化遺産4カ所、自然遺産4カ所の8カ所の世界遺産を有する

 先述のとおり、日本からの渡航者数は2015年度に50万人を超える数字を記録したが、全体でも前年比10.3%増の1040万人。2016年度は1200万人を目標にしている。年々観光者数は増加しており、GDPにも影響を与えるほどになっているという。

 2016年度は上半期の訪問者数実績で前年度をやや下まわっているが、8月は前年から増加。観光目的地の傾向も変わってきているとし、ジョグジャカルタを訪れる人が前年の倍になるなどの結果が出ている。

 一方でビンタンリゾートなど前年を大きく下まわる傾向にある観光地も出ているが、これは「シンガポールにビジネスで訪問する際に、空いた時間を利用してインドネシアのリゾート地に寄る人などが、マリーナ・ベイ・サンズなどシンガポール国内の強力な施設が開業した影響で苦戦している結果」(高橋氏)としている。そのためビンタンリゾートエリアは現在再開発を行なっているという。

インドネシアの観光業界の概要
2016年度の日本からのインドネシア渡航者は55万人を目標に掲げる
2015年度の日本人を含む国別渡航者数のグラフ
こちらは年別の日本人渡航者数のグラフ
日本人の入国地。直行便のあるジャカルタとバリが圧倒的だが、第三国経由でほかの土地から入る人も多く、その傾向にも変化が見られる

 また、先述のとおり10カ所の観光地開発優先地域を設定しており、2019年までのプロジェクト期間で、それぞれの地域に目標訪問者数を設定している。

インドネシア観光省がプッシュしている10カ所の新たな観光地
トバ湖(北スマトラ)

 スマトラ島北部の自然豊かな湖。アクセスの強化が課題という。目標は100万人。

トバ湖(北スマトラ)
タンジュン・クラヤン(バンカ・ブリトゥン)

 ジャカルタ北部の島で、バリ島のようなリゾート地。やはりアクセス強化のほか、さらにリゾートホテルを充実させたいとする。目標は50万人。

タンジュン・クラヤン(バンカ・ブリトゥン)
タンジュン・ルスン(バンテン)

 ジャワ島最西端の観光地で、自然や海、ビーチを楽しめる。ジャワ島住民にとってはドライブで訪れることもある土地だそうだ。目標は100万人。

タンジュン・ルスン(バンテン)
プラウ・スリブ(ジャカルタ)

 スリブは千、プラウは島、つまり千の島を意味する観光地。ジャカルタ州に属しており、ジャカルタから簡単に行ける観光地の一つ。「1つの島に1つのリゾート」をコンセプトに開発を進めている。目標は50万人。

プラウ・スリブ(ジャカルタ)
ボロブドゥール(中部ジャワ)

 日本人には人気のある観光地で、仏教寺院が有名。世界最大の寺院として登録されたお寺もある。目標は200万人。

ボロブドゥール(中部ジャワ)
ブロモ・テンゲル・スメル(東ジャワ)

 ジャワ東部にある自然を楽しめる観光地の一つで、火山が魅力の場所。登山に興味のある人に人気のスポット。目標は100万人。

ブロモ・テンゲル・スメル(東ジャワ)
マンダリカ(西ヌサ・トゥンガラ)

 リゾート地として開発が進められているスポットで、日本人観光客も増えているロンボク島にある。「世界一のハラルリゾート地」を目指している。目標は80万人。

マンダリカ(西ヌサ・トゥンガラ)
ラブハン・バジョー(東ヌサ・トゥンガラ)

 コモド・ドラゴンが生息することで知られるコモド国立公園で知られる観光地。目標は50万人。

ラブハン・バジョー(東ヌサ・トゥンガラ)
ワカトビ(南東スラウェシ)

 広大なバリアリーフがあり、ダイビングスポットとして有名なスポット。同地のリゾート会社がバリからのチャーター便を運航している。目標は50万人。

ワカトビ(南東スラウェシ)
モロタイ島(北マルク)

 インドネシア東部のマルク諸島(モルック諸島)の一番北にある島。将来的には東インドネシア観光発展の中心にしようと計画している。目標は50万人。

モロタイ島(北マルク)
観光地開発の例。タンジュン・クラヤンではインフラの改善、モロタイでは中国の投資家と提携してのホテル開発などを実施したという

ビザ免除制度は169カ国に拡大、124カ所の入国地で申請可能に

 このほか記者会見では、入国管理の担当者である大使館のチャトラ氏も出席して、2015年からはじまったビザ免除制度についての現状を紹介した。当初、日本を含む30カ国を対象にスタートし、観光目的での入国かつ、30日までの滞在の際にビザを免除するプログラムとなっていたが、さまざまな点で拡充が進んでいる。

 対象国が169カ国に拡大したほか、観光だけでなく商談イベントなどの訪問でも利用できる。さらに当初は5空港、9港でのみ申請ができたものが、2016年4月1日には29空港、88港、7国境の全国124カ所で手続きができるようにするという大統領令が2016年4月1日に出され、ビザ免除で入出国できるポイントを増やす体制作りに取り組んでいる。これらの情報は順次、大使館や観光省のWebサイトなどで告知していくという。

最新のビザ免除制度の概要
2016年4月から対応を進めているビザ免除制度を利用して入出国可能な29空港。主要な空港がほぼカバーされる見込み
港は88カ所、地上国境は7カ所で対応する
当初30カ国を対象に始まったビザ免除制度だが、現在は169カ国に拡大している
記者会見では伝統芸能のパフォーマンスも。これはパプワ島に伝わる「マンボ・シンボ・ダンス」
バリ島に伝わる極楽鳥を模したパフォーマンス「チャンドラワシ」