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ブッキング・ドットコム、日本での売り上げが4年間で8倍に伸長

北アジア地区、日本地区の責任者が事業説明

2016年8月31日 実施

 ホテルや旅館などの予約サイトを運営するブッキング・ドットコムは8月31日、北アジア地区統括ディレクターと、7月に着任したばかりの日本地区統括マネージャーが、日本市場における同社のこれまでと、今後の取り組みを紹介する事業説明会を実施した。

ブッキング・ドットコム 北アジア地区統括リージョナル・ディレクター ジェームス・ホワイトモア氏

 2012年に日本を含む北アジア地区の担当となったブッキング・ドットコム 北アジア地区統括リージョナル・ディレクターのジェームス・ホワイトモア氏は、着任から4年間の日本市場の伸びを紹介。

 2016年上半期ですでに1000万人を超えている訪日客の伸びもあり、日本は宿泊日数換算で2012年から4年間で800%以上の売り上げの伸びを示す順調な市場になっているという。また、香港、台湾、韓国などでも事業が伸びることで、こうした国々から日本の施設予約をする人が増えるというトレンドも生まれているという。同氏が統括する北アジア地区は2012年当時の「新しいマーケット」から、現在は安定した「成熟マーケット」になっているとしている。

 ちなみに同氏は訪日客について、「鈍化はすると思うが、まだ伸びると見ている。2012年当時、私はロンドンに勤務していた。オリンピックによってメディアでも報道がなされる。それによって日本の文化などが伝わって、さらに訪日客が増えると思う」と見解を示した。

 日本からの予約先でもっとも人気なのは国内。パリやロンドンは2012年当時から安定した人気があるが、京都や大阪などが大きく伸長し、パリやロンドンといった人気都市を上まわる人気になったとする。また、「これはブッキング・ドットコムを国内旅行の予約に使っていることを意味する」ともしている。

 国内施設を予約する人の国籍では日本人がもっとも多く、次いで中国、台湾、韓国、タイ、香港と続く。アジアの顧客は、今後リピーターも増えると同氏は分析している。さらに、これらリピーター客は、日本語や日本の文化にも精通して、今後、訪日客の定番ルートであるいわゆる「ゴールデンルート」以外、例えば箱根や沖縄、スキーリゾートなどへ出かける人が増えると見込んでいることから、そうしたニーズに対応できるよう、対応施設の拡充を図るという方針だ。

訪日客の推移
北アジア地区の4年間の売り上げの伸び
日本からの渡航先人気都市
訪日客の国籍シェア
訪日客向けのインフラも改善傾向にあると紹介
ブッキング・ドットコムは2015年にはじめてのテレビCMを放映。7月から新たなテレビCMを開始した
ブッキング・ドットコム 日本地区統括リージョナル・マネージャー、BookingSuite アジア太平洋地区ゼネラルマネージャー アダム・ブラウンステイン氏

 その施設数は現状で、国内8800軒。2015年夏からの約1年間で6800軒から約30%増えており、年内に1万軒を目指すとする。その事業を担うのが、次に登壇したアダム・ブラウンステイン氏で、7月に日本地区の統括リージョナル・マネージャーに就任した。

 ブラウンステイン氏は、この1万軒突破の目標について「多くのユーザーに利用してもらうために、数だけでなく品質も重視する。2016年内の1万軒突破に自信があるが、これはあくまで通過点で、2020年、さらにその先もある。需要はますます増えている。数のゴールだけでなくバラエティも増やす」とコメント。質については、国内の鉄道ネットワークに沿ったさまざまな地域をカバーするなど、顧客ニーズに応えることを重視しているという。

 また、ブッキング・ドットコムは2015年11月に那覇市に、国内5店舗目となる営業所をオープン。地域に密着して、同社が持っているデータやトレンドの情報、分析結果などを理解してもらう活動を行ない、パートナー施設からも観光トレンドや訪日客、国内旅行客に対する理解が深まったというフィードバックを得たという。このことから、今後さらに営業所を増やすことを計画している。

 ちなみに、同社の国内拠点は営業所が東京、大阪、札幌、福岡、那覇の5拠点。さらに、2016年1月には大崎(東京)にカスタマーサービスセンターを開設。日本語、英語、韓国語、中国語、タイ語の多言語対応ができるカスタマーサポートを行なっている。海外のセンターでも日本語対応を行なっており、24時間365日の日本語サポート体制になっている。このサポート体制についても、ビジネスの拡大に合わせて拡充していくとした。

ブッキング・ドットコムに登録されている施設数。グローバルでは100万軒を突破。国内は2016年8月時点で8800軒
2016年末までに国内登録施設数1万軒突破を目指す
ブッキング・ドットコムの国内営業拠点の拡大
2015年11月に沖縄県那覇市に営業所をオープン
ブッキング・ドットコムは旅のプラン策定から予約、滞在時の体験、そのレビューの書き込みまでをシームレスに行なえることを特徴とする

 先にも少し言及があったが、同社の成長戦略として「施設の品質、タイプ、ロケーション」への重視を挙げている。このうち、施設のタイプについては「最近のトレンドとして民泊に対する関心が高まっている。国内旅行客、訪日客問わず高い関心を持っていることが分かっているが、一方で政府とも良好な関係を保ちたいと思っており、正式な形でビジネスを行ないたい」としており、東京都大田区が「特区民泊」として条例化したのを機に、それら施設の掲載を始めている。

 最後にブラウンステイン氏は、2012年には訪問先人気ランキングで32位だった日本が、いまではトップ10にランクインするほどの人気を集めていることを紹介し、「さらにこれが上位にくるよう頑張りたい。訪日客は増え続けているし、世界3位の経済大国でまだまだ成長する国。日本のユーザーからもブッキング・ドットコムが信頼されている。ブッキング・ドットコムもまだまだ日本に投資する」と、今後のさらなる成長に意欲を示した。

1万軒突破の目標に向け、訪日客に対する強さなどがパートナー獲得に向けた同社のアドバンテージ
宿泊施設のバリエーション増にも取り組んでおり、制度化された東京都大田区の民泊施設の掲載も開始
ブッキング・ドットコムのデータによる渡航先人気ランキングで、日本はトップ10に安定的に入る人気国となったことを紹介