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ANA、九州復興支援「でかけよう九州」プロジェクト第2弾決起集会

マイルバックやnanacoポイント付与など

2016年7月5日 開催

 ANA(全日本空輸)は、平成28年熊本地震からの復興、九州エリアの活性化を支援する「でかけよう九州」プロジェクトを立ち上げ、6月1日から第1弾として「送客支援」「地元産品支援」「復興支援」について施策を実施している。7月5日には、プロジェクト第2弾を発表するとともに、東京・ホテルニューオータニで旅行会社や九州地区の自治体などと決起集会を開催した。

 集会は、東京地区旅行関係者約120名、九州地区の県庁・観光機関関係者約60名、国土交通省航空局、観光庁、日観振(日本観光振興協会)、日本政府観光局、JATA(日本旅行業協会)から約20名、ANA関係者約50名、合計約250名が集まったほか、九州各地のマスコットキャラクターも駆けつけ、盛大に行なわれた。

会場入り口では九州各地のマスコットキャラクターが来場者をお出迎え
ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏。自身も鹿児島県鹿児島市出身だ

 会の冒頭、ANAホールディングス 代表取締役社長の片野坂真哉氏が登壇し、自身も鹿児島県鹿児島市出身であることに触れ、「平成28年熊本地震」で被災された人たちへ、そして6月下旬から九州全域に降った大雨の被害へのお見舞いと、来賓者に対する感謝を表わした。そして、「私も6月に熊本を訪問し、熊本県知事にもお会いし、震源地に近い益城町にも参りまして、被災状況を目の当たりにしました。そして観光施設への来客も激減しているとうかがいました。

 また、前の月の5月に鹿児島にも参りまして、鹿児島県知事にもご挨拶させていただいた際、熊本・大分の地震が鹿児島の観光にも大きな影響を及ぼしている状況をうかがいました。まさに観光への打撃は九州全体に及んでいるわけです。

 観光とは広域にわたるものでございまして、例えば長崎からなら、ハウステンボス、教会群、平和記念公園、島原、そして熊本は天草五橋で入って、観光の結節点である熊本城を見て、阿蘇から大分は別府へと。

 福岡からであれば福岡の食を楽しんだあとは佐賀に入って嬉野温泉、吉野ヶ里の遺跡を訪ね、有田焼を堪能するというコースもございます。宮崎はブーゲンビリア空港から高千穂峡を訪ね、鹿児島では田皆岬や佐多岬、霧島、桜島、指宿に足を運ぶと。

 九州には非常に豊かな観光資源がございまして、このように観光地はつながっているからこそ、地震の影響が九州の広い地域に及んでしまったのではないでしょうか」と、九州観光全体が落ち込んでいる理由について語った。

 このような状況に対するANAグループの取り組みについては、「ANAは九州に大変お世話になってきた歴史がございます。このように九州が非常に大変なときだからこそ、ANAとしてはなんとしてもお役に立ちたい、そんな思いで『でかけよう九州』プロジェクトを立ち上げました。ANAグループ社員一人一人が知恵を絞りまして、このプロジェクトを作り上げております。

 先般、総額180億円の助成金が交付されることになりましたが、これが九州観光復興の大きな“力水”となっております。政府が『観光立国』を国家戦略として位置付け、2020年には訪日外国人を4000万人にする、観光で消費を高める、国内旅行を盛り上げていくという観光ビジョンが発表されております。こういった国家プロジェクトの達成のためにも、九州の観光が復興することが、なにより重要と考えております。

 ANAグループとしましても篠辺社長が率いるANAや、ピーチ(Peach Aviation)、バニラエア、そしてパートナーであるソラシドエアや、旅行会社各社さまや皆さまと手を携えて、送客に取り組んでまいりたいと思っております。

 ANAグループは9月までの九州への観光客送客に、10万人という目標を設定し、その達成に向けて全力をあげております。その達成をお誓いしまして、開会の挨拶とさせていただきます」と述べた。

国土交通省 観光庁 次長 蝦名邦晴氏

 続いて国交省観光庁 次長の蝦名邦晴氏が登壇し、政府が掲げる観光立国の関係者の取り組みへの感謝と、ANAグループの復興支援への敬意を表わした。そして蛯名氏自身もかつて九州に勤務していたこともあり、九州の産業における観光が占める重要性も感じているとし、1日も早く九州が復興して、観光で九州が力強く立ち直ることが、日本全体の観光の回復につながり、地域の活性化につながっていくことを期待していると話した。

 7月1日から開始した総合支援プログラム、いわゆる「九州ふっこう割」が、速報値ではとても好調であるとし、観光庁としても、海外のマスコミやブロガーを招待して九州の観光地を案内し、情報を海外に向けて発信してもらう取り組みを開始していることを紹介。

 そして、夏の行楽シーズンや秋の紅葉など、観光のハイライトを迎える九州に多くの送客ができるよう、観光庁としても取り組みを継続、強化することを明言し、本プロジェクト賛同者のさらなる尽力をお願いしたいと挨拶した。

国土交通省 航空局 次長 平垣内久隆氏

 警察に出向していた2年間、鹿児島に勤務していたという、国交省航空局 次長の平垣内久隆氏が登壇。まず、震災当時、被害を受けた熊本空港の機能が早期に回復できたことに対して、関係者に感謝を述べた。

 そして6月に成田で行なわれたアジアのLCCが集まるイベントに出席したことに触れ、アジアのLCC各社は所有する機材の航続距離の制約で、成田や関空ではなく九州をまずは目指すことになり、観光地としての九州の復興にもとても期待を寄せていることを話した。さらにここ数年の流れとして、国内線でもLCCの躍進によって成田発便が元気であることに触れ、LCCの九州方面路線にも期待しているとした。

 また、仙台空港の民営化にも言及し、熊本空港を復興のシンボルとして今後どのようにしていくかについても議論が始まっている説明した。最後に安全の確保は大前提としつつ、九州と日本各地、そして世界とを結ぶ航空ネットワークの維持と拡大に、航空局としても強く取り組んでいくと挨拶をした。

全日本空輸株式会社 執行役員 東京本店長 菅谷とも子氏

 ANA執行役員 東京本店長 菅谷とも子氏からは、スライドとともに「でかけよう九州」プロジェクトの説明があった。まず「でかけよう九州」のロゴは九州を行き来する人を結ぶという思いを込めて作成したことに触れつつ、6月1日から始まった本プロジェクト第1弾の取り組みについて振り返った。

 ANAグループは6月30日時点で18の旅行会社と連携し、特典付きの旅行商品を展開、九州地区で利用できるクーポンを旅行商品に付け、周遊型の観光を推奨するための補助も行なっていると説明。

 また、「でかけよう九州」のWebサイトでは観光地、ツアー、九州産品の情報を紹介するほか、九州発着路線の運賃の見直し、リーズナブルな料金の設定をして、送客を促しているとした。

 ほかにも九州産品のラウンジでの提供、売店やWebサイトでの販売、益城町、大津町では「こころの湯」と題したお風呂の提供を行なっていることも説明した。そして「九州ふっこう割」によって、九州への送客を促す割安で新しい旅行商品を創出していきたいと、来賓者に呼びかけた。

 新たな取り組みとしては、九州路線に就航する機材の大型化を行なうとした。まずは羽田~大分線について、現状のエアバス A320型機をボーイング 767や777型機に変更することで、1.5倍から2倍の輸送力になると説明。9月1日~9月15日、9月20日~30日の搭乗分では、割安な運賃設定である「でかけよう割」を実施するとした。

 ANAマイレージクラブ会員で九州を訪れる人を対象に、セブン&アイ・ホールディングスと連携し、nanacoポイントを付与する取り組みも発表。この詳細は7月中旬ごろに発表され、搭乗対象期間は9月になるという。

 全国34カ所にある空港売店「ANA FESTA」では、九州のお菓子を販売する特設コーナーを設けるほか、「マイルバックキャンペーン」として7月~9月の期間、対象の九州路線に特典航空券で搭乗したマイレージ会員を対象に、1回の搭乗あたり529マイルをマイルバックすることも発表した。

九州観光推進機構 事業本部長 髙橋誠氏

 決起集会乾杯の音頭は、九州観光推進機構 事業本部長の髙橋誠氏がとった。

 2005年に発足した九州観光推進機構は、リーマンショックも乗り越えて成長、観光を九州の基幹産業に育てることを目標に、目標値も上方修正しようとしていたところに震災があった。九州全体、ありとあらゆる分野の産業が打撃を受けたが、復興予算が始まり、7月1日以降、売り切れる旅行商品も出ていると聞いて、関係者の皆さんに大変感謝していると挨拶。

 そして「九州ふっこう割」に絡めた夏休みに向けての新たな旅行商品にも期待しつつ、九州も一生懸命がんばっていくと述べ、「乾杯!」の発声をした。

会場には九州各地の銘菓や銘酒などが用意されていた
会場ではANAホールディングス株式会社の片野坂社長と全日本空輸株式会社の篠辺修社長が、くまモンと名刺交換する一幕も