週末駅弁

東京駅「賛否両論弁当」

有名和食店の味を忠実に再現した贅沢駅弁

賛否両論弁当
弁当名「賛否両論弁当」
価格1540円
販売駅東京駅
購入場所駅弁屋 祭
購入日2016年6月14日

 「賛否両論弁当」は、テレビでもおなじみの東京・恵比寿の有名和食店「賛否両論」の店主、笠原将弘氏が監修した駅弁です。賛否両論といえば、なかなか予約の取れない和食店として有名ですが、その賛否両論の味をそのまま再現したメニューをバラエティ豊かに詰め込んだ、かなり贅沢な駅弁となっています。

 煮物、揚げ物、焼き物など、14種類と豊富に詰め込まれたおかずは、どれもお店で人気のメニューだそうです。松花堂弁当のように、マス目に仕切られた弁当箱にそれらおかずが詰め込まれていますが、そのおかずの多さは、どれから食べるか目移りしてしまいます。

14種類のおかずと2種類のご飯ものが贅沢に詰め込まれている
「おしながき」が添えられている点からも、和食店店主監修の駅弁らしさが伝わってくる

 それぞれおかずの味は、どれもとても上品です。比較的薄味の味付けですが、「里芋れんこんの黒胡麻煮」は、出汁の風味もしっかりと感じられますし、「帆立おかき揚げ」「ごぼうおかき揚げ」などは、具にしっかりとした味が付けられていて、ソースなどを加えなくても美味しくいただけます。

 また、個人的に気に入ったのが卵焼きです。関東の卵焼きは、砂糖をふんだんに使って甘みの強いものが多いですが、賛否両論弁当の「葱たっぷり玉子焼き」は砂糖控えめで、卵の味をより強く楽しめます。とはいえ、ネギが巻かれ、出汁の風味もしっかりと感じますので、物足りなさもありません。私はお酒は飲みませんが、酒の肴としても、十分に魅力的なおかずが揃っていると感じました。

里芋の黒胡麻煮は、しっかりと出汁がしみ込んだ、これぞ和食店といった味わい
卵焼きは甘みが少なく、卵の味わいがストレートに感じられるが、出汁の味わいも強く、物足りなさはない
帆立やごぼう、うなぎの蒲焼きなどの揚げ物も、あっさりとしていながらしっかりとした味が付けられていて、酒の肴としても魅力

 そして、ご飯ものも2種類詰められています。1つは、白ごはんの上にちりめん山椒をのせた、「じゃこ山椒白飯」です。山椒の風味はやや弱めでしたが、じゃことの相性は抜群で、ご飯がどんどん進みます。

 もう1つは「鯛飯」です。タイの身は、細かくほぐされてご飯に混ぜられていますので、タイそのものを楽しむという感じではないですが、ご飯全体にタイの旨みがしみ込んでいて、こちらもなかなかのおいしさです。タイの臭みが一切ないので、魚嫌いの人でもおいしく食べられるはずです。おかずからご飯ものまで、そのレベルは駅弁の域を超えていると感じました。

「じゃこ山椒白飯」は、山椒の風味は弱めだが、じゃこと白飯との相性抜群で、あとを引くおいしさ
「鯛飯」は、ご飯全体にタイの旨みが染み込んで抜群の美味しさ。タイの臭みも一切感じない

 パンチのある味付けのものは少ないので、ガッツリとしたものを食べたいという人には、少々物足りなく感じるかもしれません。ただ、駅弁でこのレベルの和食をいただけるという点は、大きな魅力でしょう。価格は1540円と、駅弁としてやや高価な部類に入りますが、その価値は十分にあると感じました。有名和食店の味を手軽に楽しめる、贅沢な大人の駅弁と言ってよいでしょう。