ジェットスター・ジャパンは、6月2日、同社初の中国本土路線となる成田~上海線を就航した。その初便に搭乗し、上海旅行をした。2日目は豫園(ヨエン)を中心に観光してきたので、その模様をレポートしよう。
豫園で太湖石を愛でる
豫園もまた上海有数の観光名所だ。豫園は明代および清代の歴史を残す古典庭園で、2万m2の敷地に、自然石と水を巧妙に配置した庭園が美しく展開されている。清代からの建築物、穴があいた奇妙な形をした奇石「太湖石」、壁飾りが龍の形をした「龍壁」などが見どころだ。
この豫園は、四川省の役人だった潘允瑞が18年もの歳月をかけて建造した庭園で、完成したのは1577年ということだ。潘家の没落後は荒廃するが、1700年代半ばに隣接する道教の寺院「上海城隍廟」の「西園」として再建されている。当時は現在の2倍の広さがあったが、1956年に改修、整備が行なわれ、現在の姿になったということである。
今回、訪れたのは日曜日の午後。周辺の商業街(豫園商場)ほどではないが、庭園は外国人含めて観光客がとても多く、建物の中の座れる場所にはほとんど人が座っていて、休憩所のようになっていたが、太湖石や緑を眺めながらひと休みするのもわるくない。
豫園は、周辺の繁華街「豫園商場」のなかにある。池にかかるジグザグの橋「九曲橋」の先が入り口だ 入り口付近の仰山堂という建物の脇にある金属製の獅子像 岩越しに見えるのが仰山堂。あまりに人が多かったので中に入るのは遠慮しておいた 雰囲気のある通路。「花窓」と呼ばれる飾り窓がよい味を出している 超高画素カメラならこうした石の質感を忠実に再現できる 大きな銀杏の木が2本。奥の木は樹齢400年だという 「歳宝楼」という建物の側にある奇妙な形をした岩の階段 階段を上ったところにあるのは「学園」という小屋。ここで読書などを楽しんだようだ 清代に反政府組織として結成された秘密結社「小刀会」の司令部として使われたという「点春堂」 龍の爪は3本。龍を扱えるのは皇帝のみとされていたたため、本来の5本ではなく3本として「龍ではない」と逃れたという 見上げるとまた龍が。壁に隠れていてまったく気付かなかったのだが、実はこの龍の向かいにも龍がいたようだ 別の角度からの「積玉水廊」。浦東の高層ビルも見える 中央の石が「玉玲瓏」。もともとは宋の徽宗皇帝のコレクションの1つで、江南三大名石の筆頭と賛えられているという 上の穴から水を流すと下に流れるそうだ(つまり、穴が中でつながっている) 妖艶な雰囲気を醸しだす太湖石。「涵碧楼」と呼ばれる建物の中にある 豫園商場の昼と夜
豫園の周辺は、宮殿風の高層建築が並び立つ商業街「豫園商場」がある。この豫園商場もかつては豫園の一部だったということで、豫園入り口の「九曲橋」周辺の池に浮かぶ「湖心亭」などにその名残を感じることができる。豫園商場を含めたこの辺り一帯を「豫園」とされることもあるが、本来「豫園」というのは前述の庭園のことを指すようだ。この一帯は夜にはライトアップされて、独特の雰囲気の景観が楽しめる。
豫園商場周辺の商業ビル。なんだか分からないがテンションが上がる 九曲橋の先に見えるのが「湖心亭」。上海で最も古い茶楼ということだ 九曲橋がかかる池には女性の像が設置されている。奥に見えるのは、小籠包で有名な南翔饅頭店の本店 南翔饅頭店は、1945年に建造されたという壮大な建物「挹秀楼」の手前にある 池の噴水。奥に見える緑波廊は、高級料理店として知られる 豫園の出口付近の様子。土産物屋がズラリと並び、にぎわっている 日が落ちてくると豫園商場や周辺の建物はライトアップされる この辺りは九曲橋広場というらしい。夜の方が比較的人は少ない 地域の信仰を集める上海城隍廟
豫園商場を散策していたら偶然見かけた「上海城隍廟」にも入ってみた。城隍廟というのは、土地の守護神「城隍神」を祭った道教の寺院だが、上海城隍廟は、前漢時代の偉人「霍光」を祭っていた「金山神廟」を増築してできた経緯があり、上海の城隍神である「秦裕伯」とともに「霍光」が祭られている。そのほか、十干十二支の神々「太歳」、三国志で有名な関羽を神格化した「関帝」など、さまざまな神が祭られている。もともと豫園商場はこの城隍廟の門前市として発展し繁華街となった経緯があり、豫園もまた清代に再建された際にはこの城隍廟の「西園」という位置付けであったという。今回訪れたのは午前中だったが、老若男女問わず、熱心に祈りを捧げる人が目立った。
上海城隍廟には2つ入り口がある。こちらは豫園商場内からの入り口 霍光は紀元前68年生まれ、前漢時代の政治家。武帝亡きあと、実質的に漢の政治を仕切った人物だ 霍光殿に安置されている霍光像。文化大革命のときに神像はすべて破壊されてしまい、近年の再建によるもの 霍光殿の奥の「太歳殿」と呼ばれる建物。両サイドに並ぶのは十干十二支(六十干支)の神像、つまり60体ある 上海駅の荷物預所「行李寄存」
到着日も出発日もフルに観光に使いたい場合、荷物をどうするかは大きな懸念材料だろう。中国国鉄の上海駅には、荷物を預かってくれる場所「行李寄存」があると聞いたので、利用してみた。地下鉄1号線の上海火車駅からの案内板がかなりいい加減で、場所を見付けるのに少々とまどったが、想像以上にしっかりした場所だった。領収書を見ると中国国鉄が運営しているようだ。なお、今回は13時から22時(時間は短くても関係ないようだ)まで63Lのスーツケースを預けて30元(約550円、1元=約18.3円換算)だった。
地下鉄の上海火車駅出口の案内板(トラップ)。これだと前方にあるように思うが、何もなかった。実際は上海駅側へ渡った逆方向だ 営業時間は22時まで。領収書を見ると中国国鉄が運営しているようだ