ジェットスター・ジャパンは6月2日、同社初の中国本土路線となる成田~上海線を就航した。その初便に搭乗し、上海旅行をする機会を得たので、その模様をレポートしよう。初便は6月2日の深夜(6月3日)に到着し、6月5日の深夜便で帰国するスケジュールで、初日は外灘(ワイタン)を中心に観光してきた。
西洋式高層建築物の優美で緻密な装飾、スケール感に圧倒される
上海随一の観光エリアといわれる外灘は、黄埔江沿いに西欧風のレトロな高層建築が並ぶ。さらに、堤防の上には遊歩道が敷設されており、河を行き交う船舶や、対岸に浦東地区に立ち並ぶ高層ビル群を見渡せるという、写真好きにはたまらないスポットだ。
外灘の西洋式高層建築物は、20世紀前半(1900~1930年ごろ)に建設されたもの。この一帯は19世紀後半から20世紀前半にかけてイギリスとアメリカを中心とする共同租界(外国人居留地)であり、各国の領事館や銀行などが次々と建てられている。新古典主義様式、アールデコ様式など、当時の欧米で流行していた様式を取り入れた優美で緻密な装飾、スケール感は圧巻だ。
最上部の花びらのような造形が印象的なウェスティン上海。この辺りは厳密にいえば外灘地区ではないが、黄埔江の対岸から見ると存在感のある建物だ この交差点を右に行くと外灘へとつながる延安東路。この辺りもすでに歴史的な雰囲気のある建築物や雰囲気のある高層ビルが多く、すでにテンションが上がりまくりだった 延安東路を進むにつれ、浦東の高層ビル群がはっきりと見えてくる 外灘の南端部に到着。南京東路沿いにはきれいな花飾りが置かれ、華やかな雰囲気に 気象信号台。この塔に旗を掲げて気象情報を伝えたという 手前が旧香港上海銀行ビル。新古典主義様式の豪華な壮大な建築物だ。奥の時計台があるのが、旧江海関ビル 左は、旧日清汽船上海支店ビル。中央の建物は旧中国通商銀行ビル 旧中国通商銀行ビルは、外灘でも古い建築物で、建築様式はゴシック様式だという。窓枠の作りが実に印象的 スウォッチアートピースホテル(和平飯店南楼)。旧パレスホテルとしても知られる 緑色のトンガリ帽子(四角錐)が特徴的なフェアモントピースホテル(和平飯店北楼)。旧「サッスーンハウス」としても有名。アヘンと不動産で巨万の富を得て租界時代の上海に君臨していたサッスーン財閥の本拠地で、当時東洋一のビルと賛えられたという 手前から、旧インドシナ銀行ビル(中国光大銀行)、旧グレンラインビル(上海人民広播電台)、旧ジャーディン・マセソン商会ビル(上海外国貿易局など) ブロードウェイマンション(上海大厦)。アールデコ様式の高層ホテル ロシア領事館。1916年建設。窓枠などの繊細な造形が印象的だ 東方明珠電視塔をはじめとする近未来的な高層ビル群
遊歩道のスケール、対岸にそびえ立つ高層ビル群の存在感もまた圧倒的だ。対岸の浦東地区は1990年以降、新都心として大規模開発が行なわれており、上海のシンボルともいわれる東方明珠電視塔をはじめ、近未来的なデザインの高層ビルが建ち並ぶ。その様子はどこか現実離れしており、特撮の世界のようでもある。遊歩道の端から黄埔江を挟んでの距離感は、24~35mmの画角に収めるのにちょうどよいために、何にもジャマされずに全景写真が取り放題。記念撮影をする光景も多く見られた。
遊歩道上ったところから南側の眺め。広大さに圧倒される 黄埔江には頻繁に船舶が行き交う。背景のビル群の存在感がすごい 高層ビル群の中でも、電波塔である東方明珠電視塔の存在感は抜群。特撮に出てきそうなデザインだ 外灘の南の方から見る浦東の高層ビル群。東方明珠電視塔は向かって左に見える 外灘のやや北寄りから見る浦東の高層ビル群。東方明珠電視塔が中央近くにくる 東方明珠電視塔以外にも個性的なデザインのビルが乱立している なかでも黄金に輝く震旦ビルの存在感はそうとうなもの 中国の政治家「陳毅」の像がある。待ち合わせなどに使われているのか、下方にはたくさんの人が集まっていた 外灘の北端にある上海人民英雄記念塔。アヘン戦争や日中戦争、人民解放戦争の戦死者を弔うために建てられた 上海人民英雄記念塔から見る浦東の高層ビル群。東方明珠電視塔が中央近くにくる 黄埔公園の端の辺りある像。こちらの像の名前は調べても出てこなかった スイカジュース(22元、約370円)をオーダー。ジューサーにカットしたスイカをガンガン入れて作る ナイトクルーズで夜の外灘を満喫
外灘の西洋建築、浦東の高層ビル群ともに、夜(19時ごろ~)になるとライトアップされ、また違った絶景を作り出す。
深夜着から見知らぬ土地で移動を繰り返していたため、写真を撮りまくりながら外灘一帯を往復しただけで筆者のライフは残りわずかとなっていたので、夜はクルーズ船で優雅に景観を楽しむことにした。
クルーズ船のチケット販売所で指定された乗り場は、そこからはるか南(約350mと記載されていた)で、そして待合室でも行列……と心が折れそうになったものの、ライトアップされたクルーズ船を目の前にするとやはり自然とテンションが上がる。
クルーズ船のルートは、外灘の南から北へと向かい、折り返して戻るため、外灘の西洋式高層建築も浦東の近未来的高層ビル群もどちらも楽しめるようになっている。今回は、19時の便にしたが、これが大正解。はじめは少し早過ぎたかと思ったが、マジックアワーと日没後の夜景の両方を存分に楽しめた。
クルーズ船のチケット売り場(奥)。手前の入り口は渡し船(観光用ではなく対岸の特定の場所に渡る船)の乗り場で、クルーズ船の乗り場はずっと南にあった 柵沿いはあっという間に占拠されてしまったが、30元その場で払えば、ラウンジ席に入れるというので払って入場した。ただ、後から分かったことだが、最上階の満席状態は最初だけで大半の人は下の席に移動したようだ 結構速いペースで進んでいく。東方明珠電視塔が怪しい光を放っている 前のカットから切り出してみた。まさに魔都という雰囲気 この建物のイルミネーションは特に凝っていて、アニメーションなどが表示される。船も速度を落としてじっくり見せてくれた 人民英雄記念塔もライトアップされる。右の奥にガーデンブリッジ、ブロードウェイマンションが見える 旧香港上海銀行ビルは夜も荘厳な雰囲気を醸し出している。いま一つうまく撮れず残念 左から、上海クラブビル、外灘3号(旧ユニオン・アシュランス・カンパニーズビル)、旧中国通商銀行ビル、旧日清汽船上海支店ビルなど 気象信号台の奥の背の高い中国工商銀行(ICBC)のビルは歴史建築ではないが、これも存在感のある建物だ 戻るころにはすっかり真っ暗になっており、浦東側のビルも出発したときとはまた違った景色が楽しめる 上海タワー(右の一番高いビル)も凝ったイルミネーションで楽しませてくれる 空港から上海市内まではリニアモーターカーで移動
上海浦東国際空港から上海市内まではリニアモーターカー(上海磁浮、Maglev)が走っており、これに乗るのも楽しみの一つだった。空港から「龍陽路」駅まで、約8分で到着する(途中停車駅はない)。最高速度は430km/hだが、時間帯によって異なり、筆者が乗車したのは300km/hの時間帯だった。運賃は片道50元(約850円、1人民元=約17円換算)、往復チケットで80元(約1360円)だ。
座席は新幹線などに比べるとチープな印象もあるが、車内は余裕がある作りで、常にキャパシティにも余裕があるようだ。大きな荷物を持っていても荷物置き場を使うまでもなくゆったり座れて、快適に移動できた。
リニアの乗り場。Maglevも地下鉄も中身が見えない荷物は手荷物検査機を通す必要がある 最高430km/hが出るのは9時02分~10時47分までと、15時02分~15時47分までの時間帯。それ以外は300km/h 待合フロアの様子。リニアが発着するホームは下の階にある 各車両にメーターがあり、時速がリアルタイムで表示される 龍陽路の地下鉄(二号線)の駅は、Maglevの駅の向かいにある ジュースバーを発見。日本語が書いてあるが、日本語は通じなかった 店内は明るく、たくさんフルーツが並んでいて何でもジュースにしてくれる。ミックスも可能 スイカジュース(大)をオーダー。18元(約310円)。小は15元(約260円)