旅レポ
スターフライヤー、初の羽田発着初日の出フライト「Sunrise Flight 2017」実施
無料参加でもイベント&お年玉が盛りだくさん、抽選で選ばれた39組103名が参加
2017年1月1日 16:08
- 2017年1月1日 実施
スターフライヤーは1月1日、飛行機上から初日の出を鑑賞できる「Sunrise Flight 2017」を実施した。例年、北九州空港発着で実施してきた同社だが、2017年は羽田空港でも実施。その羽田空港発着便は、関東上空を遊覧。2017年の初日の出を犬吠埼上空から眺めるフライトとなった。
スターフライヤーの“初日の出フライト”は座席の販売はせず、応募した人から抽選で選ばれる最大35組が、無料で搭乗できるのが特徴だ。2017年の同便も、2016年11月に応募を受け付けた。
記者が参加した羽田空港発着便は、羽田空港第1旅客ターミナルのカウンターで搭乗受け付け。当選者は、送られたインビテーションレター(招待状)を持参し、ここで搭乗券を受領。そして、そのままカウンター脇のスターフライヤーロゴの前で、インスタントカメラによる記念撮影へ。実は、この写真はその場では提供せず、名前を書いてスタッフに預ける。そして、最後のお楽しみに色を添えることになるのである。
羽田空港発着便は、応募総数が1700組。そのなかから選ばれた39組102名が招待された。同便には同社関係者や報道関係者など、総計130名が搭乗することになる。
搭乗口は、縁起よく(?)1番搭乗口を使用。搭乗者全員に飲み物とお菓子をふるまった。お菓子は、2016年5月から機内販売していた(現在は終了している)、福岡の有名店「三日月屋」のラスク。シナモン、紅茶、天然塩、シュガーの4つの味から、好きなものを選べるようにしていた。
さらに、新年を占う“おみくじ”も。記者が引いたものは「ナンバー1」のメッセージだったが、搭乗者が幸せを感じられる、さまざまなメッセージが書かれていたようだ。
搭乗口ではSunrise Flight 2017のオープニングイベントも実施。司会者が、「スターフライヤーは2016年に10周年を迎えた。これもお客さまに支えられた10年。いつか必ず、社長はじめ全従業員が、羽田空港からのSunrise Flightを実現したいという思いが、ようやく叶った」と、悲願の羽田発着イベントであることを紹介。
司会者からの案内に続き、同イベントの責任者を務めたオペレーション統制部の大室崇雄氏が、「『感謝をつなぎ新たな空へ』というコンセプトのもと、会社のコーポレートカラーである白と黒を用いて、通常、元旦といえば和式かな、と思うところがあると思うが、洋風仕立てでお送りする。最後に到着ロビーでお土産も。スタッフ一同、手づくりで準備した」と、開会の辞を述べた。
続いて、同便となるSFJ0101便の乗務員の紹介、ルートの紹介が行なわれた。ルートは、羽田空港を離陸して房総半島の南へ行き、そこから北上して千葉県銚子市の犬吠埼上空で初日の出を鑑賞。初日の出後は、西へ向かい、富士山を近くで眺めつつ、伊勢神宮の近く志摩上空で旋回して、羽田空港へ帰るルート。堀田機長はルート紹介が終わると、「全体には非常にスムーズなフライトになると思いますので、今年初フライトをお楽しみください」と挨拶を締めた。
最後に、スターフライヤー 常務執行役員 取締役 柴田隆氏が挨拶。冒頭、「羽田は1700組の皆さまにご応募いただき、そのなかで39組のお客さまに当選いただいた。ものすごく運のよい方にお集まりいただいているので、そういう方々を初日の出フライトにご案内できるということで楽しみにしている」とコメント。
そして、「本日使用する機体は、2016年12月18日に日本に到着した新品の機体を利用して、皆さんをご案内する」と話すと、来場者から拍手がわき上がった。
このほか、「私どもの初日の出フライトは社員有志による特別なフライトで、すごく手づくり感満載。昨日、夜遅くまでみんなが努力してここまで準備した。そういうところで若干、稚拙なところもあろうかと思うが、本当にお客さまのために、一人一人が頑張って、今朝まで目を真っ赤にして頑張ってきた」と従業員の苦労も紹介。
羽田での実施については、「毎回、毎年、コンセプトを作っている。今年は『感謝をつなぎ、新たな空へ』がコンセプト。2016年、私どもスターフライヤーは就航10周年を迎えたが、首都圏においては認知度が低く、例えば有楽町で北九州市の事務所をお借りしてアンテナショップを開いたり、今回のように初日のフライトを羽田空港でやったりなど、いろんな取り組みをしている。感謝を皆さまにお伝えして、将来に向かって羽ばたいていきたい」と、コンセプトに沿ったものであると紹介。
そして、「JCSI(日本版顧客満足度指数)調査で、8年連続1位を獲得した。こういうことも励みとなるので、9年連続、10年連続を狙っていきたい」との決意を示した。
一方、北九州発着便はイベントの内容も若干ながら異なっており、搭乗口に飛行機の外観などをイメージした撮影スポットを設けたほか、搭乗口で好みの3種を選んで機内食として持ち込むというサービスを実施したという。後述するが、羽田空港発着便の機内食は、決められた3点セットが2種類用意されており、そのどちらかを選ぶものとなっていた。
また、北九州はさすがに同社の地元ということもあってか応募総数は羽田発着便より多い2500組。ここから43組113名が当選。初日の出フライトを堪能したそうだ。
話を羽田空港に戻すと、5時40分すぎに搭乗案内。小さなお子さま連れの乗客などへの優先搭乗が行なわれたあと、順番に搭乗。ボーディングブリッジでは同社スタッフがずらりと並んで出迎えた。
SFJ0101便は、6時02分にプッシュバックを開始。出発後には、これもお手製というLEDを使ったメッセージボードを掲げてのお見送りも実施。
さらに、スターフライヤーは国内線ながら機内エンタテイメントシステムが各座席に搭載されたシートモニターで楽しめることが特徴の一つだが、出発後、シートモニターには応募者から同行者に向けたメッセージが表示された。これは搭乗者が応募の際に記入した「感謝」「決意」「未来への思い」。父から娘へ、子供から親へ、そして恋人、夫婦と、さまざまな思いがこもったメッセージが流れた。
機内でしんみりとメッセージが流れるなか、SFJ0101便は6時15分にD滑走路から離陸。すでに太陽が昇る前のグラデーションの空ができはじめていた。
離陸した飛行機は一度右へ旋回し、房総半島を横切るようにして北上。千葉県銚子市の犬吠埼上空で周回を開始し、初日の出の待つことに。この日の犬吠埼の初日の出は6時46分頃とされていた。初日の出フライトは上空から望むことになり、SFJ0101便は高度が2万フィート(6096m)から見るぶん地上よりも早く初日の出を拝める。予定では6時30分すぎには初日の出が顔を出す予定だったのだが、東の空に雲があったため、結局6時40分をすぎた頃に初日の出が顔を出した。
記者は前方に向かって左側の座席にいたが、ちょうど光が強くなる瞬間に立ち会うことができ、新年早々ラッキーだったかも知れない。とは言っても、すぐに旋回に入ったので、右側にいた人も太陽が昇りきっていない状態を見ることができたはずだ。雲が多くても楽しめる初日の出フライトのよさも感じられる。
さて、最大の目的である初日の出鑑賞を終えたあとは、遊覧飛行へ。まずは西へ向かう。三浦半島、御殿場付近、静岡県、渥美半島と進み、伊勢神宮のある志摩半島上空へ向かうルートとなる。
このとき、右側席では富士山や南アルプス、左側席では伊豆半島や静岡県の海岸線を望みながら進むことになる。
機長の説明によれば、「もっとも富士山に近いルート」とのことで、ここでは右側席の方がラッキーだったかも知れないが、本州の海岸線をノンビリと眺めながらのフライトもよい。途中、伊豆半島や御前崎などを眺めつつ、志摩半島上空へ。
志摩半島上空にさしかかると英虞湾が見えてくる。2016年はサミット(先進国首脳会議)が英虞湾の賢島で開かれたことが思い出される。英虞湾の不思議な形に入り組んだ地形を上空から楽しめたのもうれしい。
そしてこの間、機内では機内食やドリンクを楽しむ時間にもなった。機内食は事前に配られており、西へ向かう途中にドリンクをサービスした。
機内食は、「ニシンのエスカベッシュ(南蛮漬け)」「野菜のグリル」「ライスボール」のセット、または「チキンのトマト煮込み」「野菜のキッシュ」「ライスボール」のセットから選択。
ドリンクは先述のように、初日の出らしいお屠蘇もふるまわれた。用意されたのは、北九州市にある溝上酒造の「天心 純米吟醸」。そして、ちょっとアルコール気分を味わいたい人には、「ミニャール スパークリンググレープジュース(赤)」。このほかに、アップルジュースや、オリジナルブレンドのタリーズコーヒー、クラムチャウダーが用意されていた。
さらに、フライト中の機内ではプレゼント抽選会も。CAが箱に入った紙をひき、その紙に書かれた座席番号の人にプレゼントが当たるというもの。3等は北九州市にある「ファボリ」のお菓子詰め合わせ、2等は1/100モデルプレーン。そして1等はスターフライヤー往復航空券ペア。新年から運のよい人がそれぞれ選ばれ、降機後にプレゼントを受け取ることになった。
志摩半島で反転後は一路羽田空港へ。今度は左側の席で富士山を望める位置関係となる。日本第2位の北岳をいただく南アルプスを越えると、すぐに富士山が目に飛び込んできた。
富士山周辺は雲もなくすっきり快晴。元日から三保の松原と富士山の組み合わせを上空から拝めるのは、日本人としては幸せを感じる瞬間だ。
そして大島付近で旋回し、房総半島の南側へ。木更津よりへと進路を変え、羽田空港へと向かう。このときも、澄み渡った空気の向こうには富士山が見えており、三浦半島、横浜市街地とともに富士山を眺めながらのアプローチに。
そして、ずっと富士山を見たまま、8時28分にA滑走路に着陸し、8時36分に所定のスポットへ到着。離陸から着陸まで2時間14分のフライトが終了した。
さらに、到着後にも乗客にプレゼントが用意されていた。通常は荷物を受け取るターンテーブルに、それぞれの乗客の名前が書かれたプレゼントが用意されていたのだ。
中身は社員が作ったというしめ縄や、メモ帳、手ぬぐい、ドリップコーヒー。そしてアルバムだ。
搭乗券を受け取った直後に撮影した写真を、このアルバムとともに思い出にしてもらおうというわけだ。もちろん、そのときに撮影した写真は、乗客ごとに用意されたプレゼント袋に一緒に入れられていた。実は、搭乗券と一緒に「写ルンです」もプレゼントされており、それで撮った写真も一緒にアルバムに収めてほしいとの気持ちが込められている。
そして、極めつけが「社長賞」。このプレゼント袋には「搭乗証明書」も一緒に入っているのだが、そこに記入された同社代表取締役社長 松石禎己氏のサインが緑色のペンで書かれていた1組に、またまたスターフライヤー往復航空券ペアをプレゼントした。
初日の出を空から見ることが最大の目的のSunrise Flightだが、最初から最後の最後まで、驚き、楽しめる趣向にあふれており、お正月早々楽しい思い出を残せるイベントだった。無料参加でこんなにプレゼントをもらえるなんて……と書くとちょっと欲張りな雰囲気が出てしまうが、元日だけにお年玉をたくさんもらったようでうれしい。
まだ来年のことは分からないが、再び企画されることに期待したい。例年11月に募集のお知らせが発表されるので、興味のある方は、その時期にアンテナの感度を高めておくことをお勧めする。