【イベントレポート】

【関空旅博2017】ペルー政府観光庁、世界遺産確実なペルー北部の注目スポット「チャチャポヤス」を紹介

ウユニ塩湖やイグアスの滝などとのコンビネーション旅行も定番

2017年5月27日~28日 開催

ペルーのセミナーでは、定番のスポットではなく「チャチャポヤス」にフォーカス

 5月27日~28日に関西国際空港で実施された「関空旅博2017」に出展したペルー政府観光庁 日本事務所は、ナスカの地上絵やマチュピチュなどの定番観光地だけではない、ペルーの新たな魅力として「チャチャポヤス」を紹介した。

 まず説明があったのはペルーへの行き方。日本とペルーの間に直行便がないため、原則として第三国での乗り換えが必要になる。一般的なのはアメリカ、最近増えてきたのがカナダ、メキシコといった中南米を経由するルートで、ヨーロッパや中東を経由するルートもある。関空からはデルタ航空を使い、成田、アトランタを経由してちょうど24時間でリマへ到着する。デルタ航空のアトランタ経由または、ユナイテッド航空のヒューストン経由の場合は、スルーバゲッジ(乗り換え時に預け入れ荷物を受け取る必要がない)に対応しているという。

ペルー政府観光庁 日本事務所 野呂泰誠氏
参加者にはこんなバゲッジタグをプレゼントした

 ペルー政府観光庁 日本事務所の野呂泰誠氏は、「せっかく地球の裏側の南米まで行ったのだから、ペルーだけではなく、ほかのところへ行きたいとおっしゃる方が多い」とし、ブラジルのイグアスの滝や、ボリビアのウユニ塩湖とペルーとのコンビネーションで旅をする人が多いという。野呂氏はペルーのクスコからウユニ塩湖へは航空路線があり、リマ→クスコ→マチュピチュ→ウユニ塩湖というルートを例示した。

 ペルーの国土は12%がコスタと呼ばれる海岸、28%がシエラと呼ばれるアンデス山脈の山岳地帯、残る60%はシルバと呼ばれるアマゾンのジャングルとなる。野呂氏は「アマゾン川というとブラジルのイメージが強いが、源流にはペルーが多い」とし、むしろペルーの方が自然に恵まれてたアマゾンを楽しめるそうだ。

直行便がないペルーへは、アメリカを経由するのが一般的で、最近はカナダ経由も増えているという。関空から成田、アトランタを経由していくルートは、ちょうど24時間でリマに到着できる
ペルー周辺の観光地と組み合わせての旅行も定番に
ペルー観光の基本情報
ペルー国内の有名な観光スポット

 ペルーの有名観光地として挙げられたのは「マチュピチュ」「ナスカの地上絵」「クスコ」「チチカカ湖」といった、世界中で人気があり、日本でもおなじみの場所。しかもマチュピチュでは麓のマチュピチュ村の初代村長が日本人の野内与吉氏であることが知られるほか、ナスカの地上絵では現在計画が進められている展望台を日本企業が手がけ、さらには日本の大学が新たな地上絵を発見するなど、日本との関わりが非常に深いことを紹介した。

 また、ペルー料理は世界的にも人気とのことで、ワールド・トラベル・アワードで「世界でもっとも美食を楽しめる国」の1位をペルーの料理が5年連続で獲得しているほど、世界で愛されている。またイギリスのレストラン誌が発表する「世界のベスト・レストラン50」でもペルー料理のレストランが2軒ランクインしている。ペルーの子供たちへの「将来なりたい仕事」では1位のサッカー選手に続いて、2位にシェフが人気だという。

 なかでも人気の料理は、「セビーチェ」と「ロモサルタード」。前者はペルーでは生魚を食べる習慣があること、後者は隠し味に醤油を使うことから、いずれも日本人の口に合うという。野呂氏は、ジャガイモや唐辛子などペルー原産の食材が非常に多く、一つの食材でも品種のバリエーションが豊富にあることを、ペルー料理の美味しさの理由の一つとして挙げた。

生魚を食べる習慣があるペルーの有名料理「セビーチェ」
隠し味に醤油を使うという「ロモサルタード」
ペルー原産のジャガイモは、さまざまな品種が栽培されており、ポテト用やサラダ用など使い分けるそうだ
唐辛子も辛いものだけでなく甘みのあるものなど、ジャガイモ同様にさまざまな品種があるという
生魚を食べる習慣があるのもペルーの料理が日本人の舌に合う一つの理由
コーヒー豆の栽培も盛ん
こちらはチョコレートの原料であるカカオ
ピスコというブドウの蒸留酒。そのまま飲むと強いが、サワーにすることで口当たりがよく、飲みやすくなるという
健康食品として注目を集めるキヌアもペルー原産

 このほか、トリップアドバイザーの世界のトップ25ホテルで5位に入った「ベルモンド パラシオ ナザレナス」や、10位に入った「タンボ デル インカ ラグジュアリー コレクション リゾート&スパ」などに代表されるクオリティの高いホテルがあることや、ハイラム・ビンガムという冒険家の名前に由来する豪華列車でのクスコ~マチュピチュ間の移動や、アマゾン川で16部屋しかないクルーズ船で過ごすことができるなど、贅沢な旅を楽しめる国であることも紹介した。

「北のマチュピチュ」「第2のマチュピチュ」こと「チャチャポヤス」の見どころ

 一方、「マチュピチュ」「ナスカの地上絵」「クスコ」「チチカカ湖」という日本人にも人気の観光地は、いずれもペルーの南部にあり、日本人の観光ルートも南部に集中しているという。しかしながら、ペルーにある12個の世界遺産は、実は北部の方が充実しているという。

 今回のセミナーの主題となった「チャチャポヤス」はペルーの北部にある。映画「インディ・ジョーンズ」シリーズの第1作目「レイダース」の冒頭に登場する「チャチャポヤン」のモデルになっており、欧米人にも名の知れた場所なのだそうだ。しかし、チャチャポヤンが遺跡として発見され研究が始まったのが1985年頃で、2000年以降にナショナル・ジオグラフィックなどのメディアで取り上げられて人気が高まったという、新しめの観光地となっている。世界遺産には現時点で登録されていない。

「雲の上に住む人々」という意味を持つチャチャポヤスは、9世紀ごろに栄えたのち、インカ帝国の支配下となり、その後スペインの支配下に入って消滅したとされる。インカ帝国からの攻撃を受けた砦は、マチュピチュより数百年古い遺跡にも関わらず、およそ3倍の石を使った優れた建築技術が用いられ、「北のマチュピチュ」という呼び名もあるそうだ。

 野呂氏は2000年、2004年のナショナル・ジオグラフィックでチャチャポヤスを取り上げた際の表紙を取り上げ、2000年の表紙は「断崖に眠るミイラ」、2004年の表紙は「ペルーの断崖遺跡」というタイトルが付いていることを紹介。

日本人にも知られるスポットはすべてペルー南部に
中部から北部にかけての方が実は世界遺産が多い。チャチャポヤスも北部にある
ナショナル・ジオグラフィックで取り上げられた際のタイトル

 チャチャポヤスエリアは、チャチャポヤスの街から、川に沿って南方向に遺跡が並ぶ。ちなみに、ペルーは観光客を犯罪から守る取り組みを進めたことで治安がよく、チャチャポヤスも安心して観光できる街だという。

 また、チャチャポヤスから遺跡郡と反対方向に「ゴクタの滝」という滝も紹介があった。ゴクタの滝は、231mの上段と、540mの下段から成る、落差771mの段瀑で、チャチャポヤスからクルマで1時間30分ほどのところにあるコカチンパから絶景を見られる。コカチンパはヨーロッパの高原のロッジのような美しい街並みで、ホテルのプールなどからゴクタの滝を楽しめるという。

 さらに片道2時間30分~3時間ほどのトレッキングで、下段の滝壺まで歩いて行くこともできる。野呂氏も実際に下段の滝壺まで歩いたことがあるそうだが、「上段の滝が見えなかった」との感想を話した。

チャチャポヤス近辺の地図
チャチャポヤスの街並み。写真右は「ジャイアント・アント」という名のカクテルだそう
落差771mの段瀑「ゴクタの滝」。コカチンパの街からのんびりと過ごしながら絶景を見られる

 チャチャポヤスの代表的な観光スポットとしては「カラヒアの棺」「レバッシュの霊廟」「レイメバンバ博物館」「クエラップ遺跡」を紹介。

 カラヒアの棺は、チャチャポヤスからクルマで2時間、そこから1時間ほど歩くと見られるスポットで、断崖絶壁に現われた人の形をした木製の棺桶が並んでいる。その棺桶の頭には頭蓋骨があり、棺桶のなかにはミイラが収められているとのこと。以前は8体あったと考えているが現在は5体のみが残されているのみで、野呂氏は「見るなら早く行った方がよいかも知れない」と勧めた。

カラヒアの棺

 レバッシュの霊廟は、チャチャポヤスからクルマで3時間、そこから約1時間歩くことで見られる。やはり石灰岩の岸壁で発見された霊廟で、小さな街のミニチュアだと言われており、やはり中にはミイラが収められているという。

レバッシュの霊廟
200体以上のミイラが保管されているレイメバンバ博物館

 そうしたミイラを保管、展示しているのが、レイメバンバ博物館。非常に状態のよいミイラが残っており、関節を折りたたんで繭のような状態で収められているのが当時の風習を思わせる。

 最後のクエラップ遺跡が、北のマチュピチュと呼ばれている遺跡。チャチャポヤスからクルマで1時間30分、ロープウェイで20分、そこから歩いて30分ほどで訪ねられる。マチュピチュの建物が四角形であるのに対し、クエラップは丸い建物であるのが特徴。アマゾンの山並みをロープウェイで眺めながらたどり着く道程も楽しそうだが、「南のマチュピチュと、北のマチュピチュと呼ばれるクエラップ遺跡を合わせた形のツアーを選んで参加されるとよいのでは」と勧めた。

 そして野呂氏は、「ペルーに行こう、マチュピチュに行こうと思っていた人も、世界遺産確実な素晴らしい遺跡なので候補に入れていただければ」とアピールして、セミナーを終えた。

マチュピチュとは違い丸い家々の跡が残るクエラップ遺跡
クエラップ遺跡の近くまでロープウェイがあり、ここからの眺めもよいとのこと