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日本初就航した、J-AIRの新型機「エンブラエル 190」就航初便セレモニー
「お客さまに対してより快適な空の旅をお届けしたい」と、JAL 西日本地区支配人 中野星子氏
(2016/5/12 18:30)
- 2016年5月10日 実施
JAL(日本航空)グループのJ-AIR(ジェイエア)は5月10日、新型リージョナルジェット機「エンブラエル 190型機(E190型機)」の就航初便セレモニーを伊丹空港(大阪国際空港)の20番搭乗口前で開催した。
J-AIRが導入したE190型機は、これまでJ-AIRが運用してきたエンブラエル 170型機(E170型機)と比べ、座席数が9席増えた95席となったほか、クラスJシートや全席本革仕様のシート装備、全席アクセス可能なAC電源装備など、一段とグレードアップしているのが特徴となる。当初の就航路線は、伊丹~鹿児島便となるが、今後、伊丹~福岡便、伊丹~仙台便への投入が予定されている。
就航初便セレモニーの対象となったのは、伊丹空港を7時20分出発予定のJAL2401便で、機長は間野公太氏、副機長は長谷川涼子氏というスタッフ構成。CA(客室乗務員)は2名体制が本来の姿だが、新型機のため当初1カ月程度は3名で運航し、中條美和氏、水島麻美氏、渡邉有美子氏という3名が乗務した。
就航初便セレモニーは、初便に搭乗する乗客および報道陣に対して行なわれ、J-AIR代表取締役社長の大貫哲也氏とパイロットの記念撮影から始まるなど、リージョナルジェットの初就航らしく家庭的な雰囲気で進行した。
魅力たっぷりのE190型機
主催者を代表して挨拶に立ったのは日本航空 執行役員 西日本地区支配人 中野星子氏。中野氏は挨拶の冒頭、熊本地震で震災に見舞われた被災者にお見舞いを述べるとともに一日も早い復興を祈念し、新型機導入についての抱負を語った。
とくに中野氏が強調していたのが、E190型機の装備の豊富さ。「この飛行機の機内に入るとすぐに分かりますが、全クラス本革シートを採用しています。また、全席からPC電源にアクセスできるので、ぜひお試しください」と、これか初便に搭乗する乗客にE190型機のメリットを伝えるとともに、「これからも皆さまにより快適なサービスをお届けできますよう、新商品、新サービスを導入してまいりますので、ぜひご期待ください。初便を、2401便を選んでいただいたお客さまに対して深くお礼を申し上げます」と、お礼の言葉で挨拶を結んだ。
来賓祝辞は航空行政を管轄する国土交通省 大阪空港事務所 大阪国際空港長 松永博英氏。松永氏も冒頭、熊本地震の被災者にお見舞いを伝えるとともに、「本日の就航が日本の元気につながると信じています」と祝辞を述べた。松永氏が祝辞のポイントとしていたのは、この4月1日から関西国際空港(KIX)および大阪国際空港(ITM)の運営を新関西国際空港株式会社から引き継いで発足した関西エアポート株式会社にとって、新機材導入がその発展の一助になるだろうということ。「変化の中で航空会社と協力し、地域の皆さまと良好な関係を築きながら安全・安心を踏まえて、さらに強固な関係を築き上げていきたいと思います」と挨拶を結んだ。
メーカー祝辞は、機材メーカーであるエンブラエル アジア・太平洋地区 バイスプレジデント マーク・ダナキー氏。ダナキー氏は、「エンブラエル 190型機は大阪から鹿児島へ向けて就航しますが、これはJ-AIR同様、エンブラエルにとっても重要なイベントです。エンブラエル 190型機にとっては日本初就航となり、J-AIRにはエンブラエル 190型機を運航するリーディングエアラインの1つとなっていただきました。乗客の皆さまをはじめ、パイロット、客室乗務員の皆さまには、エンブラエル 190型機の持つスペースやテクノロジーを確認いただけると確信しています。新しい内装や、クラスJシートの提供により、お客さまは美しいキャビンにより、素晴らしいフライトを体験することになると思います」と、これから搭乗する乗客にE190型機の魅力を伝えた。
挨拶の最後に、「日本各地にお客さまを運び、人々と目的をつなげているJ-AIRは素晴らしいと思います。皆さまのエンブラエルの信頼に感謝し、新しい190型機の順調な運航を成功をお祈りいたします。ありがとう」と、お礼の言葉を述べた。
挨拶の後には、記念のテープカットが行なわれたのだが、ここでちょっとしたハプニングが。就航日の前日にはJALの格納庫内においてE190型機のお披露目式が行なわれたのだが、その際のテープカットにダナキー氏は参加。テープカットの際に用いる白手袋が小さくてなかなか入らなかったのだ。しかしながら今回はダナキー氏用に大きな白手袋を用意。J-AIR 大貫社長が英語で「今日は大きな手袋を用意しました」とダナキー氏に語りかけ、ダナキー氏はその心配りが非常に嬉しいようで、体全体で喜びを表現していた。
J-AIR「エンブラエル 190型機」の離陸撮影を定時到着率世界一のJALが……
テープカットの後、就航初便への搭乗が始まった。搭乗客は中野支配人やJ-AIRスタッフから記念品を受け取りE190型機に乗り込んでいく。ちなみに当日の搭乗客は94名で、ほぼ満席状態でのフライトとなった。
初便フライトの模様は関連記事「J-AIRが新導入した『エンブラエル 190型機』の初便に乗って、伊丹空港から鹿児島へ」をご覧いただきたいが、お見送り撮影組の報道陣は20番搭乗口前から駐機場へ移動。あいにくの小雨の中、その離陸を待つこととなった。
初便の離陸する7時台は、J-AIRにとって離陸ラッシュとなる時間帯のようで、多数のJ-AIR機を見ることができた。初便がスポットアウトしたブロックアウトの実時刻は7時33分。誘導路へ向かうE190型機を見送った後、離陸撮影を撮ろうと思って待っていると、それを塞ぐようにJALの大型機ボーイング 777-200型機がプッシュバック。これは7時30分伊丹発のJAL104便で、報道陣からは「さすが定時到着率世界一!!」との声が飛び交っていた。
E190型機の離陸滑走は混雑のため遅れているようで、JAL104便はE190型機の離陸前に無事視界から消えていきほっとしたのもつかの間、羽田空港から伊丹空港にJALの大型機ボーイング 777-200型機到着。これは7時35分到着のJAL101便で、再び報道陣からは「さすが定時到着率世界一!!」との声が。結局、このJAL101便に視界を遮られるような形でE190型機の初便は鹿児島へ向けて飛び立っていった。
離陸撮影後の囲み取材において、中野支配人に初便を見送った感想を聞いたところ、「感動しました。170型機は190型機は雲に消えていく寸前まで見ていると、767型機とフォルムが似ていて大きいなと思いました。新しいピカピカの第1号機が伊丹を出発してくれたことをすごくうれしく思います」と語ってくれた。
クラスJシートなど装備の充実については、「電源があるので、仕事するにあたって便利です。今は新幹線にも電源はついており、お客さまがふと思ったときに充電できたり、今後はご自身でエンタテイメントを楽しめます。伊丹空港(の搭乗待ちエリア)には充電ステーションもあり、お客さまの利用率も高いです。スマートフォンなどIT関係のものは生活必需品になっているので、機内でも安心して使えるという便利さをお客さまに味わってほしい」とのこと。「クラスJ、全クラス本革シート、PC電源のアクセスを訴求していきたい」と語り、新導入したE190型機のメリットを多くの利用客に伝えることで、さらなる航空需要の拡大を目指していくようだ。
また、ビジネス客と観光客の利用割合については、電源が全席から利用可能になったこと、クラスJシートを装備したことから、全体としての需要が増えつつ「ビジネス利用が増えていくのではないか」とのことだった。