ニュース
トヨタ、ヤンマーと共同開発の複合素材採用「トヨタハイブリッドハル」採用のコンセプトボート
(2016/3/7 12:04)
- 2016年3月3日~6日 開催
トヨタは3月3日~3月6日に開催された「ジャパンインターナショナルボートショー2016」(以下、ボートショー2016)において、ヤンマーと共同で開発したFRP・カーボン・アルミの複合素材による次世代ハル(船体)「トヨタハイブリッドハル」を採用した「TOYOTA-28 CONCEPT」を展示した。
トヨタとヤンマーは、3月1日にマリン事業分野での業務提携を発表。技術開発、生産、部品の相互利用などの幅広い分野で協業を進めることに合意した。アルミ製ハルで実績を持つトヨタと、FRP製ハルの業務用船舶を製造するヤンマーは、昨年(2015年)から次世代ハルの生産技術開発を共同で進め、アルミハルと同等の剛性、軽量で複雑な曲面形状に対応できるトヨタハイブリッドハルの量産化技術に目途を付けた。
アルミ製ハルは剛性感に優れる一方、高度な加工技術の必要性と生産性に課題があり、トヨタは2年前からFRP、カーボン、アルミの複合素材による次世代ハルの開発を進めてきた。その過程で、ヤンマーの有する高度なFRP成型技術に着目し、共同開発に至った。
トヨタハイブリッドハルの剛性はアルミと同程度以上、FRPハルとの比較で約7倍という。船体重量は、アルミハルと比較して約10%の低減となる。また、複雑な曲面形状の成型が可能となり、従来のアルミ溶接では困難だった走航安定性の高い船底形状を実現している。さらに生産性の向上、製造コストの削減も実現している。
トヨタハイブリッドハルを採用した試験艇「TOYOTA-28 CONCEPT」は、従来の同型艇を凌ぐ、走破性、旋回性能を確認しているという。トヨタは、同試験艇の商品化を進めている。また、ヤンマーに「トヨタハイブリットハル」に加え、舟艇の製造も委託する予定となっており、2016年10月の発売に向け具体的な準備を進めている。
トヨタはアルミ製ハルと自動車エンジンを採用したプレジャーボート、ヤンマーは産業用ディーゼルエンジンを事業の柱とし、フィッシング系ボートを得意としているが、今回の技術開発、生産分野での協業を契機に、エンジンを含めた主要部品の相互供給、および、互いの得意分野を活かした商品開発、販売、アフターサービス分野における協業も検討している。
PONAM-31
トヨタらしく走りにこだわったスポーツユーティリティークルーザー。2015年ボート・オブ・ザ・イヤー受賞。191kW(260ps)のエンジン「M1KD-VH」を2基搭載と、低燃費、低騒音、低振動を達成している。ジョイスティック1本で、離着岸を簡単に操作できるトヨタドライブアシストと自動制御により定点保持機能等を持つトヨタバーチャルアンカーシステムがオプションで用意される。
全長:10.57m
全幅:3.20m
総トン数:6.6トン
エンジン:M1KD-VH×2
エンジン出力:191kW(260P)×2
燃料タンク容量:620L(軽油)
定員:12名
航行区域:沿海
メーカー希望小売価格(税抜):2970万円
ブースには、エンジンの展示や、離着岸の難しい操船をジョイスティックで操作できる「TDA(トヨタ ドライブ アシスト)」を体験できるデモンストレーションなどが設置されていた。
ボートショー2016の第2会場、横浜ベイサイドマリーナには、プレミアムシリーズの「PONAM-35」と、参考出展のリノベーション艇「PONAM-45」が展示されていた。
PONAM-35
LEXUSのデザイナーがデザインしたプレミアムクルーザー。カーデザインで採用している複雑な3D曲面の造形処理のノウハウを取り入れ、立体的なフォルムと曲線美を追求している。2011年グッドデザイン賞を受賞。
全長:11.95m
全幅:3.94m
総トン数:10トン
エンジン:M1VD-VH D-4D
エンジン出力:272kW(370ps)×2
燃料タンク容量:850L(軽油)
定員:12名
航行区域:沿海
メーカー希望小売価格(税抜):5850万円