ニュース
ANA、12月から国際線エコノミークラスで自社製パンを提供開始
ANAケータリングが羽田にベーカリーキッチンを新設
(2015/11/27 11:37)
- 2015年11月25日 公開
ANAケータリングサービスは11月25日、羽田工場(東京都大田区)に新設したベーカリーキッチンを報道陣に公開した。同社はANAホールディングスが100%出資するグループ会社で、機内食の製造・調製業務をはじめ航空機内へのサービス用品搭載および積み降ろし、機内サービス用品の保管および管理業務を行なう。主要取引先航空会社はANA(全日本空輸)をはじめ、AIR DO、スターフライヤーといった国内航空会社のほか、エア・カナダやエバー航空など幅広くサービスを提供している。
同社の工場は羽田と成田、それに2011年に操業を開始した川崎の計3カ所あり、成田空港および羽田空港から出発する国際線機内食を担当している。このうちパンは成田工場内にあるベーカリーキッチンで製造していたが、今後はすべて羽田工場で製造されることになる。さらに2016年5月には製菓および製氷(アイスクリームなど)も羽田工場に集約し、成田工場は今後の生産量増に向けたスペースとして活用される。今回の規模拡大の背景には2020年の東京オリンピックに向けた生産量増への対応を見据えたほか、航空分野外への提供も視野に入れたものだという。改修費用は約2.6億円。
羽田工場の面積(括弧内は成田工場との面積比)
製造エリア:293m2(1.5倍)
原材料保管エリア:46m2(2.6倍)
完成品保管エリア:144m2(2.4倍)
その他エリア:46m2
計:529m2(1.9倍)
羽田キッチンは成田工場比で面積が約2倍になったことで、新たに「分割・成形器」、生地の発酵を促す「カートインホイロ」「個包装機」を導入したほか、オーブンおよびミキサーも追加導入された。従来の生産能力は約8000個/日に留まっていたため、自社製パンの提供はファーストおよびビジネスクラス、ラウンジなどに限られていたが、余力が生まれたことで2015年12月1日からはエコノミークラスでの提供も開始する。また、2016年1月12日からは千葉県のテーマパークで外部販売をスタート。2025年には年間売り上げ規模30億円を見込んでいるという。
ペストリー部シェフを務める香取伸亮氏は「機内の特別な環境に対応した美味しいパンやデザートを作るノウハウを持っている」ことが同社の強みであるとしたほか、「季節感を持ってその時々の旬な食材を使ったパンを召し上がっていただきたい」と語った。
また、「機械挽きと石臼挽きした2種類の北海道産小麦をブレンドして使用するほか、もっちり感を出すため普段パンで使わない粉も加えている」「長時間低温発酵を行なう“オーバーナイト法”を採用することでパンに豊かな風味と食感をもたらす」といった、同社ならではのコダワリも併せて紹介した。