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東海北陸ブロック物産観光連絡協議会 情報提供会を開催

各エリアの見どころについて発表

2016年3月10日 開催

 東海北陸ブロック物産観光連絡協議会は3月10日、「東海北陸ブロック物産観光連絡協議会 情報提供会」を開催した。愛知県南知多町、富山県、名古屋市、岐阜県・福井県、石川県、三重県から、それぞれのエリアの「春の見どころ」などについてPRしたので、その内容についてレポートする。

海水浴、海の幸、SKE48のサイン入り路線バスも走る南知多

愛知県南知多町観光協会 事務局長 久世守氏

 まず最初にプレゼンテーションに登壇したのは、愛知県南知多町観光協会 事務局長の久世守氏。「南知多にはかつて国内初のサンドスキー場があり、昭和8年(1933年)の大会には2万人が訪れたこともある。スキーを楽しめる細かい砂だったため、太平洋戦争で物資として採取されてしまい、スキー場はなくなった」と歴史について語った。また「知多半島と言えば海水浴のお客様、次いで魚釣りのお客様、これで年間100万人が来訪するエリアだが、ほかにもいちご狩りで15万人のお客様がいる。ふぐやタコ、しらすもグルメ層にはうれしい場所だ」とも。さらに「いちご狩りだけでなく農産物の狩りもぎ、船での漁業体験、地引網体験、干物作り、さまざまなアクティビティがある」と紹介していた。

下関からふぐ料理の指導を受け、70軒の旅館すべてに調理師がおり、シャコの水揚げは日本一。SKE48の「羽豆岬」の歌碑除幕式に訪れた際のサイン入り路線バスも走っているという

高岡は日本遺産の街。伝統工芸品や多くの祭りも楽しめる

富山県 首都圏本部 槻和俊氏

 2015年に文化庁から「日本遺産」に認定された高岡市。城下都市、宗教都市、商工業都市という性格が集まった町であり、松尾芭蕉も「奥の細道」で句に詠んだ「有磯海(女岩)」も2014年に国の名勝指定を受けているが、世界文化遺産暫定一覧表候補でもある。富山県 首都圏本部の槻和俊氏は「高岡城は、一国一城令で配城となったが、前田利常が城下町から商工業都市へと転換し立て直し、町民の心意気と、ものづくりの職人魂が根付いている」と語っていた。また「高岡は藤子・F・不二雄先生の出身地。2015年12月に藤子・F・不二雄ふるさとギャラリーもオープンしているので、足跡を辿っていただくのも楽しいと思う。そのほかにも富山県西部には見どころがいっぱいある」と話していた。

高岡御車山祭は重要有形・無形民族文化財指定で、これは全国で5例のみ。伏木曳山祭のように山車をぶつけ合うエキサイティングな祭りだという

名古屋城本丸御殿 2期公開は2016年6月1日予定

名古屋城総合事務所 運営係主事 谷川雄城氏

 続いて登壇した名古屋城総合事務所 運営係主事の谷川雄城氏が、6月に迫った名古屋城本丸御殿の第2期公開に関するプレゼンテーションを行なった。名古屋城本丸御殿は近世城郭御殿の最高傑作とも評されており、1930年(昭和5年)に城郭御殿として国宝第1号に指定されている建築物である。その復元工事についても忠実さが重要視され、当時の手法の再現など巧みな技と努力を要していることはうかがい知れる。第2期公開の見どころとしては、「第1期で公開された玄関は、来訪者への威厳を保つために日本には存在しなかった虎が描かれていたりしたが、第2期で公開する対面所は親しい人間と接見する場所なので、人物が描かれている。これも当時のものを充実に再現するよう努めている。天井もシンプルな組み上げではなく、二十折上げ小組格天井と言う手の込んだものだ」と語った。

当時と同じ手法で復元されている本丸御殿。屋根も瓦ではなく何層にも重ねた木材を、金属の釘ではなく竹で作られた釘で固定する手法を用いているとのことだった

「岐阜と福井は“ひと”と“もの”の交流が盛んだった」美濃・群上・福井・大野、各市の合同プレゼンテーション

 越前と美濃を結ぶ街道は、現在の岐阜県側では越前街道、福井県側では美濃街道と呼ばれ、岐阜と福井は国境を越えて「ひと」と「もの」の交流が盛んだったらしく、越前美濃街道を結ぶ美濃、群上、福井、大野の4市には、歴史、文化のみならず、魅力的な景観、食事、体験があるとのことだ。

岐阜県美濃市

美濃市 産業推進部観光課 曽貝和人氏

 美濃市 産業推進部観光課の曽貝和人氏は「美濃市は和紙とうだつの町。江戸時代中期からの“うだつ”の上がる家が保存されていて、江戸情緒残す町並みを楽しむことができる」とコメント。「うだつ」は屋根の両端を一段高め、火災時の類焼を防ぐ防火壁で、富の象徴だったものから、のちに「うだつが上がらない」の語源にもなったという。また「美濃まつりも見応えがあるが、美濃和紙の里会館で、職人の道具と天然の原料を使った紙すきの体験もできるので、ぜひ足を運んでほしい」とアピールしていた。

美濃市で4月に行なわれる「美濃まつり」
2014年に手漉き和紙の技術がユネスコ無形文化遺産に登録された「本美濃紙」

岐阜県郡上市

郡上市 商工観光部観光課 酒井義文氏

 郡上市 商工観光部観光課の酒井義文氏は「最近、カメラマンには郡上八幡城が人気。気象条件が合えば、雲の上に浮かぶ城を写真に収めることができる」と、プレゼンテーションには自身が撮影した画像も含まれていた。また「郡上と言えば、7月から9月までの32夜行なわれる“郡上おどり” という日本一ロングランな盆踊りがある。郡上だけでなく、今年も東京青山の秩父宮ラグビー場の駐車場で2日間行なわれる。関東圏でもファンが増えている」とのこと。さらに「観光列車『ながら』を運行するが、ランチプランでも1万2000円。けっこうチャレンジングなこともしているが、5月の予約は満席になっている」と話していた。

夏に開催される「郡上おどり」。6月24日~25日には東京の青山でもイベントが開催される
4月に運行される観光列車「ながら」は水戸岡鋭治氏によるデザイン

福井県大野市

大野市 産経建設部観光推進課 横井一博氏

 大野市 産経建設部観光推進課の横井一博氏は「福井県で一番大きな面積を誇る大野市は人口3万5000人だが、面積の約90%が森林。ここ1~2年はメディアに天空の城と取り上げられた越前大野城が人気で、関東からも多くのカメラマンが訪れている。湧水がとれるスポットも多くあり、御清水が名水百選にも選ばれた」とのこと。また「今からなら春の花、カタクリ、桜、ハナモモ、シバザクラなどが楽しめるし、秋には紅葉が美しい。3月20日から大本山永平寺御用達の老舗醤油蔵で、醤油作り体験もできる」とのことだった。

「天空の城」で話題を集める越前大野城
これからの季節はシバザクラやハナモモなどが見頃を迎えるという

福井市

福井市 商工労働部おもてなし観光推進室 内田佳邦氏

 福井市 商工労働部おもてなし観光推進室の内田佳邦氏は「毎年4月に『ふくい春まつり』を行なっている。市内の中心部を流れる足羽川沿いの2kmに渡る桜並木をライトアップして、みなさんに夜桜を楽しんでもらっている。また明治初期に福井藩が招いた外国人教師が住んでいた邸宅を復元したグリフィス邸も足羽川沿いなので、観桜時の休憩所としても利用していただける」とのことだ。また「ソフトバンクのCMに出演する白い犬、お父さんの故郷として設定されているので認知度が高い一乗谷朝倉遺跡は、戦国時代に織田信長に敗れて燃やされてしまった城下町跡。通常は古い町並みの上に新しい建造物が建てられるが、そっくりそのままなのは珍しく、重要文化財指定を受けている」と話していた。

足羽川沿いの桜並木は日本さくら名所100選の1つという
一乗谷朝倉遺跡は戦国大名朝倉氏が治めた城下町跡

日本を代表する哲学者・西田幾多郎に触れる、石川県かほく市

かほく市 産業建設部産業振興課 清水利典(左)と、石川県 西田幾多郎記念哲学館主事 井上智恵子氏(右)

 かほく市 観光物産協会事務局 産業振興課の清水利典氏と、石川県 西田幾多郎記念哲学館の主事である井上智恵子氏のプレゼンテーションでは、まず清水氏が市の概要を紹介したあとに、井上氏から西田幾多郎記念哲学館の解説があった。「西田幾多郎の思想は近年でもさまざまな人々に影響を与えている。俳優の堺雅人氏も“先輩俳優、西田幾多郎”と紹介したこともあった。哲学の道というと京都を連想される方が多いが、西田幾多郎は石川県の生まれ」と話し、続けて記念哲学館の構造などについて説明していた。また清水氏は「西田幾多郎記念哲学館を昼間だけでなく、夜も誘客出来るようにしていきたい。また道の駅高松を3億円かけて改修した。里海館は西田幾多郎が愛した“日本海”の絶景ポイントの1つで、かほく市は夕陽が観光資源である」と付け加えた。

西田幾多郎記念哲学館は、金沢にも能登にも観光の足を伸ばせる立地
3億円をかけて改修されたという道の駅高松

伊勢市は5月までのメディア向けイベントスケジュールについて発表

伊勢市情報発信センター センター長 田中章雄氏

 伊勢市は伊勢志摩サミットの取材を予定している国内外のメディアに向けて、伊勢市情報発信センターを2月1日にすでに開設している。これはサミットだけでなく市の自然や歴史、店舗、食、観光などを取材してもらい、市の知名度をさらに高めることを目的にしたものだが、サミット終了後も長期的に観光客が訪れる国際的な観光都市となるために、メディアの取材に全面的に協力する店舗や観光施設で構成される「伊勢志摩サミット プレスサポーターズ おもてなし 100」を結成したと発表した。

 登壇した伊勢市情報発信センターのセンター長である田中章雄氏は、「サミットには各国の首脳はもちろん、国内外から5000人以上のメディア関係者が集まることが予測されている。彼らはサミットに関する情報はもちろんだが、伊勢・志摩がどんなところかなのか、情報を発信する仕事も担っている。そのため伊勢市が中心となり包括的な情報を発信することになった。また、取材などに協力する店舗や観光施設で、おもてなし 100を結成した。伊勢詣でに来られた方々に対するおもてなしの気持ちと同様に、取材に来られた方にもおもてなしをする」と語り、メディア向けのイベントや、まだメジャーではない観光スポットについて紹介した。

(酒井 利)