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JAL、35歳以下の若手料理人のコンペ「RED U-35」ファイナリストによる機内食を9月から提供
日本発中~長距離の国際線、プレエコ・エコノミークラスで
2017年8月29日 00:00
- 2017年8月28日 発表
JAL(日本航空)は8月28日、日本発の中~長距離路線のプレミアムエコノミークラスとエコノミークラスで、2016年度の「RED U-35」ファイナリストが考案・監修したメニューを提供すると発表した。
RED U-35(RYORININ's EMERGING DREAM)は「偉大なる料理人になることを目指す『35歳以下の料理人』」を応募条件に掲げる料理コンペティションで、若い世代の料理人を発掘・支援することを目的に2013年から実施されている。主催はRED U-35実行委員会、共催はぐるなび。
RED U-35では、味や技術といった料理そのものだけでなく、応募者の情熱や夢、表現力、センス、将来性などさまざまな面を選考基準に加えており、現在選考が進んでいる2017年度の審査員には、脇屋友詞氏(審査員長)、落合務氏、鎧塚俊彦氏など、著名なシェフが揃っている。
今回の発表で、JALは9月1日から2018年8月31日までの1年をかけて、RED U-35 2016年度ファイナリスト6名監修による機内食を提供するとしており、3カ月おきにメニューを更新していく。発表当日は9月1日から11月30日までの「秋メニュー」として、2016年度グランプリの井上和豊氏(szechwan restaurant 陳)と同 岸朝子賞の桂有紀乃氏(ザ・プリンス パークタワー東京「レストラン ブリーズヴェール」)が考案したメニューを報道関係者に披露した。
会見で登壇したJAL 代表取締役社長の植木義晴氏は、秋メニューのメインディッシュが井上和豊氏考案の中華と桂有紀乃氏考案の洋食になることに触れて、「和食を用意しないのは初めて」と述べつつも、「それだけRED U-35ファイナリスト監修の機内食に期待している」と話した。また、社長就任当初から「なぜ中華がないのか」と機内食担当チームを困らせていたと冗談交じりに明かし、(就任から)5年越しで希望が叶ったと挨拶を終えた。
第1回(2013年度)と第2回(2014年度)でも審査員を務めた落合務氏(LA BETTOLA da Ochiai)は、「料理人は意外とシャイな人間が多い」「彼らをもっと引っ張り出したい」としたうえで、過去4回の受賞者たちが現在活躍しており、それによって「この大会が注目を浴びて参加者が増えていることはありがたい。どの業界でも人材を育てるということが非常に大事で、埋もれている人たちが脚光を浴びて、この業界を引っ張っていくように育ってほしい」とRED U-35の意義を述べた。
JAL 商品・サービス企画本部 開発部の綱島寛哲氏からは、路線によっては半数以上が日本人以外の乗客になる場合があり、国籍や年齢を問わずに満足できる機内食を目指す必要があったことと、RED U-35に和洋中など各カテゴリーの若手スペシャリストが揃っていることから、今回のコラボレーションが実現したと説明があった。
秋メニューについては、井上和豊氏監修の中華のメインディッシュ「マイルドエビチリ 翡翠ライス添え」で、幅広い国籍・年齢層に対応できるよう、井上氏のコンセプトを保ちつつ辛味を抑えるために試行を重ねたことや、桂有紀乃氏監修のフレンチのメインディッシュ「ハンバーグ パプリカのケチャップ風ソース フェットチーネクリームソース」で、ソースの赤はトマトではなくパプリカを使っていることなどを解説した。
また、サイドディッシュは井上氏監修の「よだれ鶏」、桂氏監修の「タコポテトサラダ バーニャカウダーソース」と「ココナッツのブラマンジェと南国風リンゴのコンポート」の3品を提供する。
RED U-35ファイナリスト監修機内食の提供路線
成田発:シカゴ、ダラス、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴ、バンクーバー、フランクフルト、ヘルシンキ、パリ、モスクワ、シドニー、メルボルン、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、デリー、ハノイ、ホーチミンシティ、バンコク、マニラ行き
羽田発:ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、パリ、シンガポール(JL037)、バンコク(JL031)行き
中部発:バンコク行き
関西発:ロサンゼルス行き
最後に、秋メニューの監修を行なった2名のシェフが料理を解説し、井上和豊氏は「四川料理が専門なので麻婆豆腐などもっと辛いものもあるが、今回は“伝統的な日本の中華料理”ということでエビチリを選んだ」「よだれ鶏は最近の流行っている料理で、エビチリという昔から人気があるものと、最近人気があるものの2つを用意した」と説明。桂有紀乃氏は「エコノミークラスとプレミアムエコノミークラスは人種や年齢、旅の目的はさまざまだが、機内食が美味しければ、自分だけでなく隣や前の席の人もハッピーになって、ただの移動ではなく幸せな空間になる」と料理に込めた願いを話した。