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ミス沖縄OGが講師を務める人材育成研修。沖縄県内の地域観光大使13名が受講

2017年8月22日 実施

沖縄県内地域観光親善大使を対象に、沖縄観光コンベンションビューローが「ミス沖縄を活用した人材育成研修」を実施

 OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は8月22日、ミス沖縄卒業生が身につけたスキルを人材育成に活用する「ミス沖縄を活用した人材育成研修」を、沖縄県内地域観光親善大使を対象に実施した。

 ミス沖縄は1981年に初代が誕生し、これまでに105名の卒業生を輩出。2016年12月にはミス沖縄OG会を立ち上げた。在任前も含め200時間以上の研修をとおして立ち居振る舞い、マナーはもちろん、沖縄の歴史、文化、自然、地域などの知識を広く身につけている。今回実施した「ミス沖縄を活用した人材育成研修」は、ミス沖縄卒業後も各分野で活躍する彼女たちのスキルを、人材育成に活用しようというプログラムだ。

 研修には那覇市、名護市、恩納村、南風原町、本部町の5市町村13名の観光親善大使が参加した。講師を務めたのは、ミス沖縄2003クリーングリーングレイシャスの幸喜若菜さんと、ミス沖縄2016クリーングリーングレイシャスの新里由香さん。また、現役ミス沖縄2017の町田満彩智さん(コバルトブルー)と島袋愛梨さん(クリーングリーングレイシャス)も参加した。

ミス沖縄OGが講師を務める。現役ミス沖縄も参加した

 最初の講義は幸喜さんによる「愛される女性になるためのマナー」。

 人は見た目の印象が大事だということ、「マナー」は自分のためでなく相手のためにあるということを軸に、身だしなみや笑顔、立ち方・座り方、挨拶と発声などについて実技を取り入れながら説明した。

ミス沖縄2003の幸喜若菜さん。航空会社のCA(客室乗務員)勤務を経て、現在は沖縄ビジネス外語学院で講師を務める

 ビジネスの場での身だしなみについては、靴、髪型やメイク、制服(コスチューム)、アクセサリー、ストッキングについて気を付けるべき点、好印象を与える点を説明。また、行事などに参加する際にはコスチュームに着替える前の私服についても気を付けるべきだと説明があった。

 コスチュームを身に着けた際には、前からだけでなく360度、どの角度からも見られていることを意識するということ、「後姿が美しい人は、美人である」という言葉が印象的だった。

 また、受講者を5つのグループに分けて3分間お互いの第一印象を伝え合うという実技を行なった。女性はいろいろな女性を見て、よいところを自分に取り入れたり、自分にはできているかを考えることが大事だということであった。

 笑顔については、鏡を見ながら表情の筋肉をほぐす体操を行なった。口角を上げることはもちろん、目も笑っていることが相手に好印象の笑顔だということだった。

 椅子への座り方と立ち方では、ミス沖縄2017がお手本となって練習。スマートな座り方、立ち方、また座っている状態できれいにみえる足の位置などを実践した。

鏡を見ながら笑顔のチェック。表情筋をほぐす「イーウー体操」も実践した
壁際に立ち、美しい立ち方を指導。壁にお尻、ふくらはぎ、かかとが付くように立つのがポイント
美しく見える座り方では、足の流し方もポイント

 挨拶の仕方では、「声を届ける」ことを意識することを学んだ。発声する前に息を吸い込むと、声が明るく通りがよくなるとのことだった。スピーチをする場合は、発声練習をしてから行なうと声が柔らかくなるとのことだ。また、ボイスレコーダーなどで自分の声を繰り返し聞くことも、スピーチ上手になるコツとのことだった。

 最後に、観光大使の理想像についての話があった。「観光大使に選ばれたときの気持ちを忘れず、サポートしてくれる周囲の人たちへの感謝を忘れないこと」「自分の役割は何かを考え、自分の行動を振り返るくせをつけること」「ミス卒業後もいろいろな人と接し、学ぶことを忘れないで」とのメッセージで締めくくった。

ミス沖縄2016の新里由香さん。現在、一般財団法人沖縄美ら島財団の職員として、首里城公園管理センターの広報を担当している。

 次の講義は、新里さんによる「沖縄・琉球の心を学ぶ」がテーマ。沖縄の地域観光大使は、地域のことはもちろん沖縄の歴史を知ることも必要とのことだった。

 琉球王国として統一される前から沖縄では世界との貿易が栄えており、特に中国との交流は500年続いていることや、1429年に尚巴志が琉球王国を統一し、政治・文化・外交の中心が首里城になったことなど琉球王国の歴史から、大交易時代にさまざまな国から文化を取り入れ、独自の文化を作っていったことなど歴史を振り返った。

 明治時代に日本に統合されて沖縄県となり、昭和に入り沖縄戦で大変な被害を受けたこと。しかし戦後、がれきの中から大切なものを拾い集めて文化、歴史を守ったことなどの話があった。

 沖縄の人が昔から、おもてなしの精神に優れ、誠実で嘘を許さない民族であったことが今の沖縄を作り上げていることを改めて知ることができた。

 続いて「今でも実際に見ることができる沖縄の心」について、クイズ形式で説明があった首里城にたくさん描かれている龍の爪の本数(正解:4本)や、大交易時代の鐘の名前(正解:万国津梁の鐘)は受講者からすぐに正解が出たが、3問目の「紅型によく描かれている柄はどちら?――A:ハイビスカスなど南国風の柄、B:梅や雪など南国では見られない柄」については悩んでいたようだった。正解はBの「梅や雪など南国では見られない柄」。日本や中国から伝わった沖縄では見られないものがデザインに取り入れられたのだそう。これらの柄を独特の色彩センスで明るい陽射しの下で映えるようにデザインしているのだ。

 最後に、自らの誇りと自覚を高めるためのまとめとして、沖縄の民俗学者・伊波普猷(いはふゆう)の言葉「あなたの立つ場所を深くほれ、そこには泉がある」を紹介。自分の地域の誇れるところはどんどん掘り下げ、世界に誇れるものを見つけていってほしいとのことだった。

イラスト入りで分かりやすく歴史を説明
クイズ正解者には首里城グッズがプレゼントされた
講義のまとめとして、伊波普猷の言葉を紹介
ミス沖縄2017の町田さん(左)と島袋さん(右)によるデモンストレーション。スピーチの際には「はいたい」と元気な声で挨拶。コスチュームの紹介も行なった

 続いて、ミス沖縄2017の2名によるスピーチのデモンストレーションがあった。コバルトブルーの町田満彩智さんは、ミス沖縄が日々どのような活動をしているかを述べ、ミス沖縄のコスチュームについての紹介をした。また、沖縄のよいところとして、平和の心と“いちゃりばちょーでー(一度会えば兄弟)”の心を持つ温かさだとアピール。

 クリーングリーングレイシャスの島袋愛梨さんは、夏の沖縄の魅力を、色彩の豊かさでPR。赤といえば首里城、白といえば輝く砂浜、そして青く輝くコバルトブルーの海は沖縄の象徴とまとめた。また、宮古島に訪れた際のエピソードも紹介した。

 研修最後のプログラムはスピーチレッスン。受講者がそれぞれの地域の魅力を1分間でスピーチするのが課題で、15分間のグループディスカッションの時間が与えられた。

 最初に発表したのは、南風原町・琉球かすりの女王の金城理沙子さん。南風原町は唯一の海のない町で、絣(かすり)の文化が600年続いている町。絣の着物を着けての「かすりロード」散策や、かすり会館での機織り体験などのお勧めポイントを紹介した。「シャーラートントン」と機を織る音を表現していたのが印象的だった。

南風原町・琉球かすりの女王の金城理沙子さん

 次は、那覇市・那覇観光キャンペーンレディのバトルズ・未来・パトリシアさん。毎年国際通りで行なわれる「一万人のエイサー踊り隊」を紹介した。各地の伝統的なエイサーから新しい創作エイサーまで見ることができ、太鼓の音が心臓に響く様子や、各チームの個性的な衣装を見るのも楽しいとアピールした。

那覇観光キャンペーンレディのバトルズ・未来・パトリシアさん

 次は、恩納村・ミス恩納ナビーの具志堅ホサナさん。クルマで鮮やかな風景のなかをドライブできるリゾートエリアであり、プチプチの海ブドウや甘いマンゴーなど特産品もたくさんあることをアピールした。

ミス恩納ナビーの具志堅ホサナさん

 続いて、名護市・名護さくらの女王の吉川華保さん。水がきれいでオリオンビール工場があることで知られる名護市。工場見学は大人も子供も楽しめ、自らもビールができるまでをワクワクしながら見学したことを紹介。試飲では、生産者の思いまでも味わったと感想を述べた。

名護さくらの女王の吉川華保さん

 最後に、本部町・もとぶミス桜の與儀美流生さん。本部町には美ら海水族館があり、世界最大級の水槽の中をジンベエザメが悠々と泳ぐ姿に感動するとアピール。フクギ並木では昔ながらの沖縄のゆったりした時間を感じることができると紹介した。

もとぶミス桜の與儀美流生さん

 受講者たちのスピーチについて幸喜さんは、各地の素晴らしさが伝わったと評価。自分の体験したことを自分の言葉で伝えること、少し言葉に詰まっても笑顔で伝えれば聞いている人はよい印象を持って聞いてくれるとアドバイスした。

 新里さんは、常に沖縄や自分の地域のことにアンテナを張り巡らせ、五感を研ぎ澄ませようとアドバイス。「自分自身が沖縄を楽しんで」と結んだ。

最後に全員揃って記念撮影。美しい座り方、立ち方もさっそく実践していた