ニュース

資格なしで業務可能になる通訳案内士法、ランドオペレーター登録制度を設ける旅行業法の改正法令を2018年1月4日施行

地域特化型の資格制度新設なども

2017年8月15日 発表

2018年1月4日 施行

通訳案内士法、旅行業法の改正法令が2018年1月4日に施行される

 観光庁は8月15日、2017年3月に閣議決定し、5月に国会で成立、6月2日に公布された「通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律」について、施行日を2018年1月4日と定めるとともに、施行に必要な整備法令が閣議決定されたことを発表した。8月18日に公布予定。全国的な訪日外国人の受け入れ環境の整備促進や、旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の業務適正化などを目的とする。

 通訳案内士については、従来は業務独占資格であったため資格を有していないと業務を行なうことが認められていなかったが、改正後は名称独占資格となり、資格を有していない人であっても有償での業務が認められる。ただし、資格を有していないと当該資格名称や類似の名称を用いることはできない。

 また、通訳案内士が都市部に集中していることから地方での通訳ガイドを確保するため、現在の通訳案内士を「全国通訳案内士」とし、新たに業務区域の特性に応じた通訳案内を行なう資格区分「地域通訳案内士」を創設。2006年に導入された「地域限定通訳案内士制度」や、2012年導入の「特例通訳案内士制度」など各特例ガイド制度は廃止される。

 全国通訳案内士では緊急時の対応など通訳案内の実務に関する筆記試験科目が追加されるほか、一定期間ごとの研修を義務化。8月15日の閣議決定では、通訳案内に関する研修を実施する研修機関の登録有効期限を3年とすることを定めた。

 改正旅行業法では、旅行業者が書面の交付により条件を説明する場合に、通訳案内士同行の有無を明記することを旅行業者に義務付ける。

 また、改正旅行業法では、通訳案内士の業務独占規制を廃止することで団体旅行の質が低下することを防ぐべく、旅行業者から委託を受けて旅行の手配などを行なう旅行サービス手配業(ランドオペレーター)の登録制度を新設。登録は観光庁長官の権限となるが、その事務を旅行サービス手配業者の主たる営業所を管轄する都道府県知事に行なわせる。ただし、報告徴収や立ち入り検査の事務については観光庁長官も行なえる。

 ランドオペレーターの営業所には、1名の旅行サービス手配業務取扱管理者(旅行業務取扱管理者や所定の研修を受けた人)を選任し、取引の明確性や公正さなどの事務を行なう必要がある。

 このほか旅行業法は、地域の観光資源や魅力を活かした旅行商品の開発などを促進するため、特定地域の旅行商品のみを取り扱う営業所に対応する「地域限定旅行業務取扱管理者」を新設することや、これまでは1名の旅行業務取扱管理者は1営業所のみを管理できるという規定を、近接する営業所については1名で複数の営業所を兼務できるようにするなどの改正が行なわれる。