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JALの福岡空港女性スタッフが犯罪に遭遇しないためのノウハウや護身術を学ぶ
福岡空港警察の防犯教室に参加
2017年7月7日 06:00
- 2017年7月5日 実施
JAL(日本航空)は福岡空港にある福岡空港警察署において、JAL福岡空港支店勤務の女性スタッフを対象とした防犯教室を実施。福岡空港のグランドスタッフやコールセンタースタッフなど約40名が参加した。
空港で勤務する女性は早朝や深夜など通勤時間が不規則であり、性犯罪に遭遇する可能性が通常より高いことから、性犯罪の発生状況などを理解し、現実に即した護身術の実技指導などを受け、防犯意識と自己防衛能力を高めることを防犯教室受講の目的に掲げている。
防犯への正しい知識や加害者の心理を学ぶ
防犯教室の冒頭、福岡空港警察署の生活安全刑事課・生活安全係長の齋藤亮宏氏は、「2016年、福岡県内で性犯罪が約430件、最低でも1日1件発生している計算になります。発生する時間帯ですが、ピークは夜中の0時ごろが一番多いです。夕方の18時から緩やかに増えていきます。皆さんが帰宅する時間が一番多いということになります。
これから皆さんにどういう点に気をつけていけばよいか、学んでいただきたいと思います。職場に帰られて今日の情報をフィードバックしていただけたらと思います」と述べた。
防犯教室では、参加者に配布された○×回答方式の意識調査への記入、福岡県警が用意した性犯罪防止DVDの上映、さらに意識調査の答え合わせと進んだ。
上映後、生活安全刑事課・生活安全係の築地原(ついちはら)理沙氏は「住宅編、帰宅編、SNS編と3つのケースを見ていただきましたが、いずれも日常のなかにある風景で、実際に福岡で起こった事案から作られています」と話した。
意識調査は「帰宅編」「アパート編」「ネット・ストーカー編」「被害編」と4つに分かれており、答え合わせを通じて実情を学び、代表的な設問には補足解説もあった。さらに、加害者側の意識調査の統計結果も発表され、危険性の高い場面や狙われやすい状況について説明がなされた。
盗撮については、過去に福岡空港でも簡易式のカメラが設置されていたケースがあるということで、スプリンクラー型やコンセント型のカメラなどの設置例が説明された。
福岡県警察が提供しているスマートフォン向けアプリ「みまもっち」の説明もあった。これは犯罪発生の状況が地図上に表示され、現在地周辺で発生した事件情報をプッシュ通知、防犯ブザー機能や110番通報機能も搭載されている。
2人1組で護身術を学ぶ
防犯教室の最後に護身術のレクチャーがあり、相手との間合いについて、腕を掴まれたときの対処法、背後から抱きつかれたときの対処法を学んだ。
間合いについては、最低でも相手と2m離れていれば、襲いかかってきても逃げられる可能性があるとのこと。2人1組となってお互いが片手を伸ばす。齋藤亮宏氏によると「襲いかかってきたことを認識して、自分の筋肉が反応するまでにコンマ数秒必要となることから、2m以内にいると掴まれる可能性がグッと上がってしまいます。まずは近寄らせないことが大切」と説明。
手を掴まれたときの対処法については、握ってきた相手の親指と人差し指の隙間に向かって手のひらを水平に向け、引き抜くという動作を練習した。後ろから抱きつかれた場合は、相手の顎へ頭突き、肘打ち、ヒールで足の甲を踏みつける、腕に噛みつく、といった動作が有効とのこと。
危ないところに近寄らないという防犯意識を持っていただきたい
防犯教室の最後に生活安全刑事課課長の安垣和人氏から、「もう20数年前になりますが私が取り扱った事件として、女性がクルマに押し込められて連れ去られたという事案があり、山中で集団で暴行されたという非常に痛ましい事件がありました。
その女性は飲み会が2次会まで続き、時間も遅くなったが自分の自転車で帰宅することになり、夜道で連れ去られるという被害に遭いました。次の日の昼には開放され、戻ってくることができ、犯人も逮捕に至りましたが、心に傷が残ったままだと思います。本人だけじゃなく、ご家族や友人も同じ思いでずっと過ごされてきていると思います。
皆さんにそのような被害者になってほしくありません。危ないところに近寄らないという防犯意識を持っていただき、過ごしていただきたいと思います。本日は長い時間ありがとうございます。私たちは未然に防げるものは動いてまいりますので、お気軽にご相談ください」と述べた。最後に防犯ブザーが配布され、防犯教室は終了した。