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海外消費者との接点拡大のための合弁会社「Fun Japan Communications」を設立
JTB、日本通運、三越伊勢丹HDSの3社合弁、JALも業務提携
2016年10月17日 20:17
JTB(ジェイティービー)、日本通運、三越伊勢丹HDS(三越伊勢丹ホールディングス)の3社は10月17日、合弁でアジア向けにデジタルマーケティングを展開する合弁会社のFun Japan Communications(以下、FJC)を設立したと発表した。この3社にJAL(日本航空)が業務提携として加わり事業を展開する。既存のアジア諸国向けのWebサイト「Fun! Japan」を海外消費者との接点拡大、関係性構築のツールとして活用、海外消費者との関係性をより強固なものにしていくという。
FJCは2016年10月18日に営業開始。所在地は東京都港区で払込資本は10億円。出資比率はJTBが50%、日本通運が40%、三越伊勢丹HDSが10%となっている。代表取締役はJTB出身の藤井大輔氏が就任する。
設立の背景としては、インバウンドのビジネスは、アジア新興国の消費者をどう取り込むかにかかっている一方で、現地の消費者と情報共有する接点がなく、海外消費者とのつながりが構築できず、結果的に効果的なマーケティングができていないという課題がある。さまざまなコンテンツの本来のよさが伝わっていないこともあるという。
そこで、日本通運が設立した海外向けWebサイト「Fun! Japan」をベースに価値あるコンテンツ情報を提供することで場を盛り上げ、デジタルマーケティングサービスを提供する。具体的なサービスの例としては、現地でファンを拡大、日本に来てもらうインバウンドを開拓したり、東南アジアに進出したいという企業のプロモーションの手伝いや言語対応をしたりするという。
まずはインドネシア、タイ、マレーシア、台湾向けに展開
発表会では、出資や業務提携の4社と、新しく設立したFJCの代表取締役社長兼CEOの藤井大輔氏が登壇。「Fun! Japan」のサイトはインドネシア、タイ、マレーシア、台湾向けに展開、来年度はフィリピン、ベトナムなどに随時拡大するとした。
「Fun! Japan」のこだわりや強みは、オリジナル記事の継続配信、双方向コミュニケーション、ユーザーを飽きさせない仕掛け、ユニークな消費者データベース、という4つの柱だと説明した。また、海外消費者と日本の企業・自治体をつなくメディア・プラットフォームを構築・運営していくとしている。
さらに、出資・提携の4社とFJCを加えた5社のサービスを融合。情報の流れの「情報流」、人の流れの「人流」、マイル付与やサービスなどの「商流」、モノの流れの「物流」とし、さまざまな角度からインバウンドおよびアウトバウンドビジネスを全面サポートし、日本とアジアの架け橋を目指す。
アジアの消費者ニーズを捉えることが課題
発表会では、出資や業務提携の4社の代表がそれぞれ登壇し、質疑応答にも答えた。JTB 代表取締役社長の髙橋広行氏は、「東南アジアは国によってまったく違う、インバウンド4000万人、6000万人とするにはそれぞれにマーケティングが必要。十把一絡げでは、通用しない」ときめ細かな対応が必要と訴えた。
また、日本通運 代表取締役社長の渡邉健二氏は、「アジア進出を果たした当社のお客さまは、消費者のニーズ、生の声がなかなか把握できないという悩みが多かった」とし「消費者のニーズを知ることが重要」と話した。
三越伊勢丹HDS 代表取締役社長 執行役員の大西洋氏はいわゆる“爆買い”が沈静化に向かっていることについて「爆買いそのものが異常で、今が普通」と指摘。1度目の来日と2度目の来日でお土産など買うものが異なるのは当然と説明したうえで「海外の方にはまだまだマーケティングができていない、海外の情報を掴むことで新たな提案ができる」とした。
JAL 執行役員で路線統括本部商品・サービス企画本部長の加藤淳氏は、資本に参加せず、業務提携となったことについて「3社のいろいろな取り組みのお手伝いをするところからはじめていく」「長いスパンでやっていく」として、具体的な計画などは示さなかった。
なお、事業のベースとなるWebサイト「Fun! Japan」は日本通運が設立したWebサイトだが、今回は社長の出身会社、出資比率などからJTBが主導していく。JTBの髙橋氏はその理由として「インバウンドビジネスがターゲットなので、人が動けば、そのあとでモノが動く。そのもとになるのが旅行会社」と説明した。