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JR東海、次期新幹線車両「N700S」の確認試験車の製作決定

2018年3月完成予定、量産車は2020年度目途

2016年6月24日 発表

N700Sの新開発の「デュアルスプリームウィング型」先頭形状(標識灯は今後検討)

 JR東海(東海旅客鉄道)は6月24日、次期新幹線車両「N700S」の確認試験車の製作を決定したと発表した。省電力化といった環境性能向上のほか、地震時の停車距離の短縮、異常検知の機能向上、車内セキュリティの向上、停電時のトイレ利用可能化、普通車全席にコンセント装備といった安全や快適性能が上がっていることが特徴。

 N700Sの「S」は「N700系シリーズ中、最高の新幹線車両を意味する“Supreme”(最高の)」としている。今回製作を決定したものは、東海道・山陽新幹線のさらなるブラッシュアップを目指した試験専用車。完成予定時期は2018年3月。その先の次期営業車両(量産車)については2020年度を目途に投入するとしている。

 強調している特徴としては、ATC(自動列車制御装置)とブレーキシステムの改良により、地震時の停止までの距離をさらに短縮すること。そして「台車振動検知システム」の機能を向上させ、重大事故防止や乗り心地の常時監視などで安全と快適性を向上させる。また、駆動システムでは次世代半導体のSiC素子を採用して、冷却装置を含めた小型軽量化を図る。

 走行機器の設計面では車両の機器配置の標準化を行ない、編成中、車両の機器配置のバリエーションを従来の8種類から4種類に抑え、16、12、8両編成のどれでも基本設計を変更することなく対応する。

 そして、外見では、環境性能向上のため、先頭車形状をN700Aの「エアロダブルウィング型」から、新開発の「デュアルスプリームウィング型」へと最適化する。

セキュリティや監視機能の向上

 安全面では、機器の監視機能を強化し、機器動作や乗り心地の状態のデータをさらに大量に分析センターに送るようにし、基準値内になっているかを継続監視できるようにした。防犯カメラ映像についても、リアルタイムで総合指令所に送ることができるようになり、乗務員の対応を支援することが可能になる。

 乗客の快適性という面では、乗り心地の改良。グリーン車に「フルアクティブ制振制御装置」を搭載、従来のダンパーが「動揺を減衰」なら、フルアクティブ制振制御装置は「動揺を打ち消す」と機能を進化させる。

 また、モバイル用コンセントは普通車にも全座席に設置する。従来、普通車は窓側の床に近い場所だったが、N700Sでは普通車もアームレストに設置予定で全席で使える。

 さらに搭載するバッテリを鉛蓄電池からリチウムバッテリへ進化させて、停電時にも一部のトイレが使えるようにする。

普通車全席にもコンセントを設置