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Intel、ドローン100機が音楽に合わせて夜空に舞う「Drone 100」

シドニーで開催、光と音楽の祭典「Vivid Sidney」

2016年6月8日(現地時間)開催

 Intelは、オーストラリアのシドニーで毎年5月から6月の晩秋の時期に開催されている、光と音楽の祭典「Vivid Sidney」に協賛。今年の2016年は音楽に合わせてドローン100機を同時に飛行させるパフォーマンスショー「Drone 100」を、初めて市街地周辺で開催するなど、さまざまな協賛イベントを行なった。協賛イベント最大の目玉となった、Drone 100の模様を紹介する。

100機のドローンを同時に飛ばし、光のアートを展開

 Drone 100は、今回のイベントに先駈け、2015年11月にドイツの空港で初めて実施された。Drone 100に使われるドローンは、ドイツのドローンメーカー「Ascending Technologies」(2016年1月にIntelが買収)と共同開発した「Hummingbird」と呼ばれる専用のドローン。4個のプロペラと、GPS、ジャイロセンサー、電子コンパスなどのさまざまなセンサーを搭載し、安定した飛行を可能としている。

 また、本体下部にはLEDが仕込まれ、発色を変更させながら鮮やかに輝かせるようになっている。そして、このドローンを100機同時に飛行させながら、ドローンによる光のアートが展開される。この、ドイツでのDrone 100は、現在もギネス世界記録として登録されている。

Intelのドローンプロジェクトのプロダクトマネージャ、Natalie Cheung氏

 Intelのドローンプロジェクトのプロダクトマネージャ、Natalie Cheung氏によると、ドローンは、その場でリアルタイムに操縦するのではなく、あらかじめインプットされた飛行パターンに沿って、基本的に自動で飛行するのだという。

 アートディレクターとエンジニアが緻密に計算を行ないながら、100機のドローンすべての飛行パターンを作成し、それぞれのドローンにインプット。実際のショーでは、その飛行パターンに沿って100機のドローンが編隊飛行し、オーケストラの生演奏に合わせて、夜空で光のアートを繰り広げることになる。

Drone 100に利用されるドローンは、ドイツAscending Technologiesと共同開発した「Hummingbird」
こちらが実際に使われたドローン、Hummingbird
プロペラは全部で4個搭載
Intel製プロセッサ採用の制御基板に、GPS、電子コンパスなど、さまざまなセンサーを搭載
底面には発色を変更できるLEDライトを内蔵
Hummingbirdは片手で軽々持てるほどで、それほど大きな物ではない

 各ドローンは、GPSなどのセンサーから取得した各種情報から自分の位置を把握するとともに、周囲のドローンとの位置関係も常に確認しながら、自動的に経路を判断し飛行する。例えば、風の影響で飛行パターンで指定された場所から位置がずれたとしても、GPSなどの情報から位置を自動修正。

 また、各ドローンは自身を直径6mの球状の物体として制御しているという。ドローン同士がその6mの範囲内に入らないように自動的に判断しながら飛行することで、ドローン同士の接触も避けているという。

 Cheung氏は、今回のシドニーでのDrone 100実施でなにより気を遣ったのは安全性だと強調した。ドイツでは、一般の人が入ることができない、広大な空間が確保できる空港の滑走路を利用して実施されたが、今回は市街地周辺での実施となる。そこで、ドローンの飛行区域は、シドニーのランドマークであるオペラハウスの東側にある「ファーム湾」の中央付近の海上上空に設定。ドローンが離着陸するプラットフォームも、はしけ2隻を使って65×45mのプラットフォームが海上に用意された。

 また、ドローン飛行時には、Intel製プロセッサ搭載のノートPCを利用し、地上からドローンの管制を行なうメインパイロットとサポートパイロットの4名が、全ドローンの飛行位置や状態をリアルタイムに確認。なにかトラブルが発生した場合には、パイロットが速やかにドローンを安全な場所に待避させるという。

「Vivid Sidney」でのDrone 100の開催概要。オペラハウス東のファーム湾内海上、高さ最大105mを飛行区域とし、海上に用意されたプラットフォームを利用してドローンを離着陸させる
これが、ドローンの離着陸に利用されたはしけ
はしけ2隻を使い65×45mのプラットフォームを海上に用意し、この上でドローンを離着陸させた

 このほか、Vivid Sidney主催者や、オーストラリア民間航空安全当局「Civil Aviation Safety Authority」、ニューサウスウェールズ州政府機関「Roads and Maritime」などとも綿密に連携して安全対策を施し、今回初めて市街地周辺での実施にこぎつけたとのことだ。

 Cheung氏は「ドローンは、すでにさまざまな用途に活用されていますが、今回のイベントで、ドローンの可能性や多様性、安全性を示し、業界のさらなる発展に寄与したいと思います」と語り、今後もこの事業を推進していく意向を示した。

圧巻の内容で観客を魅了

 当初の予定では、6月7日(現地時間)夜にプレビューイベントとしてDrone 100の初披露を行ない、6月8日から12日の5日間を本番として実施されることになっていた。しかし、直前の6月5日、シドニー地方を暴風雨が襲い、十分な準備が整えられなくなったため、7日のプレビュー飛行はキャンセルとなった。そのため、6月8日の夜、ぶっつけ本番で実施されることとなった。

オペラハウスへと向かう、ショーを見ようとする大勢の観客

 当日は、オペラハウス周辺はもちろん、ファーム湾を囲む公園や遊歩道にも大勢の観客が詰めかけ、100機のドローンの飛行を見守った。ショーの音楽を担当したのは、地元シドニーのオーケストラ「Sydney Youth Orchestra」。そして、夜7時55分に、Sydney Youth Orchestraの生演奏に合わせてプラットフォームから100機のドローンが飛び立ち、約7分間の音楽と光のアートを繰り広げた。その様子は、言葉では説明できないほどの素晴らしさで、観客がその様子に吸い込まれるように見入っていたのが印象的だった。

オペラハウス東側には、招待客などの特別観覧スペースが用意されたが、そちらも大勢の客で埋め尽くされた
海上にも多くの船が集まった

 ドローン100機は、光の模様をさまざまな形に変化させながら飛行する。上空に雲のように楕円形に集まっていたドローンが、徐々に飛行場所を移動させ、四角形をかたどったり、鳥が羽ばたく形状を作り出す。そこからまた形が変わり、今度はオペラハウスの形が作り出された。これには地元シドニーの観客から大きな歓声があがった。そして、直線を並べたようにドローンが整列しながら、オーケストラの音楽に合わせて光り、最終的におなじみのジングルとともに、空中にIntelロゴが現れてショーは終了。大きな拍手と歓声があがり、その美しさや、光と音楽の融合した、いままで見たことのないアートに観客も魅了されたようだった。

ショーの音楽は、地元シドニーのオーケストラ「Sydney Youth Orchestra」が担当。ドローン飛行前から演奏で観客を盛り上げた

Drone 100の様子を写真と動画で紹介

 このDrone 100の様子は、文字だけで伝えることは難しい。そこで、ここから写真と動画でその様子を詳しく紹介していく。動画は、一部ピントが外れる場面が数回ある点はご容赦願いたいが、4Kで撮影したものを掲載している。また、Intel提供の動画も併せて掲載するので、Drone 100の様子を少しでも体感してもらえると幸いだ。

プラットフォームから飛び立つ100機のドローン
飛び立ったドローンが上空に集結
さまざまな模様や形を、色を変えながら光で表現
ドローンが位置を変え、四角や三角など、幾何学的な模様を作り出す
またドローンが位置を変えて形状を変化
羽を広げた鳥のような形に変化
色も変化させながら、羽ばたく様子を再現
またまた形状が変化
横にひろく拡がっていき……
オペラハウスのイメージを再現
音楽に合わせて色が変化
おなじみのジングルと共にIntelロゴが完成し、ショーは終了
ショーを終えたドローンは、プラットフォームへと戻っていった
Drone 100の様子を撮影した動画(4K動画)
Inte提供のオフィシャル動画