ボーカリスト琴音の音楽旅

夏におでん!? 夏の金沢散策、グルメに建築に舌も目も大喜びの旅

風情ある金沢の街を満喫しました

 コロナ禍になり、初めての行動制限のないお盆休み。抗原検査で陰性を確認し、福井県の祖母に会いに帰省とお墓参りをして久しぶりに家族の時間を過ごしました。

 せっかく福井まで来たのなら、もう少しほかの街も観光したいというのが旅好きというもの。今まで何十回と北陸に来ているのに、実は金沢をちゃんと散策していないことに気付きました。

 福井から金沢は特急しらさぎに乗れば約1時間ほど。ということで、思い切って日帰りで金沢に立ち寄ることにしました。

レトロ建築と海産物の宝庫、金沢

 JR金沢駅で下車して、ひがし茶屋街に行きたかったのでその方向に徒歩で向かいました。金沢はバスが発達しているのでバスでも向かえますが、まだ到着したてで元気だったのと、街中を見てみたかったので歩いて散策することに。

「近江町市場」を通り、何か食べようかな~と思いつつも、海鮮は福井でたくさん食べたので今回は見るだけ。買い物もできて、市場内の飲食店でも食事のできる活気のある市場でした。

活気のある近江町市場の様子

 続いて発見したのが「尾張町町民文化館」です。オーラのある古い建物が出てきた、と思ったらやはりなかもすごかったです。

 明治40年に建てられた旧銀行だそうで、外側は黒しっくいで和風、内側は白しっくいで洋風という和洋折衷な様式が明治時代を感じさせます。

 特になかの頭取室が圧巻で、雰囲気抜群! 柱などその1つ1つが歴史を経て、その時間が経った分だけオーラを放っています。地下には金庫室もあり、銀行時代の面影を垣間見ることができます。

尾張町町民文化館外観
旧銀行の名残を残す窓口
照明も天井も全部がかわいい
大きめの時計がなんともレトロ
圧巻の頭取室。カーテンレールの細工に感動

オーディオマニア必見「金沢蓄音器館」

 レトロ建築に触れて、心はすっかり令和の時代から過去にタイムスリップ。そんな気持ちで歩いていると「金沢蓄音器館」を発見しました。

 コロナ禍で自宅で過ごすことも多くなり、自宅にレコードプレーヤーとスピーカーを購入してレコードを聴くことも多くなった私。

 蓄音器は見た目のインパクトで存在は知っていましたが、実際に蓄音器で音楽を聴いたことはあまりないかも、ということで迷わず入館。

 なかに入ると、1階は受付と自動再生ピアノ、蓄音器があり3階までの各フロアに展示があります。エレベーターで3階まで上がり、3階の時代別の蓄音器コレクションから見てまわりました。

 蓄音器はエジソンが発明し、日本では明治・大正時代から普及したそうです。まずは会議などの録音で使われていたそうで「しゃべる機械」として人々を驚かせたとか。今でいうと、会議や取材でボイスレコーダーを使う感覚ですね。

 そしてどうしても蓄音器とレコードの歴史は切っても切り離せない仲で、日本において初期は日本の伝統芸能や浅草オペラなどがレコードに吹き込まれ発売されていたそうです。

 3階のLPレコード視聴コーナーではさまざまなジャンルのレコードをレコードプレーヤーで視聴できます。最近はデジタル配信やCDなどで音楽を聴くことが多いですが、レコードでは生で演奏しているかのような立体的な音で聴くことができます。まだレコードで音楽を聴いたことのない方にはぜひ試していただきたいコーナーです。

 2階に降りて、時代を彩ったレコードと蓄音器聴き比べコーナーがあります。決まった時間に実演ありで蓄音器の聴き比べができるので、ぜひ参加をオススメします。この日は意外と?若い世代の参加者が多く、皆さん熱心に聴き入っていました。

 それぞれの蓄音器の特性により、ジャンルまで考えて曲を再生してくださるのでよりその蓄音器の個性を感じられます。「時代を彩ったレコード」コーナーは、日本の音楽の流行も同時に追えて、さまざまな名曲を振り返るよいきっかけに。

 今回は見た目もかわいい蓄音器や館内を、特別に許可をいただいて撮影させていただきました。

金沢蓄音器館入り口(写真提供:金沢蓄音器館)
世界初の「しゃべる機械」蓄音器(写真提供:金沢蓄音器館)
ラッパ型がレトロの代名詞ともいえる蓄音器(写真提供:金沢蓄音器館)
さまざまなジャンルのLPレコードをレコードプレーヤーで視聴できます(写真提供:金沢蓄音器館)
時代を彩ったレコードたち(写真提供:金沢蓄音器館)

ひがし茶屋で和菓子で休憩、金沢らしい景色を満喫

 金沢蓄音器館から、念願のひがし茶屋へ。着物のレンタルショップも多く、着物姿の方もたくさん見掛けました。お茶屋建築と石畳が風情たっぷり。金沢に来たーっ!という気分になれます。

 お盆帰省の暴飲暴食であまりお腹が空いていなかったのですが、そろそろ15時でおやつタイム。ということで「凛」という茶店に入って、和菓子とお抹茶を注文しました。普段ならコーヒーを選んでしまいますが、この雰囲気ならやっぱりお抹茶を飲みたくなってしまうというもの。

 メニューにハイボールがあるのがナイスでした。美しい和菓子とお抹茶、お茶屋建築にウットリと心安らぐ時間を堪能。小さなお庭もあり、よい時間を過ごせました。

ひがし茶屋街の茶店「凛」
内装も和の雰囲気でほっこり
お酒のメニューもあるのがうれしい
和菓子とお抹茶のセット

夏におでん!? 絶品金沢おでん「高砂」

 ひがし茶屋からバスに乗り、今度は香林坊エリアにやって来ました。ブランドのショップが立ち並んでいて、福井の人たちが「買い物するなら金沢に出る」と言っていた意味がよーく分かりました。

 そんな都会的な雰囲気で片町という飲み屋街もあり、泊まりなら飲み歩いてしまいたい衝動に駆られつつ……。

 夜の新幹線で東京に帰るつもりなので、サクッと一杯引っかけて帰るのに金沢おでん「高砂」に入りました。この時点で17時半でしたがほぼ満席の店内で、タイミングよく並ばずに入れました。

 のちにネットで調べたら、予約していないと並ぶことが多々あるようで、私が入店したあとは行列ができていました。

 夏におでん……食べたことない……と思いつつ、大将にオススメを選んでもらい、レモンサワーを注文。

 透き通るようなお出汁のおでんと、辛子の刺激、レモンサワーの三位一体の総攻撃。この戦い、激しいものになりそうだ……! おでんを食べる箸が止まらず、決して味が濃いわけではないのにお酒に合うのはなぜ? これが出汁の魔力なの?

 金沢ひろずというがんもどきのようなおでんダネは、なかに大きな具が入っていて食べ応え抜群。そして追い討ちをかけるように高砂名物の「どて焼き」がやってきました。甘辛い味噌だれにコショウがたっぷり掛かった豚肉の串、どて焼きはひと口ほおばるとそこはエデンの園。禁断の食べ物だったとしてもどて焼き食べたい!

 そして、このどて焼きがお酒に合うんだなぁ。そんなタイミングを見ていたのか、大将に飲み物を聞かれお代わりを注文。

 初見の観光客にもフレンドリーな優しい雰囲気のお店に、すっかりファンになってしまいました。

金沢おでん「高砂」
独特な金沢おでんメニューとレモンサワー
左から時計回りに車麩、金沢ひろず、ふかし、大根
どんなお酒にも合いそうなどて焼き

 ほろ酔い気分でお土産を買って新幹線に乗り込み東京へ。初めての金沢旅、こんなに楽しいと思わなかったので期待以上のリターンをいただくことができました。

 今度は泊まりで海鮮を楽しんでもよいし、お着物着たりするのもよいな~と妄想にふけりつつ帰路につきました。金沢は古きよき街並みと、グルメのどっちも楽しめる素晴らしい街でした。

琴音

シャンソン、JAZZなどをメインに歌うボーカリスト。たまにアルトサックスも吹きます。1986年10月10日生まれ。趣味・特技は、ライブなどで訪れた日本各地の美味しい食べ物を探すこと。思い立ってふらっと一人旅をすることもしばしば。ブログはhttp://ameblo.jp/singersax-kotone/