国産品への購買意欲がより高まるフランスで展示会「Made in France」開催

　以前何度か「メイド・イン・パリ」についてのコラムを書きましたが、「メイド・イン・フランス」を求める傾向はますます強くなっています。

　日本人が国産にこだわるように、フランス人にとっても国産は安心で良質なものであるとともに、国内産業と雇用を支援することになるからですね。フランス世論研究所IFOPによる統計でも、「国産であるかどうかは購入の決め手になる」と答えた人は、2011年の46％から2017年の62％に増えています。

　そのような状況のなか、展示会「Made in France」が11月に開催されたので行ってきました。今年で9回目だそうですが、クリスマスも近いので、何かよいものがあれば買おうかな、と思ってのことです。

　ちなみに今回は830社の出展がありました。2012年の初開催では80社以下、前回の2019年は570社とのことで、出展社数は大幅に増加しています。

　会場内はコスメ、モード＆アクセサリー、子供関係、建築・内装、食品など、ジャンルごとに分かりやすく分かれています。そのほかいくつかの地域圏がフォーカスされていました。

この辺は地域圏ごとのエリア

　定番の食品やコスメ、衣類のほか、素朴で温かみのあるおもちゃ、便利そうな掃除グッズ、変わったデザインのキャンピングカー、シンプルでかっこいい自転車など、初めて見る商品がたくさんあって時間が足りない！

おむつやおもちゃなどの子供関連商品

コスメいろいろ

ゼロ・ウェイスト商品も多かったです。これは何度も洗って使えるミツロウのラップ

アーチェリーグッズと健康器具

掃除関連用品いろいろ

レトロかわいいイラストの布巾

帽子、セーター、靴下、室内履き、サングラスといった衣料品やアクセサリー各種

AIGLEのような有名老舗ブランドも出展しています

チョコレート、お菓子、ジャム、ハチミツ、チーズ、パン、お茶、コーヒーと、食品は充実のラインアップ

大人気で行列の絶えないパスタ屋さんの乾燥パスタ

各種アルコールが揃っています

フランス産のお酒を作っている日本の会社WAKAZE

ナイフ専門店

インテリア関係、建材、システムキッチン

バイク、自転車、車、キャンピングカー

　テレビやラジオの中継、フランス産についてのトークセッションなども行なわれていました。トークセッションをいくつか聞いてみましたが、衣類産業については20年間で雇用者数が60万人から6万人に減少。フランスでは毎年約8800万本のジーンズが販売されていますが、そのうち「フランス製は10万本がやっと」とのことでした。

　それでもフランス人は量より質を求めるようになっていること、ロゴには商品の種類などによっていろいろあるのですが、国産ロゴ認定を求める会社が絶えないといったことなどを話していました。今回の展示期間中にはどの商品・業態にも使える新しいロゴも発表されました。

FABRIQUE EN FRANCE＝フランス製の意

　展示会は大盛り上がりでしたが、衣類産業の雇用者減少が示すように、現実はまだまだです。フランス国立統計経済研究所INSEEによる2015年の調査によると、フランス製はフランスの家庭消費の81％を占めるとなっています。でもこの数字はトリックがあります。調査結果には、例えば金融業や建築業といった、フランス国内で生産・消費される「各種サービス業」などが含まれており、「物」だけではないのです。製造品に限って言えば、その率は36％となります。具体的には繊維製品の87％、電子製品・機械類の85％、医薬品の58％、農産物の52％が輸入品なのです。

　IFOPの2017年の調査によると、フランス人の74％が、国産品であればより高い金額を支払う用意があると答えています。しかし眼鏡、衣類、家庭用電化製品などは、フランス製の方が輸入品よりも平均して20％ほど高いといいます。上限を10％までに設定している人は37％となっているため、食品など比較的安価なものであればハードルが低いものの、それ以外は考えてしまう、ということになるわけです。10％以内に価格を抑えるか、20％高くてもよいと思わせる、より魅力的な商品を作ることが課題となりそうです。

　私も展示会場を一通り見て、欲しい！と思ったものはたくさんあったのですが、ちょっと高いわ……となり、結局買ったものは、猫用のエサだけでした。でも気になる商品はメモをしてきたので、オンラインで買えるものも多いですし、再度よく考えようと思っています。

なかなかのお値段だった猫用ドライフードとウェットフード