旅レポ

メロン! 寿司! ビール! 「VIP Tour」の日帰りバスツアーで旬のグルメを堪能する旅

思い立ったらネットで前日予約。ラクしてお得に休日を過ごす

平成エンタープライズの「VIP Tour」が企画したバスツアーに参加した

 日帰りのバスツアーに乗ったことがあるという人はどれくらいいるだろう。旅程を考えることが楽しいとか、マイナーな場所に行くことが喜びだという人にとっては「バスツアー?」と思うかもしれないが、意外に食わず嫌いかもしれない。

 筆者は旅行のプランを考えることが好きな方だが、バスツアーもよく利用する。魅力は「コストパフォーマンスがよい」「効率のよいプランが組まれていていろいろな場所を巡れる」「旅行中に気兼ねなくお酒が飲める」「駅から遠い施設でも行ける」「予約が取りにくい施設も見学・利用できる」などいろいろ理由はある。要はラクでお得なのだ。

 そこで、「日帰りバスツアーって実際どうなの?」というところを実際に楽しみながらチェックしてきたので、レポートしたい。

ツアー申込は前日の夜中0時までOK! 参加者の若さに驚き

新宿郵便局前に集合

 東京と大阪、京都、名古屋、金沢などとを結ぶ高速バス「VIPライナー」を運行している平成エンタープライズは、「VIP Tour」というバスツアーを運営している。

 今回はそのVIP Tourが企画するさまざまなツアーのなかから、「初物メロンを半玉試食&まるごと1個お土産付きのメロン狩り体験&那珂湊おさかな市場で新鮮な海の幸&できたて生ビールの試飲付き!アサヒビール工場見学を巡る日帰りバスツアー」(6月催行のツアー。時期により異なる)という、もうタイトルにすべてが込められた日帰りツアーだ。

 VIP Tourでは以前からスキーツアーや富士山登山のバスツアーを実施していたが、土・日曜を中心に観光地を巡る添乗員付きの日帰りバスツアーも開始し、好評だという。インターネットや系列の高速バス「VIPライナー」などの利用者からの口コミでも広がっているようだ。

 朝8時に新宿に集合し、午前中に茨城県の「メロンの森」でメロン狩りと試食。お昼は「那珂湊おさかな市場」で海鮮と買い物を楽しんで、午後に「アサヒビール茨城工場」で工場見学と、できたての生ビールを試飲。新宿到着は18時の予定だ。参加した6月11日(日)の旅行代金は1人7480円(参加日の料金。日によって異なる)で、昼食はツアーには組み込まれておらず、参加者それぞれが自由にとる。

 VIP Tourの申し込みはWebサイトか電話。電話の申し込みは前日18時までだが、Webサイトの申し込みでクレジットカード決済なら、前日の夜中というか、当日の0時まで申し込みできる。「明日は休みだからどこかに出かけよう!」という思いつき参加も意外にできるわけだ。

 参加したツアーは、新宿駅西口の新宿郵便局前に朝7時50分集合だった。交差点近くに立つ「平成エンタープライズ」の旗を持ったガイドさんに声をかけると、名簿と照会し、バスが停車している場所と、近くのビルにある系列の高速バス「VIPライナー」用のラウンジのトイレを利用できると教えてくれた。乗車するバスにトイレはないので、念のためラウンジを利用してみたところ、非常に充実したラウンジで驚いた。

 ツアーバスは「HEISEI KANKO」と名前が入った、真新しい大型観光バスだ。入口に貼られた座席表を参考に着席。女性参加者の場合は隣の席に必ず女性が座るよう配慮されている。座席は4人席12列。足元も十分広く、リクライニングもできる。

乗車前にVIPラウンジが使える
真新しい平成観光の大型観光バス
座席は4列シート
足元も十分広い
エアコンは席ごとにオフにもできる
バスツアー参加者は見分けるためのシールを服に貼り付ける

甘~い!「フォレストパーク メロンの森」で完熟メロンを収穫体験

 ほぼ定刻どおりにバスは出発。バスの車内は楽しそうなおしゃべりの声が聞こえてきていた。この日ガイドとして添乗した近藤直子氏は、ツアーの予定や道中の車窓に見えるスカイツリーの豆知識など、要所要所でアナウンスを入れてくれる。

 ツアーの参加者は20代~40代が中心で、女性が7割ほど。8人の大人数のグループから夫婦、お一人さま参加までバラエティに富んでいた。ちなみにこのツアーは子供料金の設定はなく、小さな子連れの参加者はいなかった。

 1時間ほど高速道路を進み、常磐自動車道 千代田PA(パーキングエリア)にトイレ休憩で10分ほど立ち寄ってから、一路「フォレストパーク メロンの森」へ向かう。茨城県に入ったあたりからメロンの看板やのぼりが多くなり、茨城県がメロンの生産量全国1位だと実感させられる。

 新宿を出発して2時間、10時ごろに「フォレストパーク メロンの森」へ到着。メロン狩りの収穫体験やバーベキュー体験ができる施設で、春メロンの収穫期である5月から7月初旬、秋メロンの収穫期である9月から10月下旬のみ開場している。

 バスを下車して、施設のスタッフに美味しいメロンの見分け方などを説明してもらってから、ハサミと袋を持ってビニールハウスの中へ。通路の両側の地面にメロンがゴロゴロ実っている。この季節の春メロンは地面で栽培し、秋メロンは立ち上げて実をつるして栽培するそうだ。ハウスで収獲するのは茨城県のオリジナル品種、緑肉メロンの「イバラキング」だった。

 完熟の見分け方は葉が茶色く枯れていて、メロンの底にひび割れが現われてきているもの。一般に出荷後に追熟を想定したメロンと違い、ここではすでに完熟のため、収穫したメロンをその日にすぐ食べられる。あまりにたくさんあって目移りするが、1つを選んでハサミを入れて収穫した。

 バスに戻ったあと試食会場に移動し、メロン1/2個をトレイごと渡されて、緑の自然のなかで試食。スイーツを食べているような驚くほどの甘さで、試食会場のあちこちから「甘~い!」という声が聞こえる。

 この日は収穫したメロンも試食のメロンも緑肉のタイプだったが、「そのとき一番美味しいメロンを試食に出している」とのこと。赤肉タイプが試食に出ることもあるそうだ。

 併設されている売店では、産直のメロンが最高級品からお手頃価格のものまでずらりと並び、メロン味のソフトクリームや、同じく名産サツマイモの詰め放題販売もあった。

 試食と買い物を終えてバスに集合し、予定どおり11時15分に出発。次の目的地である「那珂湊おさかな市場」へ向かった。

ガイドの近藤直子さん
集合時間は口頭とともにホワイトボードでその都度確認されて分かりやすい
スカイツリーなど車窓の眺めもポイント解説
千代田PAでトイレ休憩
「フォレストパーク メロンの森」へ到着
ハサミと袋を持って収穫準備
メロンが栽培されるビニールハウスが一面に並ぶ
ハウスの中にはメロンがゴロゴロ実る
よく見ると葉の下にたくさんのメロンが
葉が枯れているのが完熟メロンの印
メロンの底がひび割れがあると完熟が進んでいる証拠
選んだメロンの茎をハサミでカット
メロン収穫完了!
試食会場へ移動
1/2個をまるごと渡される
日によっては赤肉のメロンが試食に出ることも
半分でも大きい! 食べきれるか不安に
甘い! 美味しい! 完食!
売店には1個1万円クラスの最高級メロンも
箱詰めされたさまざまなメロンが売られている
購入して宅配便で送る人が多かった
お得なメロンも。購入すればよかったとあとで後悔
ちょっと変わったメロンの漬物も売られていた
サツマイモも詰め放題で販売
名物のメロンのソフトクリーム
500~700円となかなかの値段だが、美味しくてよく売れていた

回転寿司から生カキまで「那珂湊おさかな市場」の自由昼食で海鮮ざんまい

美味しいと人気の「海鮮処 森田」の回転寿司

「那珂湊おさかな市場」は、那珂川の河口、那珂湊漁港に隣接する観光市場。漁港沿いにずらりと市場と食堂が並び、名物の海鮮料理や回転寿司を目当てに年間100万人が訪れるそうだ。

 ツアーバスは12時に市場近くの森田水産に到着。「森田水産」の10%の食事割引券と買い物で使える5%の割引券が渡されるが、昼食は自由。市場内にずらりと並ぶ飲食店や通路沿いの海鮮グルメなど目移りする。

 美味しいと紹介された「海鮮処 森田」の2階で絶品の回転寿司を数皿食べたあと、胃のスペースを残して海沿いの「那珂湊おさかな市場」の海鮮めぐりに出発。お土産に買って帰りたい魚や貝がずらりと並ぶなか、岩ガキと茨城産のウニをそれぞれ400円で購入してその場で食べて、海鮮を堪能した。

 市場には新鮮で手頃な値段の魚が豊富にあり、氷は無料で、発泡スチロール箱も100円で販売されている。どうせバスなんだし、家からクーラーボックスを持ってくるべきだったと思った。

 市場で1時間半ほどたっぷり自由時間を過ごし、バスは予定どおり13時半に出発。アサヒビール 茨城工場へ向けて出発した。昼食後で参加者はお腹がいっぱい。メロン狩りまでのにぎやかな車内とはうって変わって、ほとんどの人がビール工場到着まで熟睡していた。

那珂湊(なかみなと)おさかな市場
露天や市場が海沿いにずらりと並ぶ
ずらりと豪華なネタが流れる様子は壮観
「光三種」430円
「貝三種」650円
「鮪三種」860円
1皿にいろいろな種類が乗っていて食べ比べできる
バスツアーで配られた10%の割引券を使える
食堂の下は広い魚市場。こうした魚問屋がいくつも並んでいる
新鮮な海鮮がずらりと並ぶ
この日はカツオやマグロ、ブリなどがお得に売られていた
茨城県産の魚以外にも全国から魚が集まる
三陸など東北の魚も多い
海沿いにはウニ焼きなどの露天が並ぶ
クルマエビもその場で塩焼きに
カキをその場でむいてくれる
森田水産で岩ガキが1個400円
茨城県産の生ウニは1個400円
耐えられず両方1つずつ購入
クリーミーなウニ!
プリプリの生カキ! 最高です

作りたての生ビールを試飲! 「アサヒビール 茨城工場」をたっぷり見学

 バスはアサヒビール 茨城工場に14時50分に到着。15時から工場見学を開始した。工場内ではガイドさんが詳しく解説してくれて、70分ほどかけて工場を巡る。

 美術館をイメージして作られたという工場内には、見学ルートにも美術品が多数並ぶ。このアサヒビール茨城工場は13万坪の敷地を持ち、1991年にオープン。国内最大級のビール製造ラインを備えるそうだ。

 原料の展示や、大きな釜が並ぶ仕込み室を見て回ったり、広大なビン詰工場を見学したりと見応え十分。この日は日曜だったため工場のラインは休止中だったが、工場の迫力は十分伝わってきた。

「人の味覚が一番敏感なのは夕方で、ビールの味のチェックも16時から17時に行なう」という話や、「ビールの賞味期限は約9カ月」などの豆知識に触れながら楽しく回り、最後に環境への取り組みや再資源化についての解説などを受けたあと「アイムタワー」と呼ばれる地上60mのタワー上にある試飲会場へ移動。

 会場に到着すると、まず注ぎたての「アサヒスーパードライ」を受け取って着席。「なだ万」監修の「クリームチーズおかき」をつまみに、参加者みんなで乾杯した。2杯目からは「アサヒスーパードライ」「アサヒスーパードライ ドライブラック」「アサヒドライ プレミアム豊醸」の3種類からタンブラーで合計3杯まで試飲できる。ちなみに、「適正飲酒推奨」から試飲は3杯までとなっている。

 180度の視界が広がる、眺めのよい会場で飲む作りたての生ビールは格別だ。なめらかな泡とキレのよいのどごしで、何割か増しで美味しく感じる。試飲は20分間ほどで、アルコールを飲めない人も「ドライゼロ」などのノンアルコールビールや、「十六茶」「三ツ矢サイダー」「カルピスソーダ」「ワンダモーニングショット」などのソフトドリンクを選べる。

 試飲の時間中にガイドさんが缶ビールをグラスに美味しく注ぐ方法を実演して教えてくれた。試飲時間終了となり、参加者は後ろ髪を引かれながらアイムタワーを降り、ショップでお土産物を買ったり記念写真を撮ったりしてバスに戻った。

 バスは16時40分ごろガイドさんに見送られながら工場を出発。一路東京へ。途中、17時30分ごろに首都高 八潮PAで15分ほどトイレ休憩。渋滞はあったものの短く、18時15分ごろには新宿駅西口前に到着してバスツアーは終了した。

 VIP Tourでは「桔梗信玄餅詰め放題」がついた山梨県を巡るプランも人気だそうだ。「くだもの狩りミステリー!出発日限定日帰りバスツアー」という、当日行く場所が分かるツアーもあって、今回のメロン狩りツアーにこのミステリーツアーの参加者も組み込まれていたようだ。ミステリーツアーの参加者は、500円ほど安く参加できた計算になる。

 バスツアーは季節の果物や温泉、海鮮、ビール、ワインなど、いろいろな組み合わせで実施されていて一年中楽しめる。気軽に前日に申し込んで、充実した休日を過ごせる楽しさは、選択肢に入れておくことをお勧めしたい。

13万坪の敷地を持つアサヒビール茨城工場
受付から工場のガイドさんに案内されて見学がスタート
入ってすぐのホールの記念写真用スペース
アサヒビールの製品紹介
ビールの豆知識など情報パネルも
まずは大画面の「オリエンテーションシアター」で映像視聴
見学コースから工場の庭も見える
巨大な仕込室や中央コントロールルーム
麦芽やホップなどの原料展示コーナー
麦芽の試食もできる
ホップに触って、中を割って香りをかげる
発酵・熟成させる巨大タンク
ジャンボジェット(ボーイング 747型機)も入れるという、270×120mの巨大なびん詰め工場。日曜のためラインは休止中だった
アサヒビールは創業から120年
1906年に「アサヒ」「エビス」「サッポロ」が合併された際の記念ラベル
地上60mにある「アイムタワー」の試飲会場
3種類がタンブラーで合計3杯まで試飲できる
1杯目はアサヒスーパードライ
生ビールサーバーがずらりと並ぶ
なめらかな泡が美味しい
おかきのおつまみつき
“DRY”EXTRA COLDでつがれた「アサヒスーパードライ ドライブラック」
試飲ではソフトドリンクも選べる
ビールの美味しい注ぎ方を実演
キレイなグラスを水平にして、高い位置から注いでまずグラス1/3まで泡を作る
グラスを斜めにしてフチからゆっくり注ぐ
8割注いだらグラスを立てて泡が2~3割になるよう調整
入口近くのギフトショップ
ビールやソフトドリンクなどアサヒビールの製品が並ぶ
最後に八潮PAでトイレ休憩
アンケートはQRコードでネット送信
18時15分、無事に新宿駅西口前に到着して解散
VIP Tour

TEL:049-275-6500(月~金曜10時~14時/15時~18時 ※7月1日~9月8日は休日も12時~17時は営業)
Webサイト:VIP Tour

赤池淳子

1973年東京都生まれ。IT系出版社を経て編集者兼フリーライターに。雑誌やWeb媒体での執筆・編集を行なっている。Watchシリーズでは西村敦子のペンネームでInternet Watchでのお得サイトの紹介や、家電 Watchでの製品レビュー等を執筆していた。現在は5歳男児の子育てに、仕事以上の忍耐力を試される日々を送る。