【イベントレポート】ツーリズムEXPOジャパン2016
イタリアブースではミラノ市観光セミナーを実施
ミラノ市長も来日して歴史ある景観や芸術などをアピール
2016年10月3日 00:00
- 2016年9月23日 開催
「ツーリズムEXPOジャパン2016」のイタリア政府観光局のブースでは、ミラノ市長のジュセッペ・サーラ氏らを招いてミラノ市観光セミナーが9月23日に開かれた。
セミナー冒頭では、イタリア政府観光局 ローマ本局 エグゼクティブディレクターであるジョヴァンニ・バスティアネッリ氏が挨拶に立ち、欧州以外の国のなかでイタリアへの訪問者数と延べ宿泊者数において日本は第3位の国であることに触れ、「イタリア政府観光局は50年以上もの間、東京に支局を置いていることからも、日本を重要視していることがお分かりいただけると思います。東京支局で30年以上働いているスタッフもいるんですよ」と述べ、ツーリズムのうえで日本が非常に重要な市場であることを強調した。
続いて在日イタリア大使であるドメニコ・ジョルジ氏は、「イタリアは製造業の国ではありますが、何百年に及ぶ観光地としての面もあります。日本の皆さんがこよなくイタリアを愛してくださって、欧州において日本人が一番宿泊している国となっています。
この関係を今後ますます強化していくためには、スポーツであるとか、グルメであるとか、小さな街や市を訪れるであるとか、的を絞ったテーマ別の観光の提案が必要になってくると思います。
2015年のミラノ万博のあと、ミラノの街は生まれ変わり、素晴らしい発展を遂げています。ミラノは経済だけでなく文化的な中心地、芸術の都として発展を続けていくと確信しています。さまざまな魅力をもつミラノをぜひ訪れてください」と挨拶した。
ミラノ市からは2016年6月に市長に就任したばかりのジュセッペ・サーラ氏が来日し、今回のセミナーへの参加者に感謝を述べたあと、市長就任前には5年間ミラノ万博の代表責任者を務めていたと自己紹介。ミラノ万博での日本館の美しさがとても印象に残っていると話し、日本人観光客がイタリアとミラノにとっていかに重要かについてもあらためて強調した。
そして万博で再開発が進んだミラノは今“旬”を迎えており、「ファッション、デザイン、芸術、グルメなどのトレンドと未来がミラノにはあります。欧州でミラノが一番クールな街であると確信しています。どんどん発展し続けるミラノを、皆さんに訪れていただきたいと思っています」と進化するミラノをアピールした。
続いてミラノ市 観光局長 ロベルタ・グアイネーリ氏から、ミラノの観光の魅力を伝えるプレゼンテーションが行なわれた。
ミラノには、2015年度に延べ740万人の旅行者が訪れ、延べ宿泊数は1580万、旅行者1人あたり2泊以上している計算で、これは2014年度対比で54%増。欧州各国からも、欧州以外の各国からもミラノへの訪問者数が増加傾向にあると説明。「そのなかで日本はミラノにとり重要な国で、2015年に観光目的でミラノを訪れた日本人は13万5818人でした。これをもっと増やしていきたいと思っています」と数字での現状を語った。
また、ミラノ市は多言語対応の観光情報のWebサイトを用意し、ガイドブックのダウンロード、イベントなどの情報収集が可能なので、ぜひ活用してほしいと話した(Webサイトは日本語未対応だが、ガイドブックは日本語版が提供されている)。
グアイネーリ氏は「イタリアを旅するのに、ミラノは条件が整った出発点である」という。ミラノには国際空港が3つあり、これらを年間3600万人が利用。マルペンサ空港は約200都市を結び、リナーテ空港は国内と欧州路線、オリオ・アル・セリオ空港はLCCのハブ空港となっている。ミラノからはイタリア各地へ飛ぶ主要航空会社の直行便がたくさんあり、ローマへは空路で1時間ほどで到着する。
また、建物そのものが美しいことでも知られるミラノ中央駅は、欧州の高速鉄道のハブ駅ともなっている。トリノへは電車で1時間、高速鉄道でフィレンツェへは1時間40分、ローマなら3時間弱で移動できる。例えばコモ湖のような自然が美しい都市、モントヴァやバイオリンなどの生産で有名なクレモナといった芸術都市にも日帰り観光が可能と、アクセス性のよさをアピールした。
ミラノ市内も交通網が充実しており、地下鉄は現在4路線で、まもなく5つ目となる新線が完成予定。さらに路面電車、バスなどに加え、欧州最大のシェアリングシステムが構築され、3500台の共有自転車と、800台の電動自転車を利用でき、カーシェアリングやスクーターシェアリングも6業者が参入し展開している。
街は緑豊かで公園も多数あり、面積の12%が緑地という。また、ミラノは水の都でもあり、全長150kmに及ぶ運河網が張り巡らされ、「ダ・ヴィンチが設計したダルセナーナ水路などの美しさには、皆さん驚いていただけると思います」と話す。街のシンボルでもあるドゥオーモ(大聖堂)を建設する際にも、この運河網が利用されたそうだ。
街ではゴシック様式、ルネッサンス様式の数々の歴史的建造物を楽しむことができるほか、ショッピングに絶好の有名ブランドが軒を連ねるガレリアでは、リバティ様式の意匠も楽しめる。さらにミケランジェロの遺作「ロンダリーニのピエタ」や、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」などの名作を収蔵している美術館も見どころだ。
また、ミラノは現在、アクセシビリティへの対応を進めているという。ミラノでも最も美しいといわれる15の教会では、「マルチ・センソリアル・パネル」という点字付き触察パネルがあり、視力に障がいがある人でも、盛り上がった透明インクで作成した教会内部の平面図を手で認識できる。
さらにパネル上のQRコードをスマートフォンで読み取ることで、音声や映像での案内などを提供、アクセシビリティの向上を図っており、今後市内の各観光施設にもこれらの施策を展開していく予定だ。
現代的、未来的な街づくりとしては、世界的に著名な建築家らが手掛けた高層ビル群(スカイライン)が次々と建築されている。欧州でも屈指の広域都市開発地区であるポルタ・ヌオーヴァには、20人以上の建築家がかかわったほか、シティライフ地区では、旧ミラノ見本市会場にザハ・ハディド氏やダニエル・リベスキン氏、磯崎新氏らが再構想した一大プロジェクトエリアを展開。さらにフェルトリネッリ財団は、ヘルツォーク&デメウロンが手掛けるプロジェクトによる新しいビルを、2016年中にオープンすることになっている。
文化的な面では、毎年約2500回のコンサートが開かれているミラノのスカラ座がやはりお勧め。また、毎シーズン開かれるミラノのファッションウィークは新しいコレクションを発表する重要な場であり、世界のファッショントレンドに影響を与え続けている。
2015年の万博のテーマは「食」だったが、ミラノは万博以前から美食の都で、パネットーネ、リゾットミラネーゼなどの伝統料理が有名。さらに「アペリティーヴォ」と呼ばれる17時頃からのハッピーアワーには、ナヴィリ地区や、ブレラ、コルソ・コモなどのエリアが多くの人で賑わい、ナイトライフも充実しているという。
そしてミラノといえばサッカーであり、世界的なクラブチームであるインテルとミランのホームタウン。毎週交代で試合が行なわれるサン・シーロスタジアムは、ミラノで1番訪れる人の多い人気スポットで、スタジアム自体も美しく、隣のサッカーミュージアムとともにお勧めだそうだ。「ミラノは皆さんが期待するあらゆることに応えてくれる街です。そしてその期待をしのぐほど魅力的な街です。ぜひ皆さんミラノにおいでください」とプレゼンテーションを締めくくった。
イタリアブースでは、イタリア政府観光局によるセミナーやパンフレットの配布のほかにも、「ミラノ市」「カンパニア州+ガニメデ・ヴィアッジ」「ピエモンテ州+ランゲ・ロエロ観光局+トリノ観光局+アキタツアーズ」「ボローニャ・ウェルカム+ロイヤルホテル・カールトン+ホテル・インターナショナル」「コルティナ・ダンペッツォ観光局」「ベットーヤホテルズ(ローマ)」の担当者が、観光情報を提供するなど、各地の魅力をアピールしていた。