ニュース

日本旅行業協会、平成28年熊本地震の影響や、インバウンドによる問題点など説明

6月3日にフランス フェスタを開催

2016年4月21日 会見

 JATA(日本旅行業協会)は、4月21日に記者会見を開催し、平成28年熊本地震による影響と対応を説明したほか、「“食”と“アート”と“元気なフランス”フェスタ」を6月に実施する発表、JATAが開設した消費者相談窓口の相談状況、ハワイサミット2016の報告などを行なった。

地震によりキャンセルなどの影響あり

一般社団法人日本旅行業協会 理事長の中村達朗氏

 平成28年熊本地震については、冒頭、理事長の中村達朗氏がお見舞いの言葉を述べたあと、風評被害が心配との考えを示した。海外からは「九州全体が危険だ」と誤解されてしまう心配もあり、国へ対応を依頼し「宿泊の状況、交通機関の状況を集約して、九州運輸局から海外も含めて情報発信をしていただくようお願いしているところ」と説明した。

 今後の見通しについては具体的な時期を明言する段階ではないとしながら「一定程度、安全が見えてきたときに商品化を進め、旅行で地域を支援する」との考えを示した。

国内・訪日旅行推進部長の興津泰則氏

 また、国内・訪日旅行推進部長の興津泰則氏は客室提供の状況は予約システムなどから把握できているとし、春休みとゴールデンウイークの中間期にあたる現在はオフ期なので、量は多くないもののキャンセルはあることを明らかにした。

 興津氏は宿泊施設によっては90%を超えるキャンセルがあるところもあり「なんとかしてほしいという声が届いてる」と現状を訴えた。一方で「まったく被害のないところも多い」と強調し、大分県内や湯布院でも宿泊可能な施設はあり、ライフラインや周辺道路などの整備が済めばすぐ営業できる施設も多いという。

ハワイ州観光局と意見交換の場を復活へ

海外旅行推進部 副部長の佐野学氏

 海外旅行推進部 副部長の佐野学氏からは、ハワイサミット2016の報告があった。商談会やセミナーを行なったほか、JATAとハワイ州観光局との会合を行なったという。

 以前はJATAとハワイ州観光局との間で定例会議を行なっていたが、現在は諸事情により中断。今回の会合では意見交換の場は必要との認識が一致し、協議の場を復活させる方向を確認した。また、会合では日本とハワイ間の旅客輸送力やコスト面で問題があるとの認識が一致するなど、両者の共通認識を確認できたとしている。

「“食”と“アート”と“元気なフランス”フェスタ」を6月3日開催

海外旅行推進部 副部長の保坂明彦氏

 海外旅行推進部 副部長の保坂明彦氏は6月3日に東京・丸の内で開催の「“食”と“アート”と“元気なフランス”フェスタ」の説明を行なった。会場は東京都千代田区の丸の内ビルディングで、セミナーを丸ビルホールで実施、1階マルキューブにてオープンスペース形式でブース展示、ライブアート、トークショーを行なう。

 フランスのパリ同時多発テロ事件以降、フランスへの旅行需要を復活させるリカバリープランが行なわれているが、その一環として実施されるもの。事前申し込みのセミナーで200~300名、一般来場が700~800名を目標としており、ブース出展などによる協賛も予定どおりの額に達してるという。

 内容は「花咲くフランス」をテーマに、花絵師の藤川靖彦氏やローラーペイントアーティストのさとうたけし氏によるライブアート、料理評論家の山本益博氏とパティシエの鎧塚俊彦氏によるトークショーやセミナー、「フランスの美しい村」写真展や、旅行会社、航空会社、フランス観光開発機構によるツアー販売や観光案内のブースを設置し、需要喚起してもらうという。

2015年の消費者相談はインバウンドの相談が舞い込む

消費者相談室 室長代行の服部豊氏

 今回の定例会見で最も時間を費やして説明が行なわれたのは2015年の消費者相談室における相談件数とその分析。消費者相談室 室長代行の服部豊氏が説明した。

 消費者相談室は、主に消費者から旅行業者に対する苦情などの相談を受け付ける場所。2015年の消費者からの相談件数は2100件で前年から微増している。3月期に営業停止に対する還付請求のための相談が殺到した部分を除くと1923件で、前年とほぼ同数の相談件数。消費者以外の旅行業者やホテルや航空会社といったサービス提供会社、消費者センター等の相談は減少しており、全体では前年比95.9%となる3456件となったという。

 2015年のトピックとしては、それまでなかったインバウンドの相談がある。現地旅行会社と日本国内の仲介業者間の代金の送金が不十分で、空港に向かうツアー客が突然バスから降ろされる事態が発生し、中国人添乗員から助けを求める電話がかかってきたことがあったという。

 また、中国語で長文のクレームのメールが届くなど、これまでなかった相談が寄せられている。外国人旅行者からの相談は、国内の旅行業者からのクレームとは違い「もっと重大で、根本的なところ」(服部氏)とし、理事長の中村氏もランドオペレーターの対応などをまとめて観光庁へ申し入れは行なっているとのことだ。

(編集部:正田拓也)