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2016年3月期 旅行市場動向調査で、安全なハワイや時差の小さいオーストラリアが人気に

ヨーロッパは回復傾向、国内は新幹線開通の北海道・東北が上昇

2016年3月17日 発表

海外旅行と国内旅行のDI値

 JATA(日本旅行業協会)は3月17日、2016年3月期(第4回) 旅行市場動向調査を発表した。旅行市場動向調査はJATA会員に、現況・先行き(3カ月後)についてのアンケートを実施し、旅行市場の動向を把握することを目的としている。

 調査は各質問事項に対し「良い」「普通」「悪い」「取り扱っていない」で評価を求め、回答数から「取り扱っていない」(無回答を含む)への回答を除いたものを母数として各回答のシェアを算出。「良い」を選んだ割合(%)から「悪い」を選んだ割合(%)を引いて、「DI」(Diffusion Index:ディフュージョン・インデックス)という景気動向指数に加工して発表している。DIの値の範囲は、「全て良い」(100)から、「全て悪い」(-100)の間の評価となる。

 調査期間は、2月8日~24日。設定数は585社で回収数は297社。回収率は50.8%となる。

 この調査によると、海外旅行の現況DIは、12月期(-40)より1ポイント回復して-39。3カ月後は、8ポイント上昇し-31の値。一方、国内旅行DIは、12月期(+9)より15ポイント下落して-6。3カ月後は、9ポイント上昇しマイナスから回復し+3の値となっている。

一般社団法人日本旅行業協会 広報室 担当副部長 新田幹夫氏

 各地域の詳細については、JATAのWebサイト「2016年3月期(第4回)旅行市場動向調査(PDF)」を参照していただきたいが、JATA 広報室 担当副部長 新田幹夫氏が主要な点をコメント。

 現況、ヨーロッパは下落しているものの、3カ月後の見通しでは回復傾向にあり、来日したパリ市長との意見交換会などの施策が効果を発揮しているかもしれないとの見方を示した。

 ヨーロッパの現況が低迷している理由の第一は昨年11月に発生したテロ事件だが、そのこともあって現況は安全性を重視した動向になっているという。安全性で注目されている地域はハワイであり、また、安全性も高く時差の小さいオセアニア(主にオーストラリア)にも人気が集まっているとのこと。オーストラリアについては各航空会社が路線増も図っており、その影響もあるのだろうということだった。

 3カ月後の見通しで注目されるのは、やはりハワイで、DIが唯一の+3を記録。ハワイがプラスとなるのは2014年3月期(1月~3月)の+2以来であり、実際、ゴールデンウィーク中の予約は取りにくい傾向が出ているという。

 国内の現況は、軽井沢のバス事故やバス料金の値上げ、雪不足による不催行(雪が少なく、スキー旅行などを実施できない)の結果、DI値は+3の予測から-6へと悪化した。3カ月後の見通しにおいては、3月26日の北海道新幹線の開通により北海道・東北が大幅に上昇。北陸新幹線効果の続く北陸はゆるやかな減少ではあるものの、全体ではDI値が上昇している。

 このDI値は景況感のようなものであり、必ずしも実数を反映しているわけではないが、旅行販売の最前線に立つ旅行会社の感触だけに参考になるだろう。2016年のゴールデンウィークは、平日をうまく休めば長期休暇を作り出せるため、人気のあるハワイやオーストラリアに行く際は早めの予約が必須だろう。また、長期休暇を活かして、予約の取りやすくなっているヨーロッパ旅行もありだろう。旅行市場動向調査を活用することで、納得のいく旅行プランを作り上げていただきたい。

(編集部:谷川 潔)