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ANA、宮崎県産の本格熟成キャビアを国際線ファーストクラスの機内食に採用

「MIYAZAKI CAVIAR 1983(宮崎キャビア1983)」の試食イベント実施

2016年3月14日 実施

 宮崎キャビア事業協同組合とANA(全日本空輸)は3月14日、宮崎県産の本格熟成キャビア「MIYAZAKI CAVIAR 1983(宮崎キャビア1983)」がANAの国際線ファーストクラス機内食に採用されたことを記念し、「宮崎キャビア1983 ANA国際線ファーストクラス採用記念イベント」と称した説明・試食会を実施した。

 宮崎キャビア1983は、宮崎県が1983年に開発に着手し、約30年をかけてチョウザメの養殖からキャビアの熟成まで達成した国産のキャビア。2013年に宮崎キャビア事業協同組合を設立し事業化。同年11月に「MIYAZAKI CAVIAR 1983」とブランド化して発売した。

 そして、先週3月9日には、宮崎キャビア1983の加工場が、国際的に統一されたキャビアの輸出に必要なラベリング制度において、国内登録第1号に認定された。養殖場はすでに登録されており、これにより国産初の輸出可能なキャビアとしての準備が整ったことになる。

 ANAでは、この宮崎キャビア1983を使った料理を2016年3月~5月の国際線ファーストクラスで提供。日本発の長距離路線を中心とした以下の路線で提供される。

・羽田~ロンドン(NH211便)
・羽田~フランクフルト(NH223便)
・成田~ロサンゼルス(NH6便)
・成田~サンフランシスコ(NH8便)
・成田~ワシントン(NH2便)
・成田~ニューヨーク(NH10便)
・成田~ニューヨーク(NH104便)
・成田~ヒューストン(NH174便)
・成田~シカゴ(NH12便)
・成田~シカゴ(NH114便)
・成田~シンガポール(NH801便)

 提供メニューは、3種類から選べるアペタイザのうちの一品で、「鱸のマリネと帆立貝 雲丹のフリヴォリテ風 宮崎キャビア 1983 を添えて」。ANAケータリングで洋食を担当する清水誠シェフは、「スズキのマリネに、軽く燻製したホタテ貝やウニを包んで、(女性のスカーフを巻くリングを意味する)フリヴォリテ風としたもの。それにカリフラワーのピューレ、ニンジンの甘酸っぱいソース、宮崎キャビア1983を一緒に召し上がっていただく料理」と紹介した。

「鱸のマリネと帆立貝 雲丹のフリヴォリテ風 宮崎キャビア 1983 を添えて」

 説明・試食会では、冒頭で宮崎キャビア事業協同組合 参事の坂元基雄氏が挨拶。「宮崎キャビア1983は、2013年に発売して、2016年で3度のシーズンを迎えている。いつかはANA国際線ファーストクラスに採用されることを大きな目標として考えていたが、まさかこれほど早く目標が叶うとは思っていなかっただけに、生産者一同、心よりうれしく思っている。日本を代表するキャビアとして、これからますますジャパン・クオリティの追求に全力で取り組んでいきたい」とし、ラベリング登録が行なわれたことを受けて本格的な輸出の準備を進めたいとした。

 続いて登壇した宮崎県知事の河野俊嗣氏は、「ANAの国際線ファーストクラスに採用されることを我々の一つの夢として取り組んできたが、なんといってもエアラインの一つの顔であるファーストクラス……最高の物、最上質の物を提供するところに採用されたことを誇らしく思っている」と喜びを見せた。

 さらに、生産面、加工面それぞれの特徴として、「生産では国内で唯一、卵からの完全養殖の技術を開発した。県の水産試験場で卵から稚魚に孵して、稚魚を県内の23業者が養殖しているので、安全、安心、安定供給ができる」「加工面では国内で唯一、熟成する技術を確立した。輸入物は保存のために塩分が高めだったり、低温殺菌してあったり、防腐剤を入れてあったりするが、宮崎キャビア1983はフレッシュでクリーミー」と説明した。

 最後に「1983年に日ソ(日本・ソ連)友好の証としてチョウザメをいただき、それをキャビアまでこぎ着けた。今はロシアになっているが、ロシアと日本の友好交流にも資するのではないかと考えており、宮崎県がこのような商品をしっかりアピールすることで世界平和にも貢献しよう、という雄大な構想」と笑いを誘うコメントを残した。

宮崎キャビア事業協同組合 参事 事務局長 坂元基雄氏
宮崎県知事 河野俊嗣氏

 ANAからは、宮崎県出身のANAホールディングス会長 伊東信一郎氏が来場し、「30年に渡る苦心を重ね、いろんな研究をされて事業化を達成されたということで、心から敬意を表したい。私の宮崎自慢が1つ増えた」とし、挨拶前にすでに一口食した感想として「色つやがまず素晴らしい。味もそれほど塩辛くなくて本当に美味しい」とコメント。

 ANAの機内食としては、「3月からスタートしているが、大変好評をいただいている。これまでにも宮崎牛、マンゴー、地鶏、きんかん、焼酎の『川越』『心水』、お茶など宮崎産品を提供してきたが、満を持しての宮崎キャビアの登場となる。我々も世界のお客さまに提供して、宮崎キャビアの世界進出の役に立ちたい」と語った。

ANAホールディングス株式会社 代表取締役会長 伊東信一郎氏
乾杯をする河野知事(左)とANAホールディングス伊東会長(右)
料理を紹介した株式会社ANAケータリングの洋食シェフ 清水誠氏

 ちなみに、ANA宮崎支店 支店長の池田晴彦氏によれば、2015年3月~5月に宮崎県産シロチョウザメの肉とキャビアの料理を提供し、その際には宮崎県産キャビアの供給量の問題でフランス産キャビアを使っていたという。そして、宮崎キャビア事業協同組合が輸出を目指す姿勢を打ち出したことで、再度相談し、実現にこぎ着けたという。

 一方、宮崎キャビア事業協同組合の坂元基雄氏によれば、宮崎県では2004年にシロチョウザメの完全養殖に成功し、民間での養殖も開始したが、そのうち8年目で卵を産む個体は5%、9年目で卵を産む個体は15%に留まるのに対し、10年目に卵を産む個体は58%であることから、生産量が急増。今後はより安定した量を供給できるという。機内食として3カ月採用してもらうためには80kgを供給できる必要があり、前年の生産量は60kgだったので断念したが、本年は300kgの生産量となったことで実現できたと説明した。

(編集部:多和田新也)