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ANA、国際線定期便就航30周年を記念した「歴代CA制服フライト」を実施

ファーストクラスとビジネスクラスでは復刻パフェをシェフ自ら提供

2016年3月3日 実施

 ANA(全日本空輸)は、国際線定期便就航30周年を記念し、3月3日に日本を出発する国際線全路線を対象として、さまざまな特別サービスを実施した。今回、実際に3月3日に特別フライト「歴代CA制服フライト」として運航された、成田発~ロサンゼルス行きのANA/NH6便に搭乗したので、その様子を紹介する。

ANA/NH6便を「歴代CA制服フライト」として運航

 3月3日のANA日本発国際線全路線で実施された特別サービスは、以下のようなものだ。

 まず、日本発国際線全路線の乗客に、記念品として「ANAオリジナル風呂敷」を配布。こちらは、搭乗時に係員が手渡す形で全乗客に配布された。

 機内では、過去に人気の高かったアイテムを“復刻”として3月3日の1日限定で提供。日本発欧米路線のファーストクラス、ビジネスクラスでは、2013年まで提供していた「ANAオリジナルパフェ」、日本発国際線全路線のファーストクラス、ビジネスクラスで2009年に提供された「水引」がそれぞれ提供された。

 このほか、特定の便では、特別の機内サービスも行なわれた。成田発~ワシントン行きのANA/NH2便のファーストクラスでは、ANAシェフが機内で寿司を握って提供(ビジネスクラスでは、あらかじめ握って用意した寿司を提供)。羽田発~パリ行きのANA/NH215便ビジネスクラスでは、コラボレーションパートナーであるピエール・エルメ・パリのシェフが、オリジナルパフェを盛り付けして提供。そして、成田発~シンガポール行きのANA/NH845便ビジネスクラスでは、同じくコラボレーションパートナーの博多一風堂スタッフが、「そらとん」ラーメンを盛り付けて提供した。

 このように、多くの国際線路線で、国際線定期便就航30周年を記念し、普段行なわれないサービスが実施された。

3月3日のANA日本発国際線全路線の乗客に、記念品としてANAオリジナル風呂敷が配布された
日本発欧米路線のファーストクラス、ビジネスクラスでは、2013年まで提供していたANAオリジナルパフェを提供
日本発国際線全路線のファーストクラス、ビジネスクラスで、2009年に提供された“水引”を提供

 そんななか、ひときわ特別なフライトとなったのが、成田発~ロサンゼルス行きのANA/NH6便だ。こちらは「歴代CA制服フライト」と銘打ち、初代(1955年~)から10代目(2015年~)となる現行の制服まで、全10種類の制服を着用したCAが乗務する特別フライトとして運航。ANA/NH6便搭乗時には、歴代制服を着用したCAらがゲート内で乗客に記念品を手渡した。また、機内ではファーストクラスとビジネスクラスの乗客に、機内でシェフが盛り付けたオリジナルパフェを、シェフ自ら配ってまわるなど、より強くお祝いムードが感じられるフライトとなった。

 歴代CA制服フライト出発前には、出発ゲート前でセレモニーも開催。セレモニーでは、乗務する歴代の制服を着用したCAが勢揃いし、初代から現行までの制服を紹介。続いて、ANA執行役員 客室センター長の山本ひとみ氏が登壇し、次のように挨拶を述べた。

「本日はANAにとって、記念すべき大切な日です。30年前の3月3日、成田~グアム線の定期国際線を初めて就航しました。ANAはすでに60年を経た会社ですが、その前(国際線定期便就航前)の30年間は国内のみの運航でした。悲願であった国際線の定期便就航に向けて、数多くの従業員やご支援いただいた関係各所の皆様、そしてたくさんのお客様にご利用いただき、ここまでやってまいりました。今でこそ、39都市59路線にまで成長させていただきましたが、これもひとえにANAを信じて支えてくださった皆様のおかげです。そして、今日この日を境に、また新しい歴史の1ページを作り上げていきたいと思っております」。

「歴代CA制服フライト」として運航されたANA/NH6便。機材はボーイング 777-300ER型機
歴代CA制服フライトとなったANA/NH6便出発前には、出発ゲート前でセレモニーを開催
セレモニーで挨拶する、ANA執行役員 客室センター長の山本ひとみ氏
ANA/NH6便搭乗時には、歴代制服を着用したCAが乗客に記念品を手渡した
山本氏(左から2人目)だけでなく、ANA客室センター 副センター長の石島好子氏(左端)やANA客室センター 客室乗務二部 部長の矢野淳子氏(左から3人目)らもゲート内での記念品配布に駆けつけた

歴代の制服や歴代CA制服フライトの様子を一挙紹介

 ここからは、歴代CA制服フライトの機内での様子や、今回の歴代CA制服フライトで着用された歴代の制服を紹介していこう。

 歴代制服は、有名デザイナーが手がけた制服も多く、鮮やかな色彩のものからシックな印象のものまで非常に多彩で、それぞれの時代を象徴する制服という印象を強く受ける。そして、異なる制服を着用したCAが機内で働いている様子は、いつものフライトでは見られない、特別フライトと呼ぶに相応しい華やかさが感じられた。

このように、機内で目に入るCAの方々はほぼ全員が異なる制服を着用しているため、機内はいつものフライトとは異なる華やかさで包まれた
3月3日のフライトということもあって、ギャレーにお雛さまの飾り付けも用意された

 歴代CA制服フライトで提供された機内食は、基本的には通常のフライトと同じ内容のものだったが、ちょうど3月からメニュー内容が新しくなっていた。今回、夕食では和食をチョイスしたが、前菜から主食まで、春を感じさせる食材がふんだんに使用されていた。この和食メニューは、東京銀座の並木通りに店を構える日本料理店「銀座奥田」の奥田透氏とのコラボレーションメニューとのこと。なお、洋食メニューでは、コンラッド・ニューヨークとのコラボメニューが提供される。

3月からメニューが一新されたビジネスクラスの和食メニュー。菜の花や鰆など、春を感じさせる食材がふんだんに使われている。銀座奥田とのコラボレーションメニューで、特に出汁にこだわっているという

 夕食のデザートとして用意された、お待ちかねのANAオリジナルパフェ。以前提供されていたパフェと同じように、ドリンク用のグラスに盛り付けられる形で提供された。

 パフェの中身は、ストロベリーアイスとバニラアイス、バームクーヘンなどをストロベリーソースが敷き詰められたグラスに入れ、ホイップクリームをトッピング。そして、ホイップクリームには国際線定期便就航30周年の記念プレートもあしらわれていた。

 このパフェは、実際にANA/NH6便に搭乗した2名のANAシェフが、機内で盛り付けを行なって提供。狭いギャレーでの盛り付けはかなり大変そうだったが、手際よくデコレーションを施していくあたりは、さすがプロの技と感じた。そして、盛り付けられたパフェは、シェフ自ら客席まで運ばれた。

 機内で提供されるものとはいえ、その完成度はなかなかのもので、これが機内で食べられるのは、かなり満足度が高い。過去に何度か機内でパフェを食べたことがあったが、その時のことを思い出しながら楽しめた。筆者は下戸で、甘いものが大好きなこともあって、できることなら今後またレギュラーメニューとして復活させてもらいたいと強く感じた。

歴代CA制服フライトのANAオリジナルパフェは、ANAシェフが機内で実際に盛り付けて提供された
このように、パフェの具材が所狭しと置かれ、狭い中での作業を強いられていた
環境のわるいなかでも、手際よくデコレーションを施すあたりは、さすがプロだ
できあがったパフェ。他にチーズやフルーツの盛り合わせも用意されていた
シェフ自ら客室に運び、乗客に提供された
シェフと乗客が一緒に記念撮影する姿も見られた
パフェを片手にポーズを取るシェフ
歴代CA制服フライトで提供されたANAオリジナルパフェ。以前と同様に、ドリンク用のグラスに盛り付けて提供された
ストロベリーアイスとバニラアイス、バームクーヘンなどを入れ、底にストロベリーソース、上にはホイップクリームがあしらわれていた
ホイップクリームの上には、国際線定期便就航30周年記念プレート

 機内では、ANAシェフや歴代制服を着用したCAと記念撮影を行なう乗客の姿も多数見られるなど、和やかな雰囲気のなか、順調にフライトを続けた。着陸前には、CAが乗客に国際線定期便就航30周年記念ステッカーを配布。そして、定刻よりやや早い、3月3日9時32分(現地時間)に無事ロサンゼルス国際空港に到着した。

記念ステッカーは全部で4種類用意されていた
着陸直前、CAが記念ステッカーを乗客に配布した
ANA/NH6便は、定刻よりやや早くロサンゼルス国際空港に到着した

歴代の制服を着用してフライトに乗務したCAのみなさん

初代制服(1955~1958年)。米空軍の婦人服をモデルにデザインされたという、紺色のツーピース
2代目制服(1958~1966年)。ノーカラーの紺のツーピースと開襟シャツを組み合わせた。ANA社員がデザイン
3代目制服(1966~1970年)。明るいブルーのツーピース。2代目までの制服から大きくイメージチェンジ。厚生大臣賞受賞。中村乃武夫氏デザイン
4代目制服(1970~1974年)。大阪万博開催に合わせてイメージチェンジ。当時の流行、Aラインのミニを採用。夏服は青と白、冬服は黄色と茶色のワンピース。芦田淳氏デザイン
5代目制服(1974~1979年)。L-1011(トライスター)導入と同時に採用。トライスタールックと呼ばれ、ブルー、ベージュ、オレンジの3色バリエーションやパンタロンの採用が話題に。伊藤達也氏デザイン
6代目制服(1979~1982年)。ボーイング 747SR(スーパージャンボ)就航に合わせて採用。カジュアルなデザインや色づかいで、制服らしからぬ斬新さを表現。三宅一生氏デザイン
7代目制服(1982~1990年)。創立30周年を記念して採用。がっちりしたダブルのスーツ。こちらは空港係員用の制服。芦田淳氏デザイン
8代目制服(1990~2005年)。ストライプが印象的なスーツ。ブラウスとスカーフは、バイオレット、アクアマリン、コーラルピンクからCA各自が自由に選択できた。芦田淳氏デザイン
9代目制服(2005~2015年)。ANAグループの統一ブランドをアピールし、一体感を高めるために導入。ANAの経営理念「安心」と「信頼」を基本に、「変革」と「新しさ」をコンセプトにする。乗客の意見を選定の参考にした点も新しかった。田山淳朗氏デザイン
10代目制服(2015年~現在)。創立60周年(2012年)と持株会社制導入(2013年)を踏まえ、「挑戦」、「安心」、「おもてなし」をコンセプトに採用。ジャケットとスカートの背面のANAコーポレートカラーのブルーラインを取り入れた。初の外国人デザイナー、プラバル・グルン氏デザイン
歴代CA制服フライトの乗務員

(平澤寿康)