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常磐道と東関道を直接結ぶ、圏央道 神崎IC~大栄JCTの開通セレモニー
(2015/6/8 00:00)
- 2015年6月7日17時 開通
国土交通省とNEXCO東日本(東日本高速道路)は、6月7日17時に圏央道 神崎IC(こうざきインターチェンジ)~大栄JCT(たいえいジャンクション)間を開通する。開通にあたり、同区間に新設される下総(しもふさ)IC付近で開通セレモニーが実施された。
今回開通する神崎IC~大栄JCT間は、事前公開時の記事(http://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/20150604_705242.html)でも紹介している通り、千葉県内の9.7kmの区間となる。同区間の開通により、常磐自動車道と東関東自動車が圏央道で接続され、茨城県や北関東、東北方面からも、東京都内を通らずに、常磐道~圏央道~東関道を経由して、成田空港や千葉県全域へアクセスできるようになる。
その開通セレモニーには、地権者や関係者ら500名が臨席。国土交通大臣政務官の青木一彦氏や千葉県知事 森田健作氏、地元成田市の小泉一成 市長、神崎町の石橋輝一 町長、地元選出の国会議員らが参列し、テープカットとくす玉開披が行なわれた。
大栄~松尾横芝の早期完成にも期待が寄せられた開通式典
開通セレモニーの後、場所を旧成田市立小御門小学校へ移して、開通式典が行なわれた。
冒頭で挨拶を行なった国土交通大臣政務官の青木一彦氏は、「国交省では、首都圏の慢性的な渋滞を解消し、効率的な物流ネットワークの強化を図るため、首都圏3環状道路の整備を進めており、3月7日には中央環状品川線の開通で1つめのリングが完成した。圏央道は、東名高速から中央自動車道、関越自動車道までが繋がるなど約7割が完成しているが、本日の開通は、放射道路である東関道と常磐道が繋がるという節目にあたる」と開通区間の位置付けを紹介。
「圏央道の沿線地域では広域的な人や物の交流が活発になり、企業立地や観光交流の促進など、地域経済の好循環が期待されている。すでに開通した区間では、数多くの企業や大型商業施設が立地しており、隣接する茨城県でも、阿見東部工業団地や「いぶきの丘 阿見東区画整備事業」などが進められている。このように圏央道は、地域経済や首都圏の国際競争力を支えるネットワークとして重要な役割を担っており、日本を活力に満ちた国へ導く鍵と考えている。圏央道の1日も早い完成に向け、引き続き皆さまのご支援、ご協力を賜わるようお願い申し上げる」と、開通済み区間の効果を紹介しながら、圏央道未開通区間工事への支援を求めた
続いて挨拶した千葉県知事の森田健作氏は「圏央道は東京湾アクアラインと一体となり、東日本と西日本とを高速道路ネットワークで結び、人と物の流れをスムーズにし、首都圏における交流・連携を強化するとともに、国土強靱化と地方創世を実現するための大変重要な道路だ。今回の開通により、東関道と常磐道が高速道路で直接繋がる新たな広域ネットワークが誕生し、成田空港の利便性が大幅に向上するとともに、県内の観光振興、企業立地、農林水産物の販路拡大など、幅広い効果が期待されるところ。こうした効果を県内のみならず、首都圏全体に広げるためにも、1日も早い全線開通に向け、残る大栄~松尾横芝間のさらなる整備促進に取り組んでいただけるようお願い申し上げる」とコメントした。
来賓として挨拶した衆議院議員の林幹雄氏は、「昔から、道路は“文化を運ぶ母である”と言われているが、今では、産業を興し“地域振興の父”であるのが現実。この沿線に、物流基地はもちろん、いろんな企業が立地してくる、あるいはショッピングセンターがどんどんできるということになって、人と物の流れが大きく変わり、その地域の発展に必ず繋がることになる。特に今回の開通では常磐道が繋がるので、茨城県の方々も直接成田に来られる。順調にいけば、今年度中につくば中央ICから先も繋がるので、東北自動車道、関越道に至るまで、東京を通らずに圏央道で成田に来られるようになる。成田空港も、LCCを国内線だけでなく国際線もどんどん増やして、茨城や埼玉をはじめとする北関東の方々を、便利なうえで成田空港へ迎え入れるという形を作らなければならない。観光においても、空港だけに取られても仕方ないので、いろんな知恵を出して、我が地区に誘致する、我が地区に降りてもらう、我が地区に泊まってもらうということを模索し、いろんな工夫をするうえで、この開通はまさに鬼に金棒ではないかと思っている」と開通による千葉県の経済、観光に及ぼす効果に期待。
一方で、「私も当初からタッチした者の1人として大変感慨深く、うれしく思っているが、これから先、大栄JCTから松尾横芝ICまでが、まだまだ未定。何が未定かと言うと、道路の建設は用地確保がすべて。用地確保ができた段階で完成と言っても過言ではないぐらいの話。用地確保は役所任せではなく、今日は知事もいらっしゃるし、市長も町長も、県会議員の方々もたくさんいらっしゃるので、側面から応援していただきたい。残された横芝までの区間が開通すれば、アクアラインを通じて、羽田だろうが、横浜だろうが、どんどん行ける。東京を通らずに、成田を軸に大きく羽ばたく形になってくる。その意味では、まだまだ道半ばであり、今日は、大栄から横芝までの出発の日と位置付けて、これからも皆さまと取り組んでまいりたい」と、その先の大栄~松尾横芝間開通に向けて意気込みを述べた。
同じく衆議院議員の富田茂之氏は、「本日の千葉日報にも『加速する経済効果に期待』と大きく書かれており、これが現実になるように政治家としてしっかり取り組んでまいりたいと思う」と挨拶。
また、「いま、林幹雄先生から、松尾横芝までの用地買収が大変だ、今日がその出発点だというお話があったが、その通りだと思う。私はそれに付け加えて、少し外れるが、林先生も私も銚子の生まれで、銚子だけが今、取り残されている。松尾横芝までの用地買収に加えて、松尾横芝から銚子までの銚子連絡道路も、今日出席の皆さまの力を借りて、県内全域の道路網がきちんとできるようにしたい。これができないと林先生も私も政治家を辞められないので、2人でしっかり取り組んでまいりたい」と、横芝光ICまで開通している銚子連絡道路のさらなる延伸に取り組む姿勢を見せた。
来賓として最後に挨拶した参議院議員の猪口邦子氏は、「道路は地方創世の動脈、地方創世は道路建設から始まる。これは間違いない事実。道路は人を繋ぎ、雇用を生み、雇用を遠くまで探しに行くことを可能にする。そして、いざという時に命を救う。本日開通した道路を通ったが、本当に美しく、まるで自然までもが祝福するような、千葉の美しさが際立つ道路開通だと思っている」とコメント。
また、第3次小泉内閣で少子化・男女共同参画担当大臣を務めた経歴にちなみ、「子供達にとって道路は多くの希望をもたらすもの。道路をきちんと建設して雇用の不安をなくし、若い家族が地域で暮らし、そして子供達が学校を出たら、例え地理的には遠くても通勤の時間を短くできる。そのような道路の便利さを享受できることが、少子化対策のもっとも有望な手立てだと思っており、その観点からも今回の区間開通に感謝を申し上げたい」と述べた。
主催者側を代表して挨拶した、NEXCO東日本 代表取締役社長の廣瀬博氏は、「本日開通する圏央道 神崎IC~大栄JCTの9.7kmは、平成16年度(2004年度)の工事着手以来、地元の皆さまの期待に応えるべく、国土交通省とNEXCO東日本が鋭意工事を進め、約10年の歳月を経て今般開通の運びとなった。開通区間の千葉県北総地域は、豊かな水資源や自然を活かし、古くから醸造業などが盛んな地域であり、さらには成田山新勝寺など歴史的文化遺産にも恵まれるとともに、日本の空の玄関口である成田空港を擁する国際色あふれる地域でもある。この4月8日には成田空港第3ターミナルが開業し、LCCを利用する国内外の観光客増加が見込まれているが、このたびの開通で空港へのアクセスが向上し、地域経済の活性化や、千葉県全域の観光振興に寄与するものと考えている」と千葉県への経済、観光振興への効果に対してコメント。
さらに圏央道について、「東関道と常磐道が圏央道で結ばれることになるので、千葉、茨城両県を始め、北関東、東北方面からのアクセスの向上、企業立地をはじめとする、地域経済活動のさらなる活性化が期待されるとともに、圏央道経済圏形成に向けた大きな一歩になると思う。私どもとしては、圏央道が地域の皆さまに愛され、活用される大切な道路となるよう努力するとともに、引き続き、残る区間についても早期開通に向けて整備を進めていく。NEXCO東日本は、安全、安心、快適、便利にご利用いただけるよう万全の管理に努めるとともに、高速道路の効果を最大限に発揮させることで地域社会の発展と暮らしの向上を支え、日本経済全体の活性化に貢献していく所存である」とした。