ニュース

オリエンタルランド、ディズニークルーズの進捗に言及。「クルーズを新たな文化として根付かせる」と髙野CEO

2025年11月7日 発表
オリエンタルランドが「ディズニークルーズ」の進捗を報告した

 オリエンタルランドは11月7日、「総合報告書2025」を発行し、特集・クルーズ事業で2028年度就航予定の「ディズニークルーズ」について言及した。

 ディズニークルーズは、オリエンタルランドグループがテーマパーク事業、ホテル事業とともに第三の柱となる事業にすべく進行中のプロジェクト。

 総投資額は3300億円(船体2900億円、予備費400億円)にのぼり、客室数 約1250室、乗客定員約4000人、乗組員約1500人。全長約340m、総トン数約14万トンを誇る日本籍で最大のクルーズ船を運航する。年間で約40万人ものゲストを迎えることができ、船内ではディズニーならではのアクティビティやエンタテイメントをはじめ、バリエーションに富んだダイニング、さまざまなグレード・タイプの客室での滞在が楽しめる。

 東京ディズニーリゾートを進化・成長させ続けてきたノウハウを駆使し、これまでクルーズになじみの薄かったファミリーや若い世代を主なターゲットとし「ファミリーエンターテイメントクルーズ」の実現を目指す。通年稼働する2029年度から黒字を想定。就航数年後には年間売上を約1000億円、年間乗客数約40万人を予想している。

 クルーズ事業に参入する意義として、「天候に左右されにくい事業モデル」「舞浜一極集中リスクの回避」「土地の制約を受けない拡張性」ほか全6項目を挙げ、既存事業にはない強みを活かしていくという。

 報告書の冒頭では、代表取締役会長(兼)CEO髙野由美子氏が「日本ならではのファミリーエンターテイメントクルーズを、新たな文化として根付かせてまいります」と意気込む。そして、“テーマパーク”を日本に定着させた実績を持つ同社だからこその使命であるとも語っている。

 さらに特集内で、執行役員クルーズ事業準備室担当チャールズ・D・ベスフォード氏が「OLCグループが初めて東京ディズニーランドを建設したときの状況とよく似ている」とコメント。現在造船中であることや、国土交通省や東京都をはじめ行政機関、業務提携先である日本郵船株式会社、株式会社郵船クルーズとの連携を進めながらプロジェクトが着実に前進していることをアナウンスしている。

 また、クルーズ事業準備室長(ビジネスプランニング担当)志村直彦氏も、導入予定の船は2022年に米国で就航を開始した「ディズニー・ウィッシュ」の姉妹船であることに加え、船内の一部施設や食事、エンタテイメントなどには日本のゲストの嗜好に合わせた変更を行ない、オリジナルの要素を取り入れることに言及。ほかのディズニークルーズとは違う日本ならではの体験を提供したいと話す。

 なお、ディズニー社との契約について、範囲が日本を拠点とするディズニークルーズの開発と運営であることや最長で39年間延長可能なこと、さらに売上高に応じてロイヤルティーを支払い(為替変動の影響は受けない)ことなどが記されている。

 クルーズ事業準備室長(造船担当)守岡亮氏も、ドイツの「マイヤー・ヴェルフト造船所」で造船中の客船について、ならびに日本で就航するまでのプロセスを紹介。OLCグループにとって今まで経験したことのない「未知の領域への挑戦」とし、船体や搭載機器に関し、日本の法令や技術基準に適合させるため国土交通省など関係省庁、検査機関との綿密な協議と準備が不可欠であること、さらに審査の項目や手順もきわめて多岐にわたることなども語っている。

 なお、同社はクルーズ事業に関し「テーマパーク事業を上回る収益性をもとに、OLCグループをさらなる進化へ導く」とし、1隻目を着実に成功させたうえで、2隻目の就航も検討していきたいとしている。