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韓国観光公社とJOTCが「韓国絶景30選」決定。今年の「咸安(ハマン)の落火ノリ」ジャパンデーは10月16日

2025年7月10日 実施
JATAと韓国観光公社が会見

 JATA(日本旅行業協会)は7月10日、霞が関の本部で定例会見を開き、韓国観光公社との共同企画について説明した。

 2025年は日韓国交正常化60周年にあたり、2024年の訪韓外国人旅行者は1637万人で、そのうち日本人は322万人(20.0%)。今年は6月までで2019年比98%で推移していることから、おおむねコロナ前の水準に戻っているという。2025年の目標は前年比110%の364万人とのこと。

 JOTC(アウトバウンド促進協議会)で東アジア部会 韓国ワーキンググループの座長を務める本多寿彦氏は、韓国の日本市場について「ソウルへの一極集中と旅行会社を通さない旅行(FIT)が増えているのが現状。特にソウルはLCCを中心に路線が充実しているため、比較的若い世代がSNSなどで情報を集めて個人旅行が簡単にできる背景がある」と指摘し、そんなソウルでは東京や大阪・京都と同様に「一極集中とオーバーツーリズムが課題」になっているという。

 こうした課題への対応として、JOTCと韓国観光公社は地方誘客の促進を狙う「韓国絶景30選」(eBook版)を新たに選定した。観光写真公募展の受賞作に含まれる観光地などに基づいて候補群68か所を選抜、地域の分散・周辺との連携・地域の名物料理などを考慮して、韓国ワーキンググループ所属の旅行会社14社の専門家らによって30か所まで絞り込んだ。これにはJOTCメンバーでも知らなかったような場所がいくつも含まれているという。

 絶景30選は2019年に制定した「韓国絶品グルメ30選」と同様の取り組みで、両者を組み合わせた旅行商品の造成などに期待がかかる。

一般社団法人日本旅行業協会 アウトバウンド促進協議会 東アジア部会 韓国ワーキンググループ座長 本多寿彦氏
韓国絶景30選

 会見に同席した韓国観光公社 日本地域センター長 兼 東京支社長の金観美氏は、2025年は1月~6月ですでに162万人の日本人が訪韓しており、「このままの下半期も好調を維持できれば、2019年の水準を超える」としたうえで、今年度の施策として2024年も実施した「咸安(ハマン)の落火ノリ」について説明した。

 落火ノリとは朝鮮時代から続く韓国の伝統的な花火大会で、年に一度釈迦の誕生日にあわせて厄払いと健康・安全祈願を目的に実施しているもの。炭を韓紙で巻いて布と一緒に編み込んだ「落火棒」を作り、その先に短冊を下げて水上に並べて、一斉に点火する。

 ドラマの影響などで注目度が高まっているため、地元でも観覧が難しいほど混み合うそうだが、前回に続き10月16日を「ジャパンデー」として、日本人旅行者限定でイベントを開催する。

 2024年(10月31日開催)は日本から500名ほどが参加しており、今年は1000名規模に拡大。JATAと会員各社の協力で商品化も進んでいるという。「会場は6000人規模の広さなので、かなりゆったり過ごせるはず」とのこと。

 会場は慶尚南道咸安郡の無尽亭(25 Goesan 4-gil, Haman-myeon, Haman-gun, Gyeongsangnam-do)で、釜山からはクルマで1時間半~2時間弱。参加料は1名1万ウォン(約1060円)。

 願いごとを書く短冊はイベント前日まで受け付ける予定で(当日にも受付時間を用意)、落火ノリ本番(19時~21時ごろ)が始まるまでに、韓服体験や伝統螺鈿キーリング作り、国楽公演など無料で楽しめる体験も用意する。会場にはフードトラックを設営し、韓国の人気グルメが無料で楽しめるエリアも設けるという。

 このほか、11月7日にも日本人旅行者限定イベントとして「キムジャン(キムチ漬け)」体験を開催する。会場は江原特別自治道平昌郡の静江園。収容人数が50名ほどと少ないが、こちらも旅行会社経由で申し込める予定。

韓国観光公社 日本地域センター長 兼 東京支社長 金観美氏
「咸安の落火ノリ」の詳細を説明した韓国観光公社 東京支社 白慧眞氏
「咸安の落火ノリ」イベント概要