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JR西日本、城崎温泉と竹田城跡を結ぶ「天空の城 竹田城跡号」の出発式を実施
竹田城跡にラッピングされ、木目調内装の窓向き座席で車窓の景色を楽しめる
2015年9月23日 12:00
- 2015年9月19日 実施
JR西日本(西日本旅客鉄道)は2015年9月19日から11月30日まで、観光列車「天空の城 竹田城跡号」を運行する。その初日となる9月19日に出発式が実施された。
「天空の城 竹田城跡号」は、歴史ある温泉地の「城崎温泉」駅と、雲海に浮かぶ山城遺跡として人気のある「竹田城跡」のある竹田駅を結ぶ(竹田駅の先の寺前駅で折り返す)観光列車。1日上り/下り各1本を、平日を含め毎日運行する。2014年はラッピング列車として運行していたが、今年は内装も一新し、窓向きの座席や観光館内を表示するモニターなどを備え、旅の気分を盛り上げる。出発式と車両の様子と、城崎温泉および竹田城跡をレポートする。
出発式が行なわれた城崎温泉は、平安時代から1300年もの歴史がある兵庫県豊岡市に位置する温泉街。京都から特急「きのさき」を使うと、乗り換えなく到着する。街の中心を大谿川が流れ、7湯ある温泉をめぐる外湯めぐりを楽しめるのが特徴。温泉街にある多くの旅館では、この7湯を自由にめぐることのできるフリーパスを発行しており、多くの宿泊客が温泉街を浴衣と下駄で湯めぐりを楽しんでいる。城崎温泉を訪れた文人も多く、志賀直哉の短編「城の崎にて」では、山手線の電車と接触し重傷を負った志賀直哉が療養のために訪れるという内容で描かれているほか、泉鏡花や島崎藤村、司馬遼太郎、与謝野晶子などもゆかりがある。
「天空の城 竹田城跡号」出発式は城崎温泉駅の3番ホーム上で行なわれた。通常は1両で運行され、土日など繁忙期のみ2両になる。いずれにしても観光車両「天空の城 竹田城跡号」は1両のみだ。出発式当日は2両にて運行された。
出発式では、主催者として西日本旅客鉄道 執行役員 福知山支社長 前田洋明氏が「『天空の城 竹田城跡号』につきましては、昨年(2014年)の4月に、まずラッピング列車として竹田城跡をあしらって、和田山駅~寺前駅間の運行を開始させました。その後、2015年の3月に車両も改装し毎日運行することにしました。車両は木目調で暖かさを感じさせるデザインで、座席も車窓を楽しんでいただけるようになっています。おかげさまで昨年度に比べ約3倍の利用があります。秋の行楽シーズンに合わせ城崎温泉からの運行にしました。観光のみならず車窓もできるだけ楽しんでいただければと思います。地元と連携し、『天空の城 竹田城跡号』を今後も大きく育てていきたいと思います」と挨拶した。
続けて来賓として、兵庫県但馬県民局 局長 岩根正氏が「私は『天空の城 竹田城跡号』が大好きなんで、朝からワクワクしていました。外から見ると竹田城がラッピングされています。中は木目調で、窓向きにゆったり座れる座席があります。2列席側もとても質のよいシートが選ばれています。但馬の観光要所を結ぶありがたい列車となります。心から感謝と敬意を表したいと思います。これからも多くの人に来て、楽しんでいただければと思います」と祝辞を述べた。
さらに来賓として、豊岡市 副市長 齋藤哲也氏が、「豊岡市では観光に力を入れています。中でも外国人旅行者の誘致に力をいれています。豊岡でも今年上半期の外国人宿泊者数14282人となっています。昨年同期が6878人ですので2倍強と大きな伸びです。92.1%の方が城崎温泉での宿泊となっています。このようななかで『天空の城 竹田城跡号』が城崎温泉まで延伸をしたことにより、城崎温泉と竹田城跡を結ぶ観光ルートが国内観光ばかりではなく、インバウンドにおいても重要になっています。さらに発展していくことを期待します」と祝辞を述べた。
その後、豊岡市マスコットキャラクター「玄武岩の玄(げん)さん」と兵庫県マスコットキャラクター「はばたん」が運転士と車掌に花束が贈られ、くす玉が開かれた。
「天空の城 竹田城跡号」は、今年から内装を一新させている。ベースになっているのはキハ40系。全体的に木目調で落ち着いた車内デザイン。左右に一般的な2列席と特別な窓向きの座席に分かれている。また観光風景ビデオなどが上映される大型のモニターが前後にあり楽しめる。大きめの洋式トイレも装備されている。
竹田城跡のある竹田駅に到着すると、虎臥陣太鼓の演舞と朝来(あさご)市マスコットキャラクター「ちゃすりん」による歓迎があった。「天空の城 竹田城跡号」は先の寺前駅まで運行される。
竹田城跡は、標高353.7mの古城山(虎臥山)山頂にある山城遺跡で、現存する山城としては規模も大きく全国的にも珍しい。1443年に但馬守護大名の山名宗全によって築城されたと言われる。秋から冬にかけてのよく晴れた早朝に雲海に包まれた幻想的な景色が、天空の城や日本のマチュピチュなどと呼ばれ人気の観光地なっている。虎が臥せているように見えることから「虎臥城(とらふすじょう)」とも呼ばれる。
竹田城跡の位置は、竹田駅のすぐ近くにある。駅前から周遊する「天空バス」が出ているが、もっとも近い停留所から入口料金所までは結局徒歩で登ることになるので、駅からもっとも近い駅裏登山道から登り、竹田城跡をめぐって、表米神社登山道から降りて駅に戻るという徒歩ルートが時間もかからずお勧め。駅裏登山道は竹田駅から線路の反対側の寺町通りから入るので、竹田駅近くの踏切から線路を渡る。
竹田城跡までの道のりは片道約1km弱ほどだが山頂にあるため、ほぼ登山と考えて挑んだ方がよい。登山道は整備されているが、靴は登山靴ほどではなくても、トレッキング向けのしっかりした靴がお勧めだ。荷物は宿泊施設やコインロッカーなどに預けておきたい。飲料水(竹田城跡内に自販機はない)や不意な雨にレインウェアは必ず持参しよう。無理はせずに時間に余裕をもった予定を組んで欲しい。観覧料は大人500円、中学生以下は無料。
竹田城跡の情報などが得られるアプリも提供されている。詳しくは下記記事も参考にして欲しい。
人気の観光スポット竹田城跡と、風情ある七湯めぐりの城崎温泉。「天空の城 竹田城跡号」の運行で両方が気軽に楽しめるようになった。この秋、あわせて楽しんでみてはいかがだろうか。
観光列車「天空の城 竹田城跡号」運行情報
運転区間:
城崎温泉 9時8分~寺前 11時28分
寺前 14時5分~城崎温泉 16時27分
編成両数:気動車1両(土休日は2両)
運転日:9月19日~23日、10月1日~11月30日
乗降駅:城崎温泉、豊岡、江原、八鹿、和田山、竹田、青倉、新井、生野、長谷、寺前
種別:快速