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国産ブドウを使用したワインのコンクール「Japan Wine Competition 2015」の金賞表彰式
金、銀、銅賞を受賞した361銘柄が一堂に会する公開テイスティングも同時開催
(2015/8/31 13:22)
- 2015年8月29日 開催
甲府富士屋ホテルで8月29日、「Japan Wine Competition(日本ワインコンクール) 2015」の受賞ワイナリーの表彰式が開催された。また、表彰式の後、受賞した金賞、銀賞、銅賞ワインの公開テイスティングが開催された。
「Japan Wine Competition 2015」は、日本ワインコンクール実行委員会が2015年7月23~24日に山梨で開催した、国内最大級のワインコンクール。100%日本産ブドウを使用した日本ワインの品質と認知度向上を図ることなどを目的に毎年開催され、今年で13回目となる。
出品されたワインは、99のワイナリーから752点。外国人審査員を含む25名の審査員が審査し、393点が一次審査を通過。金賞27点、銀賞99点、銅賞は235点が受賞。各部門の最高点に与えられる部門最高賞が13点。銀賞以上を受賞し、価格が2000円未満で各部門の最高点のワインに与えられるコストパフォーマンス賞は12点が受賞した。
表彰式では、山梨県副知事 新井ゆたか氏から、「回を重ねるごとに出品数が増えているのは、各ワイナリーが品質の高いワインを作りたいという意気込みの表われであり、切磋琢磨するみなさまに改めて敬意を表わします。外国人審査員からは『日本のワインはこの10年間で大きく進歩している。喜びを与えてくれるワインがたくさんある』という評価をいただいています。このような高品質な日本ワインを世界の方々にも飲んでいただくため、受賞ワインを在外公館などでご利用いただくよう外務省を通じ働きかけています。この取り組みにより、のべ2万5000本を超える日本ワインが在外公館の公式行事などで提供され、世界の多くの方々に飲んでいただけました。日本ワインの評価が、国内外でますます高まることを期待しています。今後も品質の向上、イメージアップに取り組んでいただきたいと思います」と挨拶があった。
表彰式では、部門最高賞を受賞したワイナリーには表彰状と副賞のメダルが、金賞を受賞したワイナリーには表彰状が授与された。
金賞受賞ワインは以下の27点。部門(カテゴリー)ごとに紹介していく。各部門の最高得点には部門最高賞が与えられる。部門によっては金賞受賞ワインがないものもあるので、ここに掲載した部門がすべてではない。
「欧州系品種 赤」
部門最高賞「2012ルバイヤートプティヴェルド」丸藤葡萄酒工業(醸造年:2012年、醸造地:山梨県)
樹齢約20年、自社農場収穫の100%プティ・ヴェルドを使用。新樽熟成13カ月。凝縮感のある個性的なワイン。
「サントリージャパンプレミアム 岩垂原メルロ 2012」サントリーワインインターナショナル 登美の丘ワイナリー(醸造年:2012年、醸造地:長野県)
標高700m以上ある岩垂原地区の果実香の豊かな凝縮した味わいのメルローをフレンチオーク樽で熟成後に瓶詰め。複雑で豊かな香りと凝縮感ある味わいが特徴。
「サントリージャパンプレミアム 塩尻メルロ 2011」サントリーワインインターナショナル 塩尻ワイナリー(醸造年:2011年、醸造地:長野県)
甘く干した果実の香り。口当たりは上品で、樽に由来するコーヒーやタバコの香りと果実の香りがバランスする。果実の味わいのなかに自然な甘さも感じられるワイン。
「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー 2011」メルシャン シャトー・メルシャン(醸造年:2011年、醸造地:山梨県)
1976年から植栽されている長野県塩尻市桔梗ヶ原地で垣根栽培のメルローを100%使用。華やかな香りが時間とともに広がり、繊細な味わいのなかに厚みと力強さを感じさせるワイン。
「シャトー・メルシャン メリタージュ・ド・城の平 2012」メルシャン シャトー・メルシャン(醸造年:2012年、醸造地:山梨県)
1984年に自社畑「城の平」で栽培を始めたカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローをバランスよくブレンド。
「シャトーマルス キュベ・プレステージ 穂坂日之城キャトル・ルージュ 2013」本坊酒造 山梨マルスワイナリー(醸造年:2013年、醸造地:山梨県)
カベルネ・ソーヴィニヨン35%、メルロー25%、シラー25%、カベルネ・フラン15%にてブレンド。豊かな果実味、柔らかく複雑な味わい、心地よい余韻を楽しむことができる。
「欧州系品種 白」
部門最高賞「NAC シャルドネ[樽熟]2014」井筒ワイン(醸造年:2014年、醸造地:長野県)
塩尻市内にある自社農園で栽培されたシャルドネを使用。シュール・リー製法で7カ月間オーク樽で貯蔵。しっかりとした酸味が印象の輪郭がくっきりした味わい。
コストパフォーマンス賞「北海道 ケルナー 2013」北海道ワイン(醸造年:2013年、醸造地:北海道)
余市町のほか北海道各地で契約栽培されたケルナーを使用。柑橘系アロマの爽やかさと、軽快かつ適度なボリューム感の辛口に仕上がっている。
「鶴沼 木樽発酵 ヴァイスブルグンダー 2013」北海道ワイン(醸造年:2013年、醸造地:北海道)
自社農園の鶴沼葡萄畑にて収穫したヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)のみ使用。木樽発酵で醸造。爽やかな香りの高さを楽しめる。
「ヴィラデスト ソーヴィニョンブラン 2014」ヴィラデストワイナリー(醸造年:2014年、醸造地:長野県)
2008年から栽培を開始したソーヴィニョンブランを使用。ソーヴィニョンブランの特徴的な香りが華やかで、しっかりとした酸味がある。
「サントリージャパンプレミアム 津軽シャルドネ 2013 」サントリーワインインターナショナル 塩尻ワイナリー (醸造年:2013年、醸造地:山梨県)
ブドウを房ごと圧搾することで、香り豊かなワインに仕上げている。新鮮な酸味と自然な甘さがバランスよく広がる。
「エクセラント かみのやま 佐竹畑収穫シャルドネ2014」サントネージュワイン(醸造年:2014年、醸造地:山梨県)
山形県上山市にある契約農家佐竹氏の単一畑のシャルドネを100%使用。柑橘系や洋なしの香りに樽の香りが調和する。
「国内改良等品種 赤」
部門最高賞「岩の原ワイン ヘリテイジ2013 赤」岩の原葡萄園(醸造年:2013年、醸造地:新潟県)
平均樹齢50年のマスカット・ベリーAと平均樹齢17年のブラック・クイーンをバランスよくブレンド。
コストパフォーマンス賞「TOMOE マスカット・ベリーA 木津田ヴィンヤード 2013」広島三次ワイナリー(醸造年:2013年、醸造地:広島県)
契約農家の木津田農園で遅摘みされたマスカット・ベリーAを使用。約9カ月間樽熟成。ほのかなイチゴの香りに、樽熟成の香りが混じった複雑なアロマのワイン。
「岩の原ワイン マスカット・ベーリーA2013 赤」岩の原葡萄園(醸造年:2013年、醸造地:新潟県)
有機栽培による平均樹齢40年のマスカット・ベリーAを使い、ブドウの自生酵母による発酵をさせている。柔らかな果実香のなかに滑らかなタンニンを感じる。
「甲州 辛口タイプ」
部門最高賞、コストパフォーマンス賞「シャンモリ 甲州シュール・リー 2014」盛田甲州ワイナリー(醸造年:2014年、醸造地:山梨県)
厳選した甲州市産ブドウを使用し、ゆっくりと低温発酵させている。シュール・リー製法のよる厚みと、フレッシュでフルーティな味わい。
「フジクレール 甲州シュール・リー 2014」フジッコワイナリー(醸造年:2014年、醸造地:山梨県)
山梨県内契約農家の甲州ブドウを使用。シュール・リー製法らしい味わいと果実味豊かなワイン。
「フジクレール 甲州シュール・リー東渓 2014」フジッコワイナリー(醸造年:2014年、醸造地:山梨県)
東渓地区の契約農家の甲州ブドウを使用。シュール・リー製法により、骨格のしっかりしたワインに仕上がっている。
「フジクレール 甲州 2014」フジッコワイナリー(醸造年:2014年、醸造地:山梨県)
発酵段階から果実香と花のような香りがしていて、熟成中も華やか。優しく丸みのある味わい。
「"シャンテY,A 甲州樽発酵"」ダイヤモンド酒造 (醸造年:2014年、醸造地:山梨県)
勝沼産甲州ブドウを中樽にて発酵・熟成。樽香を抑えるために樽熟成期間は約5カ月と短めにしている。澱下げ剤やフィルターは使っていない。
「欧州・国内改良品種等ブレンド 赤」
部門最高賞「南陽ワイン・プレミアム」佐藤ぶどう酒(醸造年:2013年、醸造地:山形県)
山形県産のカベルネ・ソーヴィニヨン、マスカット・ベリーAを100%使用。樽熟成は約1年。ミディアムボディの辛口ワイン。
「極甘口」
部門最高賞・コストパフォーマンス賞「グランポレール北海道ケルナー遅摘み」サッポロワイン 岡山ワイナリー(醸造年:2014年、醸造地:岡山県)
北海道余市町の契約栽培畑で時期を遅らせ糖度の高いケルナーを収穫し使用。完熟したブドウの香り、甘みと酸味がバランスよく調和したワイン。
「ロゼ」
部門最高賞「サントリー登美の丘ワイナリー メルロ&カベルネ・ソーヴィニヨン ロゼ 2013」サントリーワインインターナショナル 登美の丘ワイナリー(醸造年:2013年、醸造地:山梨県)
メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンのセニエ果汁を使用し、低温にてじっくりと樽発酵。イチゴやサクランボの香りのような華やかな香り。辛口のロゼ。
「スパークリング」
部門最高賞「ソラリス 信州シャルドネ メトッド・トラディショネル ブリュット 」マンズワイン 小諸ワイナリー(醸造年:2008年、醸造地:長野県)
長野県産シャルドネを100%使用。瓶内二次発酵をおこない、ゆっくりと瓶熟成をして、1本ずつ手作業でデゴルジュマン(澱抜き)をしている。
「マルス 穂坂シャルドネ スパークリング 2008」本坊酒造 山梨マルスワイナリー(醸造年:2008年、醸造地:山梨県)
自社農園「穂坂日之城農場」産シャルドネと穂坂地区で契約栽培されるシャルドネをブレンド。丁寧に樽発酵、樽熟成させている。
「勝沼シャルドネスパークリングNV」シャトレーゼベルフォーレワイナリー 勝沼ワイナリー(醸造年:ノン・ヴィンテージ、醸造地:山梨県)
甲州市勝沼町等々力の自社農場収穫のシャルドネを使用。瓶内二次発酵によりスパークリングワインに仕上げている。
「フジクレール スパークリング甲州」フジッコワイナリー(醸造年:2014年、醸造地:山梨県)
山梨県産甲州ブドウを使用。瓶内二次発酵によりスパークリングワインに仕上げている。はじける爽やかな味わいのワイン。
金賞を受賞したワイナリーより、メルシャン シャトー・メルシャン 工場長 ゼネラル・マネージャー 松尾弘則氏は「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー 2011」について、「ご好評をいただき、おかげさまで今年も金賞を受賞することができました。1976年から桔梗ヶ原でブドウ栽培を継続しておりますが、先輩方の意志を引き継ぎ、安定してよい品質で作り続けていることができているのではないかと思っています。プレステージの高いワインですので、みなさまの記念日などに、ぜひ楽しんでいただければと思っております」とコメントした。
「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー」は、1985年産の初ヴィンテージ誕生以降、高く評価されてきた。昨年のJapan Wine Competition 2014でも、2009年の醸造で金賞、部門最高賞を受賞している。まさに国産赤ワインを代表するブランドだ。「シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原メルロー 2011」の出品時点での実存本数は1350本。2015年9月から販売されるが、人気が予想されるので、なるべく早めに手に入れた方がいいだろう。
公開テイスティング
表彰式終了後から公開テイスティングが行われ、一堂に会した受賞ワインをテイスティングすることができる。受付にて専用のワイングラスを渡され、テイスティングしたいワインをワイナリーのスタッフに注いでもらう。もちろん、ワイナリーやワインに関する質問なども自由にできる。銅賞のワインは、各自自由に注ぐことができる。
事前にチケットを購入することで一般参加も可能。参加料は6000円。チケットは7月4日に販売開始されたが、即日予定数を完売している。来年度参加を考えているなら、チケット発売タイミングを逃さないようにしたい。
Japan Wine Competitionは、国産ブドウ100%で作られた日本唯一のワインコンクールであることが特徴。ワイン醸造地の分類を見ると、北海道から九州まで全国まんべんなく受賞がある。県別では、山梨県が193点の受賞ともっとも多く、次いで長野県の69点、北海道と山形県の32点、新潟県の15点となっている。やや少ないが熊本県、大分県、宮崎県の九州勢も頑張っていて、国産ワインの幅の広さが分かる。
ワインは種類が豊富で、飲み慣れていないとどれから選んでよいのか迷ってしまうかも知れない。そんな時には、このJapan Wine Competitionの結果を参考にしてみよう。とにかく美味しいワインを体験してみたければ部門最高賞、金賞から、手頃で美味しいワインならコストパフォーマンス賞の銘柄から試してみてはいかがだろう。現在の日本ワインの美味しさが楽しめるはずだ。
【お詫びと訂正】記事初出時、「南陽ワイン・プレミアム」の産地に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。