ニュース
EcoFlowのポータブル電源で京都・祇園祭をエコに照らす。後祭の鷹山の曳き初めから宵山まで見てきた
2024年7月22日 20:00
- 2024年7月20日~23日 実施
ポータブル電源で知られるEcoFlow Technology Japanは、京都「祇園祭」の夜を彩る山鉾と駒形提灯に、ポータブル電源を供給する。
この取り組みは2023年から始まり、今回が2年目。電源を供給する山鉾は、前祭(さきまつり)の「油天神山」と後祭(あとまつり)の「鷹山」。そのうち鷹山で20日に行なわれた「曳き初め」から駒形提灯点灯と、21日からの宵山の様子をレポートする。八坂神社の神様がお戻りになる後祭の巡行は24日に行なわれ、それまでの宵山の点灯期間に電源を供給することになる。
鷹山は、応仁の乱以前から巡行していた、鷹匠、樽負、犬飼が御神体の山鉾だが、江戸時代後期に大雨で汚損され加列しなくなっていた。そこから約196年ぶりに2022年から巡行に復帰することができたという、新しく復元された山鉾。復元はまだ完全な形にはなっておらず、最終的には屋根も黒漆塗で破風裏は金という豪華な仕様になるという。
「曳き初め」は、完成して正常に動作できるか確認する本番に向けての予行演習になるが、お囃子も含め本番とまったく変わらず山鉾を引く様子を見ることができる。
鷹山の山鉾と駒形提灯に電源を供給するのは、EcoFlow「DELTA Pro 3」(容量4kWh)と「DELTA 2 Max」(容量2kWh)の2台。ほかに予備の拡張バッテリーの「DELTA 2 Max専用エクストラバッテリー」と「160Wソーラーパネル」も提供され、これらはすべて賛同したEcoFlowがCSR活動の一環として無償で提供している。
このうち「DELTA Pro 3」は6月に発売されたばかりの新モデル。デザインを一新し、大人1人でもカートのように転がして移動することができる。最大で3600WのEVステーションなどでの充電入力に対応、一般家庭のAC100Vの1500W入力では198分で満充電に、150分で80%が充電できるという。
バッテリーは4000回の充電サイクルでも初期容量の80%を維持、1日1回のサイクルだと11年持つとしていて、5年間の保証も付く。出力は最大3600Wに対応し、単相3線式で100V/200Vの接続にも対応する。200V対応で出力の大きい冷蔵庫やエアコン、電動工具などが効率よく稼働ができるだろう。
また、これまでのモデル同様に専用アプリでの管理ができ、出力は50/60Hz切り替え可能な純正弦波となっている。必要があれば、家庭向けの系統電源と接続する工事業者を紹介することも可能とのこと。今屋根に設置されている太陽光パネルから充電したり、自宅で使う電力をまかなったりすることもできる。
今回の駒形提灯への電源供給は「DELTA 2 Max」と「DELTA 2 Max専用エクストラバッテリー」を使って実施された。実際に供給に使われはじめたとき、LED電灯の全体の電気使用量は約450Wと表示されていた。「DELTA 2 Max」単体で7時間、「DELTA 2 Max専用エクストラバッテリー」を合わせると13時間という予想使用可能時間がパネルに表示されていた。提灯の点灯は19時ごろから22時ごろまでなので、余裕の容量となっている。
鷹山保存会の山田純司理事長は、「昨年からの実施でも、途中で途切れるようなことはまったくなかったので安心しています。鷹山は2022年の復帰時からバッテリーを使うことを考えて作られていました。初年度は電気自動車から、2年めからEcoFlowのポータブル電源で供給しています。自動車はスペース的に問題があったので、ポータブル電源では場所をとらずに助かっています。
当初から省電力なLED電球を使っていますが、できる限り旧来のロウソクでともしている提灯の雰囲気を重視して、色合いにも気を配り、こだわった色ですべて統一した電球にしています。京の夏の夜の風情を感じていただければと思います。
温暖化対策は急務ですし、原子力発電のありかたも再考していく必要はあるでしょう。再生エネルギーの利用には積極的に賛同していきたいと思っていましたので、声をかけていただき導入することにまったく異論はありませんでした」と教えてくれた。
これらのポータブル電源のバッテリー充電には、エコな電気が使用されているのもポイント。ソーラーパネルで発電された電力に加えて、京都市内で再生可能エネルギーを電源とするプランを契約しているショップである「パタゴニア京都」「寝具御誂専門店IWATA京都本店」「mumokuteki goods&wears 京都店」「堤淺漆店」「村田堂」「GOOD NATURE STATAION」の6店が協力し、これらのショップで充電することでCO2排出量実質ゼロを実現している。
このプロジェクトを担当する祇園祭ごみゼロ大作戦 再エネ担当 井上和彦氏は、「ポータブル電源は1日1回交換しながら運用しています。使う容量は半分程度で済んでいますので、容量の問題はまったくありません。現時点ではまだ2つの山鉾での実施ですが、これからも賛同してもらうように働きかけていきます。伝統的な祭りでもあり、各保存会は特に電気に詳しいわけではないので、理解していただけるように、根気よく長期的に続けていきたいと考えています」と話す。
実際にEcoFlowへ声をかけたのは、井上氏側からだったそうだ。プロジェクトの目的に合うバッテリーを探していたときに、たまたま見かけたのがネット上にあったEcoFlowのリース契約をしている会社だったそうだが、EcoFlow本社に直接メールをしたところ、無償での協力を提案してくれたというのが、この取り組みの発端とのこと。「EcoFlow Power For All」を掲げるEcoFlowとしても、日本の伝統的な行事を再生可能エネルギーの電源としてサポートし役立ててもらえるというのは、とても重要な意義があると考えているとのことだ。