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レストラン列車「丹後くろまつ号」の春夏コースに乗ってみた。福知山~天橋立を地元グルメとともに優雅に走る1時間40分の旅へ

2024年4月1日~9月30日 実施

福知山駅に1番ホームに入線した丹後くろまつ号

 京都丹後鉄道を運行するWILLER TRAINSは、丹鉄沿線の魅力が堪能できるレストラン列車として人気の「丹後くろまつ号」2024年春夏コースの報道向け試乗会を実施した。

 本運行は4月からで、すでに予約が始まっている。今回のメディア向け試乗会は本運行に先立ち、本番と同じコースで実施された。

 コースは「モーニングコース」「ランチコース」「スイーツコース」の全3コース。モーニングコースは京都丹後鉄道 福知山駅発。ランチコースとスイーツコースは天橋立駅発となっている。

「丹後くろまつ号」モーニングコースで提供するモーニングプレート「山海の朝食プレート」
丹後くろまつ号に乗務するアテンダント。料理の提供や沿線の魅力などアナウンスによるガイドも

丹後くろまつ号 2024年春夏コース(2024年4月1日~9月30日)

モーニングコース

運行日: 金・土・日曜、祝日
ダイヤ: 福知山駅(10時08分)発→天橋立駅(11時48分)着
料金: 6500円~

ランチコース

運行日: 金・土・日、祝日
ダイヤ: 天橋立駅(13時05分)発→西舞鶴駅(14時50分)着
料金: 1万4500円~

スイーツコース

運行日: 金・土・日曜、祝日
ダイヤ: 天橋立駅(16時05分)発→西舞鶴駅(17時24分)着
料金: 5000円~

JR福知山駅と同じ駅舎内にある京都丹後鉄道福知山駅の入口

 今回はこの3つのコースのうち、福知山駅から出発するモーニングコースに試乗した。

 関西圏から出発駅の福知山駅は、大阪からなら「特急こうのとり」で約1時間半、京都からなら「特急はしだて」で約2時間となる。JR福知山駅と京都丹後鉄道 福知山駅は同じ駅舎にあるので、乗り換えはスムーズだ。なお筆者は次の仕事の都合で福知山駅までクルマで移動。福知山駅近隣のコインパーキングに留め置いて丹後くろまつ号に乗車した。

 改札を抜けホームに上がると、すでに1番線には丹後くろまつ号が入線していた。2番線には京都丹後鉄道としては初の新形式KTR300型気動車も入線していた。今回乗車する丹後くろまつ号は、KTR700型気動車(KTR707)をインダストリアルデザイナーの水戸岡鋭治氏が天橋立の松をテーマにデザイン。「海の京都」の走るダイニングルームをコンセプトに改造が施され、2014年5月から運行を開始した特別車両だ。

インダストリアルデザイナーの水戸岡鋭治氏がデザインを手がけた丹後くろまつ号。ベースはKTR700型気動車(KTR707)
福知山駅ホームに並ぶ丹後くろまつ号と2019年から運行を開始したKTR300型気動車

 車内に乗り込むと、ナラの木などの天然木をふんだんに使用した特徴的なインテリアが目を引く。4人掛けのテーブル席を5組、2人掛けのテーブル席を5組設置しており、カウンターやその奥にキッチンも備え、まさにレストラン列車の名に恥じない作りになっている。

くろまつに乗務するアテンダント。奥はくろまつ車内に設置されたカウンター&キッチン

 乗り込んでまもなく、定刻10時08分。気動車独特の唸りを上げゆっくりとホームを離れる。通常なら福知山駅から天橋立駅までは、普通列車で約1時間。特急はしだてで50分ほどの行程だが、この丹後くろまつ号モーニングコースでは、1時間40分の行程となる。

 福知山駅を出発し、車窓を楽しみながら1皿目のモーニングプレートをいただく。モーニングプレートは地元の食材がふんだんに使われた彩りも豊かな6種類の料理に加え、福知山城を築城した明智光秀の家紋が焼印された自家製フォカッチャが添えられる。これらの料理は、兵庫県養父市に本店を構え、福知山市にも店舗を持つパティスリーカフェ「カタシマ」によるもの。どの料理も目覚めの一口にふさわしい優しい味覚だ。

【朝食のプレート】
・ソーセージとひよこ豆の煮込み
・冷製スープ「ガスパチョ」
・スモークポテサラとキャロットラペ、シュールージュ
・地卵とえび&アボカド
・天橋立オイルサーディンとラタトゥイユ
・氷上ヨーグルトのフルーツサラダ
・自家製フォカッチャ(明智家、桔梗の家紋入り)

モーニングコースで提供される「山海の朝食プレート」。地元の食材をたっぷりと使用した一皿
モーニングプレートに添えられる自家製フォカッチャ。明智家 桔梗の家紋が焼印されている

 モーニングプレートを堪能したのもつかの間。出発から14分後、10時22分に大江駅に到着。ここでは約35分間停車する。大江駅は1面2線の島式ホーム。京都丹後鉄道宮福線の中間駅では唯一の有人駅となっており、大江山の鬼退治伝説に登場する鬼に由来した酒呑童子駅という愛称を持つ。駅の売店では鬼饅頭など、鬼に由来した数々の特産品を販売しており、駅前には大江山鬼瓦公園という鬼一色で統一された公園も。もちろん停車中に散策も可能だ。

福知山~宮津間の中間駅で唯一の有人駅「大江」。35分間の停車中は駅周辺の散策も可能
島式ホームには単行列車がよく似合う
福知山行のKTR300型気動車がやってくる。単線なのでここで列車交換も行なう
どこを切り取ってもフォトジェニックな大江駅

 10時57分。35分間の停車の後、再び動き出した丹後くろまつ号は一路、天橋立駅に向かって走り始める。この頃には2皿目のデザートプレートとコーヒーが提供される。

 全国的には京都府南部、宇治の製法に由来する「宇治茶」が有名だが、その宇治茶の優良産地の1つが京都府福知山市。もともと福知山で生産されたほとんどの茶葉は福知山市外に「宇治茶」として流通していたため、あまり知られていなかったという。

 近年は生産から加工までを福知山だけで行なった「福知山茶」も徐々に認知されはじめており、2皿目のデザートプレートはこの福知山茶を全面に押し出したものとなっている。どれもこれもお茶の豊かな香りと風味が引き出されており、思わず顔がほころぶ。

【デザートプレート】
・福知山茶と天滝ゆずのブールドネージュ
・抹茶のテリーヌサブレサンド
・玉露ジュレと白玉あずき

大江駅出発直後に提供される2皿目のデザートプレート。抹茶で福知山城と石垣があしらわれ、すべて福知山茶が使われている
記念乗車証には乗車記念のスタンプが日付入りで押印される
乗客にお土産として提供する天滝ゆずジュレ~赤鬼ほうじ茶~
丹後くろまつ号のオリジナルグッズの車内販売も
提供されるプレート2皿以外にもアルコール類などのドリンクメニューも用意されている
車内販売中のアテンダント

 本運行が始まる4月には、沿線の木々も今以上に鮮やかな緑になるだろう。その頃にはきっと桜の花も車窓に映しだされるかもしれない。そうなるとこれは相当に贅沢な時間が過ごせるだろうな、などと思いを巡らせていると、「丹後くろまつ号」は宮津駅に滑りこんだ。ここで進行方向を変え、宮豊線へ進む。宮津駅から天橋立駅までは約5分。11時47分(本運行時は11時48分着予定)「丹後くろまつ号」は天橋立駅に到着した。

車内に掲示されている京都丹後鉄道の路線図
宮津駅に向けて走行中の丹後くろまつ号の前面展望
天橋立駅に到着した丹後くろまつ号(左)とKTR8000型「たんごリレー号」(右)

 今回試乗したモーニングコースの全行程は、前述のとおり約1時間40分。福知山から天橋立までの通常の移動でも約1時間。もちろん「丹後くろまつ号」に乗ることを目的にするもよし。もし天橋立方面への旅行を考えているのなら、すこしだけ贅沢をして、すこしだけ時間を使って「丹後くろまつ号」に乗車してみてはいかがだろうか。単純な移動がとても贅沢な時間に様変わりすることは間違いない。