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沖縄のレンタカー不足に新たな一手。出光、24時間無人貸出の「カースタレンタカー by idemitsu」那覇に初導入拠点

2024年3月1日 開始

出光興産がレンタカーサービス「カースタレンタカー by idemitsu」を開始する

 出光興産は2月28日、レンタカーサービス「カースタレンタカー by idemitsu」の概要説明を沖縄県那覇で実施した。

 カースタレンタカー by idemitsuは、「カースタレンタカー」を運営するエネクスライフサービスとの協業で展開するもので、全国のapollostationおよびapolloONEでの事業展開を予定している(2024年度中に50か所見込み)。その第1の拠点として、沖縄出光の直営サービスステーション「apollostation セルフ一日橋SS」(沖縄県那覇市上間274-1)で3月1日9時から車両の貸出を開始する。

 カースタレンタカー by idemitsuは、店舗によって無人貸出「楽のりスマート」または有人による貸し渡しを選択できるが、全国初導入店舗のセルフ一日橋SSの取り扱いは24時間営業の無人貸出だ。

 沖縄では、2023年の入域観光客数が800万人を超えるなどコロナ後の急速な回復と人手不足などが重なり、特に繁忙期はレンタカーの供給が追い付かなくなっている。空港から那覇の繁華街などを通るモノレール(ゆいレール)は、2019年に首里駅~てだこ浦西駅の約4kmを延伸したものの、宜野湾や北谷より北の本島中部~北部エリアへのアクセスはバスやタクシー、レンタカーに頼る実情があり、実際多くの観光客が公共交通機関ではなくレンタカーを移動手段に選択しているという。

 さらに、コロナ禍にレンタカー各社が保有台数を減らしたうえ、貸し渡し手続きや洗車などメンテナンスに対応する人員の不足も背景にある。カースタレンタカー by idemitsuは、手続きを無人化することで24時間貸出を実現し、サービスステーションを拠点にすることで、洗車やメンテナンスも一挙に行なえるというメリットを併せ持ったサービスといえる。

 一方で、需給に応じて最安で2割引、最高で2倍に料金が変動するダイナミックプライシング制を導入することで(セルフ一日橋SSの場合)、閑散期などは利用しやすい料金で提供できるとする。

 カースタレンタカーの基本料金は、軽自動車クラスが6時間2000円、コンパクトカークラスが同2500円、ミニバンクラスが同6500円など。セルフ一日橋SSの貸出車両は現在3台で、軽自動車クラスのN-BOX、コンパクトカークラスのソリオ、ミニバンクラスのフリードというラインアップ。この基本料金が需給に応じて変動するほか、楽のりスマートでは1km走行ごとに16円を距離料金として加算する。

 利用するうえで気になるのは、セルフ一日橋SSの「空港からクルマで20~30分」という距離感だが、空港でレンタカーを借りる場合でも実際にはシャトルバスなどで各社の拠点まで移動して手続きを行なうので、混雑していると20~30分はすぐに超えてしまう。それならタクシーでさっさと移動して無人貸出で乗り出した方が早い、というケースもあるだろう。また、セルフ一日橋SSでは、タクシー料金の一部をレンタカー利用料金から割り引くサービスも行なう。空港からのタクシー料金で平均2100円で、割引上限は1000円。

 サービス概要を説明したセルフ一日橋SSの運営を行なう沖縄出光 代表取締役社長の田中克拓氏は、沖縄は車社会という認識は変わらないものの、県内在住者の自家用車保有の考え方も変わってきているという背景を示し、「省人化でクルマを貸し出しできるビジネス」が観光客だけでなく地域のインフラにも寄与するという未来像を提示した。

 また、出光興産 販売部YOROZU推進課長の松冨陽一氏は、「SSの強みは立地、スペース、スタッフ、利用者との接点」にあると指摘する。特に一般的なレンタカー店は朝8時に営業開始という店舗が多く、早朝から移動したいというニーズをくみ取りきれない状況もある。今後、沖縄出光の直営サービスステーション(県内11か所)に事業を広げていくなかで、無人・24時間営業の強みが活きてくるシーンは少なくないはず。

 出光とシェルのサービスステーションは、2023年末までにすべてが「apollostation」へ切り換わっており、同社が中期経営計画に掲げる「スマートよろずや構想」では、給油機能を中心とした単なるガソリンスタンドに留まらず、地域の問題を解決する生活支援基地への変革を進めている。今回のサービス開始は沖縄特有のレンタカー不足の解消だけでなく、利用者目線ではカーケアのプロであるサービスステーションスタッフがメンテナンスに当たることで安心感や、こまめな洗車・清掃が行なわれるという利点もあるといえるだろう。

apollostation セルフ一日橋SS
カースタレンタカーの看板が目印
セルフ一日橋SSの貸出車両は、コンパクトカークラスのソリオ、ミニバンクラスのフリードと、写真にない軽自動車クラスのN-BOX
アプリではなく、Webサイトからサービスを利用する。解錠施錠はもちろん、クルマの居場所が分からないときはクラクションを鳴らしたりハザードを付けたりできる
グローブボックスに通信回線と接続した鍵が取り付けられている。スマホでの解錠後は、このキーを持ち歩く
沖縄出光株式会社 代表取締役社長 田中克拓氏(左)、出光興産株式会社 販売部YOROZU推進課長 松冨陽一氏(右)

【お詫びと訂正】初出時、田中氏と松冨氏の写真表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。