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IHGの日本初進出ブランド「voco大阪セントラル」を体験してきた。現代的な設備とモダンインテリア
2023年6月7日 08:00
- 2023年5月30日 開業
IHGホテルズ&リゾーツは、「voco大阪セントラル」を5月30日に開業した。
Osaka Metro 肥後橋/本町/淀屋橋の各駅から徒歩3~5分に位置し、全191室の客室とレストラン、カフェ&バー、フィットネスルーム、ミーティングルームを完備する。ホテルとしてのサービスを充実させながら、まるで慣れ親しんだ場所のような居心地のよい空間を実現している。
voco大阪セントラル
開業日: 2023年5月30日
所在地: 大阪府大阪市西区京町堀1-7-1
アクセス: Osaka Metro 四ツ橋線 肥後橋駅から徒歩3分、本町駅から徒歩5分、御堂筋線 淀屋橋駅から徒歩5分
客室数: 191室
[スタンダードルーム キングベッド]13室(26m2)
[スタンダードルーム クイーンベッド]11室(21m2)
[プレミアムルーム ツインベッド ソファベッドつき]90室(30m2)
[プレミアムルーム キングベッド]11室(30m2)
[プレミアムルーム キングベッド ソファベッドつき]22室(30m2)
[プレミアムルーム キングベッド アクセシブル]2室(30m2)
【グランドルーム キングベッド]11室(36m2)
[グランドルーム キングベッド ソファベッドつき]4室(40m2)
[グランドルーム ツインベッド ソファベッドつき]15室(37m2)
[グランドルーム ツインベッド ソファベッドつき テラスアクセス]1室(37m2)
[グランドルーム キングベッド 畳コーナー]11室(36m2)
「voco」は、2018年のブランド誕生以来、世界各地に46軒展開しているプレミアムホテルブランド。今回、日本初進出となる「voco大阪セントラル」を、旧京町ビルの跡地にオープンした。
vocoという名称は、ラテン語で「招待する」「呼び集める」を意味する。「ようこその気持ちを Come on in」「自分らしく過ごす時間 Me time」「その時にふさわしい1皿を voco life」という、3つのコンセプトをもとにした体験の提供を目指すという。
スイートを設けない、必要なものを選べる客室
客室タイプとしては、畳コーナーを有する客室や、唯一のテラスを備える客室など、11種類のタイプを用意している。いずれも白とシックなグレーを基調に、ブルーやイエローのアクセントが効いたモダンな空間だ。この黄色は「vocoイエロー」と呼ばれ、「vocoパレット」からスタッフによって選ばれたものだという。
サステナブルに配慮したさまざまな取り組みを導入しており、ペットボトルを使わない濾過水の提供や、節水タイプのエアレッドヘッドシャワーを採用するほか、ルームキーとアメニティのクシ・歯ブラシは竹製になっている。アメニティとしてあらかじめ客室に用意しているのはクシと歯ブラシのみで、そのほかはフロントで受け取るという、自分に必要なものを選べる仕組み。バスルームのシャンプーやボディソープも、生態系への影響を考慮して開発された植物由来の「アンティポーズ」だ。これらのほかにも、Low-eガラスやエネルギー消費を可視化するBEMSなどを取り入れている。
古木を用いた空間や館内を彩るアートワーク
大阪・京町堀は、かつて京都・伏見から人々が移り住んで発展した街。voco大阪セントラルは、1926年の竣工以来、京町堀を象徴する歴史的建造物として親しまれてきた旧京町ビルの跡地に建設された。
近代的でスタイリッシュな外観とは裏腹に、1歩足を踏み入れれば、古材が用いられた温かみのある空間が広がる。ロビー、レストラン、バーを擁する吹き抜けのスペースには、実際の家屋から回収した古材を再生・活用した木組みの構造体が鎮座している。
館内には、街の歴史をテーマにしたオリジナルアート作品も展示した。開放的な吹き抜けのレストランの壁面を飾る「綿雲が浮かぶ街の記憶」は、大阪の街並みの写真をコラージュすることで旧京町ビルの外観を表現。バーエリアの壁面アート「drawing p-p-f/f-k」は、水の流れをモチーフにデザインしている。
このほかにも、旧京町ビルの鋼製扉を再利用したオブジェや、旧京町ビルのバルブを再利用したアートワーク、旧京町ビルのレリーフを再利用した天井のモチーフなどが、随所に施されている。また、京都と大阪をつないだ水の都として、エレベーターの天井は水面がゆらめいているかのようなデザインとしている。
6階の「プレミアムルーム ツインベッド ソファベッドつき」を体験してみた
6階の「プレミアムルーム ツインベッド ソファベッドつき」を体験した。フロントでスムースにチェックインを済ませる。エレベーター内のパネルにカードキーをタッチすると、宿泊する客室がある階が自動で選択されるため、セキュリティも万全だ。
ベッドルームは、奥に落ち着いたグリーンのソファベッドが設置されていることも相まって、自宅に帰ってきたかのような感覚を覚える空間だった。収納も扉のあるクローゼットなどではなく、開放的な造りのラックが採用されており、面積から想像する以上の広さを感じられる。ベッド2台とソファベッドがあるため、仲間3人で同じ部屋に宿泊しても、十分に自分のスペースを確保しつつ宿泊を満喫できそうだ。
ベッド横にはコンセントとUSBポートがある。また、窓際の丸テーブルの脇の壁にACコンセントとUSB Type-C充電ポートが埋め込まれているため、スマホやPC、タブレットなどを一度に充電することができる。今回、筆者はうっかりACアダプタを持参し忘れてしまったのだが、Type-AやType-Cを直接挿すことでことなきを得た。
冷蔵庫には、「me time」を体験できるスイーツが今回特別に用意されていた。フラミンゴが湖を漂っている様子のケーキで、プレート一面に水色のゼリーが敷かれている。客室には、コーヒーカプセルをセットすることで簡単にエスプレッソを抽出できる「ネスプレッソ」が設置されていて、これだけで十分ティータイムを楽しむことができた。これらに加え、大阪名物の「岩おこし」やティーバッグがもてなしてくれる。
バスルームは、洗面台とトイレを有するスペースと、お風呂場に分かれている。お風呂はバスタブの外でシャワーを浴びられるタイプで、バスタブにお湯を張ってのんびり浸かれるようになっている。
あらかじめ置かれているアメニティは竹製の歯ブラシとクシのみだが、ほかにも必要なものがあれば、フロントで受け取ることができる。ヘアドライヤーやパジャマなど、基本的に必要なものは揃っているため、特に不便を感じることなくエコに貢献できるのはうれしいポイントだ。
今回は、voco大阪セントラルで最も数が多い「プレミアムルーム ツインベッド ソファベッドつき」を体験したが、ほかにも畳コーナーを有する客室やテラスを有する客室がある。スイートルームとして提供されている特定の客室がなく、特別な空間で旅の疲れを癒したり、リモートワークに取り組んだりと、使い方によって好みの客室タイプを選べるという点でも、自分にとって必要なものを選択できるホテルといえそうだ。
オープニングセレモニーではテープカットの代わりに“風呂敷”の結び目を解く
5月30日には、オープニングセレモニーが執り行われた。式典には、IHGホテルズ&リゾーツ シニアバイスプレジデント マネージングディレクター 日本・オーストラレーシア&パシフィックのリアン・ハーウッド氏、同 日本&マイクロネシア マネージングディレクター アビジェイ・サンディリア氏、ホテル経営を担当するUDホスピタリティマネジメント 代表取締役社長の佐山義幸氏、voco大阪セントラル 総支配人の宍倉大地氏、NTT都市開発 代表取締役社長の辻上広志氏、錢高組 代表取締役会長の錢高一善氏、大阪観光局 理事長の溝畑宏氏が参加した。
セレモニーでは、テープカットの代わりに、伝統技法「ウコン染め」の風呂敷の結び目を参加者が一斉に解く演出を実施。サステナブルに配慮する同ホテルの姿勢が表現されていた。
開業に際し、宍倉支配人は、「外で見ただけではわからない、来た方だけがわかる、大阪らしいスタッフがお出迎えする。ぜひ体験いただいてフィードバックをいただくことで、よりよいホテルに改善していきたい」と挨拶した。
UDホスピタリティマネジメントの佐山社長によれば、観光コンテンツが溢れる大阪という立地を活かしながら、観光の拠点となるようなホテルを目指していきたいという。また、同じ大阪市西区に緑豊かな靱公園が位置していることに触れ、「非常に緑が多くて、子育て環境にも非常にいいということで、ファミリー層やビジネス層などかなり人口が増えている。地域の皆様ともきちっと一緒に連携して、地域のランドマークとなるような位置づけのホテルにしていきたい」とコメントした。
今後は2025年の大阪万博、IR誘致などが、関西経済に大きな影響をもたらすことが予想される。また、周辺の淀屋橋・北浜エリアはオフィス街ながらレトロな建築物が並んでおり、ホテルからふらっとお散歩する環境としても最適だ。梅田駅周辺にも、タクシーで5分程度でアクセスできる。アクティブな観光やビジネスでの利便性と、滞在中のリラックスタイムが共存するホテルになりそうだ。