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日本旅行業協会 髙橋会長「市場が正常化するまで支援を止めないことが重要。全国旅行支援が延期なら大変遺憾」と表明

2022年7月7日 実施

JATAが記者懇談会を実施した

 JATA(日本旅行業協会)は7月7日、「旅行業『再生』に向けて」と題した記者向けの会合を実施した。会長の髙橋広行氏をはじめ、国内旅行・海外旅行・訪日旅行の各担当役員による市場概況や取り組みについて説明を行なった。

 特に同日発表した海外旅行の需要喚起策「JATA海外旅行再開プロジェクト」では、内部組織のJOTC(アウトバウンド促進協議会)を中心に、旅行会社・空港会社・航空会社・各国観光局・大使館が一体となって街頭サンプリングの実施やポスターなどの掲出、SNSを通じた旅行・航空券の当たるキャンペーンを7月15日から展開する。

 公式Twitterアカウント(@jataoutbound)をフォローして、「行きたい旅行先」をハッシュタグにして投稿することで、海外旅行や国際線航空券、現地ホテル・オプショナルツアー・クルーズ、航空会社ノベルティグッズ、観光局・大使館・観光関連団体グッズなどが当たるというもので、57団体が協賛しており、賞品点数は約300点。応募期間は7月15日~29日で、詳細は15日オープンのWebサイトで周知する。

 会見で会長の髙橋広行氏は、IATA(国際航空運送協会)による国際的な人流の回復想定では2024年にはコロナ前の2019年を上回るとされていることを挙げつつ、アジアは中国を中心に回復が遅れ、コロナ以前の水準に戻るのは2025年以降という見通しを説明した。実際、主要旅行会社の受注動向は2022年4~9月で「以前の3~4割程度が現実」だとして、引き続き業界は厳しい状況に直面しているという。

 そのうえで、髙橋氏が「本日最も重要な点」として強調したのは、観光業は政府の成長戦略の1柱であると同時に、業界は専門性の高い中小企業が多くの観光インフラを支えている現状があり、「マーケットが正常化するまで支援を止めないことを国へ強く訴えていきたい」と述べた。また、G7各国と比べて日本の観光目的の入国の条件の厳しさを挙げて、インバウンドや日本人の帰国については、1日2万人の入国者数上限の撤廃、出発前PCR検査の廃止、査証(ビザ)免除措置の再開を改めて訴えていきたいとした。

 さらに、ここ最近の感染者の増加を受けて、全国旅行支援の開始時期が見えない情勢については、「旅行業界への支援ではなく、あくまで地域経済を復活させるための切り札。これが実施されないとなれば大変残念。これまで感染拡大防止のためにさまざまなツアーの実証実験などを行なってきており、結果、感染はゼロだった。このゴールデンウィーク後の状況を見ても、大きな感染にはつながっていない。そうしたなかで全国旅行支援を延期されると、『旅行そのものが感染拡大に直結している』という印象を与えかねないため、大変遺憾。実施されれば間違いなく地域の活性化につながる」と強い口調で訴えた。

定時総会会場での髙橋会長による「旅行業再生戦略会議からの提言」