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スイス・グリンデルワルト、アイガー氷河を結ぶ約120年ぶり新ロープウェイ開通。観光局長来日で広い客層にアピール
2022年6月1日 00:00
- 2022年5月25日 実施
スイスのグリンデルワルト観光局は、会長や局長などの来日に伴い、東京・有明にあるミニチュアテーマパーク「Small Worlds Tokyo」でメディア向けのイベントを開催した。
イベントでは、登壇したグリンデルワルト観光局 局長のブルーノ・ハウスウィルト氏が、グリンデルワルトについてセミナーを実施した。スイスの中央部に位置するグリンデルワルトは登山発祥の地の1つとして知られており、アルプスの名峰アイガーの「アイガー北壁」などが有名。1969年には日本の登山隊が、頂上まで最もまっすぐ伸びる新ルートを開拓している。
ハウスウィルト局長はメディアの取材に応え、2021年度冬期(11月~2022年4月中旬)のホテル宿泊数が過去最高の27万泊を記録したことを説明。通常、ホテル宿泊数はスイス人が3割で、ヨーロッパと北米、アジアからの観光客がそれぞれ3割程度を占めているが、2020年はほぼスイス人による利用だったという。そんななか、2021年にはヨーロッパを中心に外国人のホテル宿泊数が4割まで回復。今後については、「夏はアメリカから訪れる人の宿泊予約も入ってきており、ウクライナ情勢の影響もあったが徐々に回復しつつある」と話した。
アジアについては「韓国から問い合わせが増加している」とコメント。また、「スイス人と日本人は自然を尊重し、安全・高品質・快適性を重視する考え方などに共通点が多い」としたうえで、「日本人は70年代からグリンデルワルトに多く来ていただいており、長きにわたり継続してきた重要市場」と強調。「日本側の出入国規制が緩和すれば回復すると期待している」と語った。
今後は日本市場に対し、自然や文化、スポーツ、ウェルネスなど多様な観光テーマに応えうる素材が1年を通して楽しめることを訴求。特定の市場にターゲットを絞らず、幅広い客層にグリンデルワルトをアピールしていく考えだ。
インフラについては、新しい宿泊施設などが増えたことに加え、2020年12月にはグリンデルワルト・グルント駅~アイガーグレッチャー(アイガー氷河)駅を、わずか15分で結ぶ新しいロープウェイの路線「アイガー・エクスプレス」が開業した。ユングフラウ鉄道の開通から約120年ぶりの新路線となる。2019年2月にリニューアルしたグリンデルワルト・グルント駅~メンリッヒェン駅を結ぶロープウェイと合わせるとV字の形になることから、合わせて「Vバーン プロジェクト」と呼ばれている。
新しく開通した新路線には、全26席と44のゴンドラ、VIPキャビンが備わり、毎時最大2200人が利用できるようになった。ハウスウィルト局長は「輸送力が大幅に向上したことから、待合で密になる機会が減るのでは」と期待を示した。夏だけでなく、冬のスキーヤーへのメリットも高まるという。
このほか、グリンデルワルトは世界自然遺産「ユングフラウヨッホ」や展望台などを含む複合施設「トップ・オブ・ヨーロッパ」へのアクセスもよいことを説明。さらにグリンデルワルトが、映画「ファンタスティック・ビースト」「007」シリーズをはじめとした映画のロケ地になったことも紹介した。
また、グリンデルワルト観光局 部長でソーシャルメディア担当のシモーネ・ティルマン氏は、SNSの活用について紹介。公式FacebookやInstagram、Twitterなどを利用して情報発信していることに触れた。
Facebookでは約13万6000のフォロワーを有しており、リアルタイムで美しい山の風景を見せるライブ動画などを投稿して人気を博している。また、Instagramでは約13万4000のフォロワーに対し、現地のインスタ映えするスポットを紹介している。今後は、1年前にアカウント開設したTikTokやYouTubeでの情報発信にも注力していくと述べた。これら公式SNSでは、観光局に対する質問にも応じていくという。
イベントの最後には、「Small Worlds Tokyo」館長の竹村真紀子氏も登壇し、先週スイスを訪れた際の経験を語った。現在スイスは入国制限がなく、日本に帰国するためにPCR検査を受ける必要はあるが、現地でワクチン接種証明書を提示する必要はなく、マスクの着用義務も撤廃されていることを説明。「もう少し先ではなく、すぐに行けるのがスイス」とアピールした。