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トラックを走って表彰台に立ってテレビカメラに手書きサイン! 東京2020大会の熱気がよみがえる「国立競技場スタジアムツアー」を見てきた

2022年4月1日 開始

4月1日よりスタジアムツアーが開催される国立競技場

 日本スポーツ振興センター(JSC)は4月1日、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとして使用された国立競技場(東京都新宿区)で「国立競技場スタジアムツアー」を開始した。

 このツアーではトラックを走ったり、実際に使用した表彰台に登壇したりと、東京2020大会の出場選手と同じ目線でスタジアムを体験できる。聖火リレーで使われたトーチや写真パネルの展示、通常選手以外は入ることができないロッカールームの見学など、東京2020大会当時の熱気を肌で感じることができるのも魅力の一つ。ツアーのコース上いたるところに選手の気分になって記念写真を撮影できるフォトスポットエリアが用意されているのも大きな特徴だ。

展望エリア

4階の展望エリアから見下ろすスタジアム全景

 4階の展望エリアから見下ろすスタジアム全景は、テレビや雑誌などで目にする機会も多い風景だが、実際に眺めて見るとやはり気持ちがよい。よく整備された芝も美しく、緑豊かな周辺環境と調和する色違いのアースカラーのシートをモザイク状に配置した観客席は、無観客でも閑散とした感じがあまりしないことを実感できる。

トラック&フィールド

東京2020大会で世界から集まったアスリートたちが最高のパフォーマンスを披露したトラック&フィールド

 ツアー参加者はオリンピックのシンボルマーク、パラリンピックのシンボルマークが描かれたトラックで記念写真を撮影したり、アスリートと同じように走ったりできる。また、テレビ中継などで見かける勝者がカメラの前のアクリルボードにサインを書く、ビクトリーサイン体験も用意している。こちらは、自分自身が映ったテレビ番組同様の動画を無料でダウンロードできるサービスもあって楽しい。

 そのほか、会場のいたるところにスマートフォン用の撮影台が設置されているので、こちらでの撮影も気軽にできる。これは感染対策上の措置でもあるので、記念写真は会場のスタッフに頼まず撮影台を利用するようにしたい。

オリンピックの五輪マーク
パラリンピックのシンボルマーク「スリー・アギトス」
オリンピアンが活躍したトラックを同じように(?)走ることができる
スターティングブロックやハードルも実際の器具で体験できる
ビクトリーサイン体験
競技エリアから眺める客席。上下方向になだらかなグラデーションを描いたアースカラーのモザイクが特徴的だ
会場のいたるところにスマートフォン用の撮影台が用意されているのでベストポイントからの記念写真も容易だ

めったに入ることのできない選手ロッカールーム

選手ロッカールーム

 選手や関係者以外は入ることはおろか、外から見ることすらできないロッカールーム。チームの一体感がより高まるという楕円形の空間は木の質感が感じられるような仕上げとなっており、選手はここから競技に臨み、そして競技を終えここに戻るというスタート地点でもありゴールでもある場所。

フラッシュインタビューゾーン

フラッシュインタビューゾーン(ANDONホール)

 競技を終えた選手や監督がインタービューを受けるために用意されたスペースがフラッシュインタビューゾーンで、壁面の文字は書道家 青柳美扇氏によるもの。

 スタジアムツアーの際にはこのスペースに東京2020大会の写真パネル、表彰台、聖火リレーで使用されたトーチを展示している。桜の花びらをモチーフにしたデザインのトーチはアルミ押し出し成形を用いたもので、その美しいディテールも間近に感じられる。天井に目を移すとこの競技場の設計を担当した建築家 隈研吾氏による行燈をイメージした照明が設置されているので、ANDONホールとも呼ばれているとのことだ。

壁面の文字は書道家 青柳美扇氏によるもの
施設の解説パネルやムービーも充実している
聖火リレーのトーチ
フォトスポット(東京2020大会フラッシュインタビューパネル)
フォトスポット(スタジアムツアーオリジナルフォトパネル)
隈研吾氏デザインの照明
フラッシュインタビューゾーンから臨むトラック&フィールド

表彰台

オリンピック表彰台(フラッシュインタビューゾーンに設置)

 メダリストだけの特別な場所、表彰台はオリンピック用、パラリンピック用それぞれを用意している。大会エンブレムを手がけた野老朝雄氏によるデザインの表彰台は再生プラスチックを使用したもので、実際に登壇でき、写真も撮影できる。なお、パラリンピックの表彰台はその性格上立ち位置に段差はなく、車椅子などでも容易に登壇できるようになっている。

パラリンピック表彰台(トラック&フィールドに設置)
再生プラスチックを使用したオリンピック表彰台のディテール

サインウォール

サインウォール

 選手たちが乗った大型バスなどが到着するスペースの一角には、この競技場で競技を行なった選手たち延べ300ものサインが残されている。東京2020大会のために日本を訪れた海外選手や日本選手のメッセージ一つ一つを眺めるのも楽しく、また感慨深くもある。

アスリートたちのメッセージ
サインの数は延べ300

 以上「国立競技場スタジアムツアー」で体験できる主だったものを紹介したが、国立競技場自体も鉄骨と国産木材の組み合わせによる大屋根の構造や、効率よくピッチ面に自然光を取り込むトップライトなど建築物としての見どころも多く、スタジアム5階の屋上空間「空の杜」では、東京の風景を楽しみながら1周約850mもの散策が楽しめるのも魅力だ。

 そのほか、外構には東京2020大会の聖火台、1964年東京オリンピック大会時に聖火が灯された炬火台、壁画「野見宿禰像」や「ギリシャの女神像」など歴史的な見どころも多く、ツアー以外にもいろいろと楽しめる。

鉄骨と国産木材の組み合わせによる大屋根の構造
ピッチ面に自然光を取り込むトップライト
東京の風景を楽めるスタジアム5階の「空の杜」
アースカラーのモザイクが美しい観客席
車椅子使用者と同伴者が一緒に楽しめる観客席
選手用ベンチはレカロ製
1964年東京オリンピック大会時に聖火が灯された炬火台(G:青山門そば)
壁画「野見宿禰像」(1964年)
壁画「ギリシャの女神像」(1964年)

「国立競技場スタジアムツアー」の開催は、4月~9月は11時~18時、10月~3月は11時~16時30分となっているが、イベント開催時などは実施されないので、見学については「国立競技場スタジアムツアー」のWebサイトで確認が必要だ。

 空きがあればチケットカウンターで当日券も用意するがWebサイトでの事前予約ができるので、そちらを利用した方が確実だろう。基本的にガイドはつかず順路に沿って自由に見学するスタイルなので、思い思いの場所で自分のペースで楽めるツアーだ。

チケットセンターは国立競技場と描かれたモニュメントと外苑門(E)を目安に行けばすぐに見つかる