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国内航空会社最後のSAAB 340Bが鹿児島へ。丘珠空港フライオーバーで最後の別れ!

2021年12月29日 実施

HACが保有する最後のSAAB 340B-WT型機

 HAC(北海道エアシステム)は12月29日、退役したSAAB 340B-WT型機の2号機(登録記号:JA02HC)を函館空港経由で鹿児島空港へとフェリーフライトした。

 SAAB 340B型機 2号機は、11月8日にATR 42-600型機への機材更新ののち、12月26日に定期便ラストフライトを迎えた。1号機、3号機はすでに退役済みで、2号機がHACが保有する最後のSAAB 340B型機であり、国内の航空会社のSAAB 340B型機としても最後の1機。この2号機は、1995年5月の路線投入以来23年間、HACの路線を支えてきた。

 2号機は8時過ぎに格納庫から出され、朝日を浴びながら3番スポットへトーイングされた。丘珠空港南側にある緑地公園から機体を撮影していて気付いたが、機体左側の機首からドア周辺にかけて、なにやら書いてあるのが見えた。

 エプロンで機体に近づいてみると、スタッフや関係者による寄せ書きのようだ。12月26日の定期便ラストとなった函館~丘珠のフライトを終え、格納庫に入った機体を清掃したのち、寄せ書きをみんなで書こう!と決まったそうだ。

 格納庫に入っていた2日間で2号機への感謝のコメントやイラストなどでいっぱいになったという。

ハンガーからトーイングカーでプッシュバックされ姿を現わしたSAAB 340B 2号機
2号機は丘珠空港ターミナルビルから見て右側の3番スポットへとトーイングされた

 2号機(HC4250便)は機長の機体チェックの後、SAAB 340Bのさまざまな写真とともに「きみたちをわすれない」と書かれた横断幕と、「ありがとう」の文字とともにSAAB 340Bに対する思いがたくさん書かれた横断幕計2枚を持つスタッフに見守られながらエンジンスタート。

 9時39分にブロックアウト、路面にまだ雪の残るNo.1誘導路をタキシングし、9時43分にランウェイ14から離陸した。いつもの定期便よりも低い高度で約270°レフトターンののちランディングライトを点滅させながら丘珠空港へ近づき、滑走路に対して直角に通過(クロスオーバー・ザ・フィールド)して丘珠空港ターミナルビル直上をフライオーバー。函館空港へと飛び去っていった。

 思わぬ別れのあいさつにスタッフは勿論、フェンス沿いに詰めかけたファンたちからも歓声が上がった。このあと2号機は函館空港に10時20分に到着、HC4251便として10時57分に出発、目的地の鹿児島空港に14時43分に無事到着した。

屋上からの2号機。いつもの風景のように見えるが今後見ることができない風景となる
定期便ラストフライトの26日は悪天候となってしまったが、フェリーフライトでは雲のない青空となってくれた
びっしりと書かれたSAAB 340Bに対する感謝のメッセージ
今回のフェリーフライトを務める黒田覚機長と原沢純副操縦士
機長による機体チェック
2種類の横断幕で見送るスタッフたち
丘珠空港での最後の記念撮影
エンジンスタート
手を振るスタッフ達に見送られテイクオフ
いつもより低い高度で270°レフトターン
ランディングライトを点滅させながら……
別れのあいさつは低めの高度でのクロスオーバー・ザ・フィールドで丘珠空港ターミナルビルをフライオーバー!