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ZIPAIR、シンガポール線を就航。ワクチン接種率の高さに「早期の入国制限緩和を期待」と西田社長
2021年9月8日 11:30
- 2021年9月7日 就航
JAL(日本航空)が100%出資するLCCのZIPAIR(ZIPAIR Tokyo)は9月7日、成田~シンガポール線を就航した。成田国際空港の第1ターミナルビル北ウイング 24番出発スポットから、1名の利用者とともに16.9トンの貨物を乗せ、13時49分にブロックアウト、14時02分に離陸した。
ZIPAIRはこれまでにタイ・バンコク線、韓国・仁川(ソウル)線、ハワイ・ホノルル線を就航しており、今回が4路線目になる。9月7日から10月26日まで、毎週火曜週1往復での運航を予定している。
当面は貨物中心だが、制限緩和に向け旅客利用の準備は万全の体制
ZIPAIRは前述のとおりJALが100%出資するLCC。当初2020年5月14日に初就航予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年6月3日に貨物専用便としてバンコク線に就航。同年9月に貨物専用便でソウル線に就航し、10月には旅客便としての運航を開始。10月にバンコク発東京行きのみ旅客便運航を始め、2021年1月に東京発の旅客便運航をスタート。2020年12月19日にホノルル線が就航し、今回のシンガポール線に至っている。
全路線でボーイング 787-8型機を導入し、機内はフルフラットシートのプレミアムシートを採用。サービスのクオリティとコストバリューの両立を軸に、コロナ禍での新たな渡航スタイルの確立に向けて進化し続けている。
4路線目の就航となった今回の成田~シンガポール線。初便のZG53便は、成田空港の第1ターミナルビル北ウイング 24番出発スポットを利用。使用機材はボーイング 787-8型機(JA825A)、提供座席数は290席。
運賃は18席のフルフラットシート「ZIP Full-Flat Value」(5万円~39万7000円)、272席の普通席「Standard Value」(1万5000円~29万5000円)、6歳以下が対象の「U6 Standard Value」が一律5000円。利用者数は1名。パイロット2名、CA(客室乗務員)7名が同乗した。
また、乗客とともに同便には半導体関連製品や医薬品、化粧品など16.9トンの貨物を搭載。ほぼ満載となっており、復路ではプロテインやPCパーツなどを15.2トンを載せて戻って来る予定だ。
同社は、7月21日に約半年ぶりとなる成田~ホノルル線の運航を再開、10月1日からホノルル線の増便も決定し、動きが活発化してきている。
シンガポール線の初便でも他路線同様に、機内食のオーダーやキャッシュレス決済などコンタクトレスの機内サービスを行なっている。搭乗時には「ZIPAIRケアキット(マスク・除菌シート)」を配布、機内には抗ウイルス・抗菌コーティングも施している。
就航式典などは行なわなかったが、同社社員により初便の見送りをランプエリアにて実施。出発スポットに集合した社員らは「行ってらっしゃい! Have a nice flight!」と大きくメッセージが書かれた横断幕を広げ、機内の乗客にメッセージとともに笑顔で見送った。なお、初便利用客には搭乗証明書を配布した。
入国制限が続くシンガポールへの就航
現在シンガポールでは、新型コロナウイルスの影響により入国制限が継続中。日本からの短期渡航者の入国は原則禁止、長期滞在パスを所持する場合のみ入国が可能だ。
制限が続くなかでの新規就航に関して、ZIPAIR Tokyo 代表取締役社長の西田真吾氏は「世界のどこでいつ入国制限が緩和されるのかの予想が非常に難しいなか、多くのエアライン同様に路線を増やしておき、緩和された国から資源を投入していきたいと考えています。4地点目のシンガポール線はその可能性を広げる意味があります。アジアのなかでも同国はワクチン接種率も高く、規制が早期に緩和されるのではと期待しています」と話す。
今後の増便に関しては、「貨物の需要はあるため様子を見ながら検討していきたい」とのこと。なお、10月からのホノルル線増便は、「日本からの渡航に関しては陰性証明の提示などはありますが入国制限はないため、比較的渡航しやすいと考えています。観光目的で気軽に訪れることは難しいですが、それ以外の人の動きの増加が確認できていると同時に、貨物需要が非常にあるため、増便で対応していくことが重要だと考えています」と語った。
今後の展開については、「ウィンターダイヤは未発表ですが、機体の導入に合わせ順次路線と便数も増やしていく予定です。コロナのトンネルを抜けたら、ぜひご利用いただければ」とした。
同社広報担当者にも話を聞いたが、ボーイング 787-8型機を利用した貨物輸送で物流に貢献し、日本とシンガポールを行き来できる日を見据え、常に乗客を迎える準備をすることが重要であるという。
シンガポール在住の日本人は非常に多く、コロナ禍でも移動の必要性があり、インフラとしての役割を担うと同時に、コンテナ船の滞りや飛行機の減便の影響で貨物を輸送する便が枯渇状態ゆえ、物流に貢献したい部分も大きいとのこと。
ホノルル線の10月増便に関しては、コロナ禍でも現在約15~20%の利用があるが、週1往復ゆえに次の便まで8日間の滞在が必要となるため、利便性を上げるために増便を決定した。
また、他路線同様に貨物のニーズが非常に高く、ハワイ経由で北米、アメリカ本土へ向かう荷物も多いという。さらにに9月~10月は現地の学校が始まり、留学生など学生利用も増加。片道のみのリーズナブルな価格が好評で、ホノルル経由でフェニックスやアリゾナ方面に向かう利用者も多いとのことだった。