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光秀は逆臣か名君か。JR西日本「ちょこっと関西歴史たび 知られざる善政の名君 明智光秀」始まる。現存する貴重な一次史料の展示も
2020年10月6日 17:16
- 2020年10月1日~12月27日 開催
JR西日本(西日本旅客鉄道)は、ちょこっと関西歴史たび「知られざる善政の名君 明智光秀」キャンペーンを実施する。期間は10月1日から12月27日まで。
「ちょこっと関西歴史たび」とは、JR西日本が2013年度春から四季ごとに開催しているキャンペーンで、今秋はNHK大河ドラマの主人公である戦国武将・明智光秀を取り上げ、大津市、福知山市、亀岡市の3市で展開する。そのキャンペーン開始にあたり、福知山城内で報道関係者向けの内覧会が行なわれた。
ちょこっと関西歴史たび「知られざる善政の名君 明智光秀」キャンペーン
期間: 2020年10月1日~12月27日
開催地: 大津市、福知山市、亀岡市
Webサイト: 知られざる善政の名君 明智光秀
福知山エリアのキャンペーン概要
1.明智光秀重要資料特別展示
福知山城公園内・佐藤太清記念美術館2階に期間限定でオープンしている「福知山光秀ミュージアム」では、美術館という特徴を活かした見せ方で、光秀をはじめ信長、秀吉といった戦国武将に関する一次史料を10期に分けて展示する。目録は「福知山光秀ミュージアム」公式サイトの「特別展示資料目録」を参照。
また、「光秀ナイトミュージアム」として、実施日限定、各日20名限定で、開館時間を延長して学芸員が資料などの展示説明を行なう。
福知山光秀ミュージアム
会場: 京都府福知山市字岡ノ32-64 2階
アクセス: JR福知山駅から徒歩約15分
会期: 2021年1月11日までの毎日、9時~17時(受付16時30分まで)
料金:
大人500円、子供(小中学生)250円
福知山城とのセット券は大人700円、子供300円
Webサイト: 福知山光秀ミュージアム
2.明智光秀の判物限定公開+坐禅体験
臨済宗妙心寺派の禅寺・天寧寺は足利義持ら将軍家の帰依を得て栄え、南北朝期から江戸前期にわたって多様な文書が遺存している。今回は、光秀の判物(はんもつ)の貴重な原本を特別に公開。原在中の手による天井雲龍図が見事な薬師堂も見学できる。澄んだ空気のなかで坐禅を体験したあとは、隣接する「京都大呂ガーデンテラス」で旬の素材を使ったミニ会席がいただける。
会場: 天寧寺(参加者は福知山駅に集合)
実施日: 2020年10月3日、10日、14日、21日、11月7日、14日、19日、26日、12月5日、12日の10時~14時
定員: 各日25名(10日前までに要予約)
料金: 4000円
3.福知山ナイトツーリズム~福知山の夜をあそびつくす~
福知山城の全域を舞台に、明智光秀が取り組んだ治水対策を中心に、福知山市の歴史、文化などを大規模なプロジェクションマッピングで演出する。また、10月10日、17日、24日には城下町周辺で限定イベントも開催。
会場: 福知山城、城下町周辺
実施日: 2020年10月1日~11月3日の18時~21時
4.甲冑体験+マイお茶缶づくり体験
大正元年(1912年)創業で福知山唯一の日本茶専門店「山城屋茶舗」では、「甲冑体験+マイお茶缶づくり体験」を提供する。店主が天馬手作り甲冑隊の隊員であり、また福知山には体験イベントが少ないことから実現したという。甲冑は本格的な見た目だが軽量プラスチック製で、1分程度で簡単に着付けできる。サイズも豊富なので、ファミリーでの甲冑隊編成もできそう。また、山城屋茶舗は福知山城が見えるロケーションのため、城バックの記念撮影もできるとのこと。
「マイお茶缶づくり体験」は、アルミ缶に10種類ほどの柄が用意された和紙を貼るというもので、世界に1つの自分の茶缶づくりが楽しめる。ハサミが使える年齢なら子供の参加も可能とのことで、お茶の香りに満ちた店内でのお茶缶づくりは心からリラックスして楽しめそうだ。なお、地元の「ふくちやま茶」は宇治茶として流通するため一般的になじみが薄いが、その実は上質の玉露。その福知山産玉露の茶葉もプレゼントするとのこと。
会場: 山城屋茶舗京都府福知山市字内記71
アクセス: JR福知山駅から徒歩約10分
実施日: 10月~12月の毎日、9時~17時
料金など: 甲冑体験は無料、マイお茶缶づくりは福知山産玉露の茶葉20g付きで1500円(前日までに要予約、1回につき最大6名)
Webサイト: 山城屋茶舗
「麒麟がくる」時代考証担当・小和田哲夫氏による「明智光秀の生涯と丹波・福知山」
「福知山光秀ミュージアム」では、「明智光秀の生涯と丹波・福知山」に関する展示を実施中。最新の調査研究に基づいた新たな視点で2020年大河ドラマ「麒麟がくる」の時代考証を担当した、静岡大学名誉教授の小和田哲夫氏が監修したもので、福知山ならではの明智光秀を発信する。
フロアは大きく6つのエリアに分かれており、光秀の生涯や丹波地方、福知山とのかかわり、光秀の実像、そして大河ドラマのストーリー紹介などを展示している。
なお、明智光秀の時代から現存する重要資料も展示されており、その数はのべ100点にもおよぶ。会期中はこれらを10回に分けて展示するそうで、内覧時には明智光秀の判物のほか、織田信長の書状や、徳川家康が織田信長に献上した天国長刀(銘 駿州嶋田住義助作)、信長公記(しんちょうこうき)などのいずれも原本が展示されていた。報道関係者も撮影禁止のためここで紹介することはかなわないが、その貴重な資料は一見の価値があるので、ぜひその目で確かめていただきたい。
また、今回紹介した福知山城公園、福知山光秀ミュージアム、光秀を祀る御霊神社、山城屋茶舗、そして光秀の善政を物語る治水事業の成果「明智藪」など、いずれも徒歩圏内にまとまっているため、散歩気分で見て回ることができる。福知山城公園に隣接するゆらのガーデンには駐車場もあり、休憩がてらお土産の購入や食事も楽しめる。光秀ゆかりの名所をゆっくりと散策しながら、知られざる光秀の実像に触れてみてはいかがだろうか。
主催者「大河後も福知山に来ていただけるようなキャンペーンに」
内覧では主催者を代表して、JR西日本 執行役員 福知山支社長の漆原健氏があいさつ。大河ドラマをきっかけとして、年明けから多くの観光客が福知山を訪れたが、その後のコロナ禍により大幅な減少に転じたこと、ただし最近は同社管内では北近畿エリアが最も回復してきていることなどを説明。
今回のキャンペーンについては、「世間では逆臣のイメージがある明智光秀公ですが、戦国一の智将として領民に慕われ、善政を敷いた名君だとしっかりと伝わるような企画にしたい」という。「そんな光秀公を通じて、福知山の魅力をより多くの方々に知っていただき、お楽しみいただけるように、非常に魅力的なコンテンツをご用意することができました」。JR西日本と福知山支社ではパンフレット、ラッピング列車、駅長お勧めプランなども用意している。漆原氏は、「大河ドラマが終わったあとも、四季ごとに違った魅力がある福知山にまた来たいと思ってもらえるようなキャンペーンにしていきたい」と結んだ。
福知山市長の大橋一夫氏は、今回のキャンペーンについて「明智光秀の判物(はんもつ)が遺されている天寧寺、高品質なふくちやま茶を提供する日本茶専門店の山城屋茶舗などの協力により、福知山でしか体験できない特別なプランを企画しました」という。大橋氏によると、福知山にとって明智光秀は善政を敷いた良君であり、市民に親しまれている存在だという。そのため福知山市としても、「大河ドラマ『麒麟がくる』の放送を機に、(全国の皆さまに)反逆者のイメージを払拭していただき、新しい光秀像を知っていただきたい」そうだ。
あわせて、「この福知山城の天守閣からの絶景や、光秀公を神として祀る御霊(ごりょう)神社、食では肉やスイーツなど、ここだけの歴史や食文化を体験していただければ」「10月1日から、福知山城や福知山の街を舞台に『福知山イル未来と2020』により、プロジェクションマッピング『明かき光』、あるいはナイトツーリズムもはじまります」と説明した。