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首都高、3号渋谷線・渋谷入口(下り)を事前公開。12月19日2時開通

東名方面・中央環状線へのアクセス向上

2019年12月10日 報道公開

2019年12月19日2時 開通

首都高速3号渋谷線(下り)に新設される渋谷入口

 首都高(首都高速道路)は12月10日、首都高速3号渋谷線(下り)に新設する「渋谷入口」を現場公開した。渋谷入口の開通は12月19日午前2時を予定している。

 これまで3号線の下り方面は都心環状線から分岐する「谷町JCT(ジャンクション)」から先は「池尻入口」まで乗り口が存在しなかった。そのため、渋谷や青山一帯から首都高を利用する場合、混雑の激しい渋谷駅周辺を一般道で通過するか、または遠回りになるが都心環状線(C1)「飯倉入口」や2号目黒線「天現寺入口」を利用する必要があった。

 だが、渋谷入口が開通すればこの問題が解消されるほか、入口直後の「大橋JCT」を経由することで中央環状線(C2)を利用できることから、埼玉や神奈川、羽田方面へのアクセスも向上することになる。

 同事業は2016年4月に工事着手し、この12月に完成。総事業費は69億円。この区間の通行量は上下合計で平日7万台/日となっており、開通後の渋谷入口は同4600台/日の利用が想定されている。

 一方、現状同7000台/日の利用がある池尻入口は減少する見込み。同路線では大橋JCTを先頭にした渋滞が発生しているが、開通により若干の通行量増加を見込んではいるものの、大きな変化は見られないと想定されている。

首都高速道路株式会社 東京西局プロジェクト本部 本部長 高橋三雅氏

 現場公開を前に行なわれた概要説明には、首都高 東京西局プロジェクト本部 本部長 高橋三雅氏、東京西局プロジェクト本部 更新事業部長 波津久毅彦氏が出席。最初に登壇した高橋氏はあいさつとともに、「渋谷駅周辺、六本木界隈から郊外方向へのアクセスが高まる」と前置き。「都心方向、下り方向ともに入口出口が4つ揃う」ことで「ルート選択の幅が広がる」ほか、「所要時間の短縮が期待される」と開通の効果を説明した。

 また、同社では2015年に中央環状線の全線開通以来、同路線の機能強化事業を進めており、2018年に堀切・小菅JCT間、板橋・熊野町JCT間の4車線化による道路容量増、この12月には小松川JCTを新設。こうした一連の事業により「中央環状線がさらに使いやすく、便利になる」と述べた。

渋谷入口が開通
開通によりアクセスが向上
ルート選択の幅が広がる
渋谷駅周辺の渋滞を緩和
中央環状線の機能強化事業

 続いて波津久氏が事業概要を説明。渋谷入口について2014年12月に都市計画が決定し、それから約5年、着手から3年半を経て開通、「渋谷駅周辺から都心方向、郊外方向どちらでもアクセスが可能になる」と紹介。ただし、その建設にあたっては「3号渋谷線、六本木通り、青山通り、3つの主要な幹線道路に挟まれた非常に狭隘な土地」であることから、六本木通りの渋谷方向を3車線から1車線減らして入口化。こうして捻出した300mの区間に渋谷入口を作ったと説明した。

首都高速道路 東京西局プロジェクト本部 更新事業部長 波津久毅彦氏

 また、渋谷駅周辺がすり鉢状の地形となっていることから、料金所区間(約50m)、擁壁区間(約150m)、高架区間(約100m)と、複雑な構造であることを紹介。加えて料金所部分に7mの幅員が必要なことから、高速の本線上に3mの張り出し部の設置が必要となり、「鋼製の型枠を作成」「道路から本線方向へ3m押し出し」「コンクリートを打設」と、首都高速としては初の事例となる工事を行なったことを明かした。

 こうした工事を行なったうえでもスペースが限られることから、通常2レーン2ブースとなる料金所を1レーン1ブースとするとともに、収受員用ブース配置の工夫などにより、管理車両や緊急車両の駐車スペースを捻出。緊急時などのレーン閉鎖を極力回避できる構造とした。それでも、機器の定期点検が必要なことから一時的なレーン閉鎖は避けられず、「毎月第2日曜日の夜間に定期点検による通行止め」があることを説明。利用者の理解を求めた。

1964年の首都高速整備状況
昭和30年代の首都高速3号渋谷線
昭和40年代の首都高速3号渋谷線
昭和40年代の首都高速3号渋谷線
首都高ネットワーク整備の変遷
中央環状線の機能強化
完成イメージ
周辺地図
渋谷駅周辺の上下線に出入口が整備
郊外方向だけでなく中央環状線により南北方向にもアプローチ可能
羽田空港へのアクセスが向上
渋谷駅周辺の混雑を回避
渋谷入口周辺図
全体構造
事業概要
中央環状線の機能強化
渋谷入口の位置
全体構造
工事概要
料金所施設などのため本線上に3m張り出す構造を採用
鋼製型枠はひとつあたり4.8m×2.0m。これを28個使用している
1レーン1ブースの変則的な料金所となる。首都高速では羽田入口に次いで2例目
定期点検に伴う通行止めが毎月実施される

首都高 3号渋谷線 渋谷入口(下り)工事現場

渋谷2丁目交差点。右奥が渋谷駅方向になる
渋谷2丁目交差点付近の状況
道路レベルから見た渋谷2丁目交差点。首都高速3号渋谷線は交差点の下を通っている(青山トンネル)
渋谷入口には各方向からのアクセスが可能
料金所部分。本線上に張り出しているのが分かる
1レーン1ブースの構成。手前から機械室、管理車両駐車スペース、生活室、収受室となっている
鋼製型枠を押し出して架設
全体構造
入口全体
ブースまわり
料金所のバーは短いタイプ
料金所の先にも管理車両駐車スペースがある
流入レーン。周辺地形の制約から下って登る構造となっている
夜間通行止めの掲示