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JAL 韓国支店長 栗原宏和氏に聞く「成田~釜山線の40年とこれから」

2019年7月2日 実施

日本航空株式会社 韓国支店長 栗原宏和氏

 JAL(日本航空)は7月2日、成田~韓国・釜山線の開設から40年を迎えた。

 同社の釜山路線は、1967年9月2日に福岡~釜山線、1971年4月2日に大阪~釜山線、1979年7月2日に成田~釜山線、1991年4月26日に名古屋~釜山線を開設しており、福岡線就航から数えると52年の歴史を持つ。現在、名古屋/大阪/福岡線の自社便はいずれも運休しており、成田線のみを1日2往復で運航している。

JALの成田~釜山線(2019年3月31日~8月31日)

JL957便: 成田(10時50分)発~釜山(13時05分)着、毎日運航
JL969便: 成田(18時20分)発~釜山(20時35分)着、毎日運航
JL960便: 釜山(07時45分)発~成田(09時50分)着、毎日運航
JL958便: 釜山(14時10分)発~成田(16時15分)着、毎日運航

 そんな釜山線の現況について、JAL 韓国支店長の栗原宏和氏に話を聞くことができた。

――成田~釜山線の乗客の割合は。

栗原氏:乗客のおよそ35%が日本人、残り65%が外国人です。また、あまり厳密な数字ではありませんが、30%程度がビジネスユースで、70%程度は観光目的の利用者です。釜山から成田で乗り継いで北米に向かう人が多いのも特徴ですね。

 乗客全体の20%ほどが乗り継ぎの利用者なのですが、例えば北米西海岸に向かう場合、釜山に住む人からすると、仁川(ソウル)に向かうより成田へ向かう方が(進行方向的に)便利だからでしょう。

 弊社は中期経営計画で海外販売比率を50%以上にすると掲げており、海外のお客さまにも選んでいただけるグローバルな航空会社を目指しています。成田~釜山線はすでに65%までになっていますが、逆に日本のお客さまにもソウルだけでなく釜山の魅力を知っていただきたいですし、もっと伸ばしていけると思います。昨今、両国の政府間は厳しい状況にありますが、そうした部分を乗り越えるには人の行き来が大切ですし、我々はそのお手伝いができるはずです。

――LCCとの競争について。

栗原氏:競争は大変です。正直、乗っていただく数は昔より少し減っています。ただ、成田で別のJAL便に乗り継ぐといった際の利便性には優位がありますし、ある程度以上の年齢の方にはフルサービスキャリアのサービスが受け入れられていると感じます。

 ただ、この競争に日本人スタッフだけでは対応できません。やはり現場のスタッフ、特に韓国人のスタッフの意見やアイディア、自発的なアクションに頼るところが大きく、今後ますます大事になっていくと考えています。

――大韓航空とのコードシェアの効果は。

栗原氏:(2018年12月から)相互にマイル積算ができるようになったため、韓国のお客さまに「ダイヤが合えばJALに乗っても大韓航空のマイルが貯まるんだ」と認識してもらえるようになりました。大韓航空とは50年来の付き合いで、アライアンスは異なりますが、一緒にイベントに出展したりといったよい関係を築いています。

――機内食について。

栗原氏:釜山発は大韓航空のケータリング会社に依頼しています。ただ、午前便では朝早くに用意しなければならず、(保冷しておいた)サンドウィッチを提供するということになるのですが、韓国では温かいものを食べる習慣があるので、「コーラを飲みながら冷たいサンドウィッチを食べる」といったアメリカ式の食事はあまり受け入れられません。そこで、JALの国内線でも提供している温かいコンソメスープを用意しています。これはスタッフの発案で、当初はなじみがないこともあって「ちょっとしょっぱいね」というご意見もあったのですが、最近では定着してきたのか、「コクがあっていいね」というお声もいただけるようになってきました。

――短い飛行時間のなかで機内食を提供しているが、どんな工夫があるか。

栗原氏:機内は安全が第一です。天候の状況によってはサービスに十分な時間を割けないこともあり得ます。ですが、そのなかでも喜んでいただけるように、例えば「サンドウィッチの中身を工夫してもっと美味しくできないか」といったことを大韓航空と相談したり、短い時間で機内食をどう効率よく提供するかといったアイディアの改良に務めています。

――次の10年に向けて展望は。

栗原氏:40年間お客さまに支えていただいたというのはとても重いものだと思います。我々はそれを受け継いでいかなければなりません。韓国のお客さまが何を求めているのかというのは時代によって変わってきますが、日本を訪れるときに日本航空を選んでいただけるように、サービスやネットワークなどきめ細かく改善を進めていきたいと考えています。