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Spring Japan、ブランドを「SPRING」へ統一。4月25日に通常運賃5100円からの成田~寧波線を開設
4月15日まで成田~寧波線が3999円からのセール実施
2019年4月10日 19:57
- 2019年4月10日 発表
Spring Japan(春秋航空日本)は4月10日、新ブランド「SPRING」の立ち上げを発表し、一連の新規取り組みを発表した。併せて、就航を予告していた成田~寧波線について、4月25日より週4便で就航ことも発表。航空券の発売を開始した。
会社名である「春秋航空日本」と、その英語表記である「Spring Japan」という2つのブランドを併用してきた同社だが、今後、ブランドとしては「SPRING」に統一して展開を図る。同日、本件に関する記者会見を都内で実施した。
会見であいさつした、同社 取締役会長 春秋航空日本株式会社 取締役会長 ワン・ウェイ(王煒)氏は、オリコンによる調査で、LCC国内線で2年連続(2016年と2017年)顧客満足度1位を獲得したことなどを挙げ、「これからも顧客満足度をさらに高め、企業としてより発展するために次の経営計画を議論してきた」と、ブランド刷新が2019~2021年度の中期事業計画の実現に向けた取り組みであることを説明。
その企業として目指す姿としては、整備を含めた包括的連携を締結しているJAL(日本航空)と連携した高い安全品質、「当社の強み」とワン氏が語る「笑顔とおもてなしの追求」、顧客が新しい旅を作れるようITの積極的な活用、多種多様な社員が誇りを思って業務できる企業作り、そして国際線における日本一のLCC、といった目標を掲げている。
この国際線における日本一のLCCという点について、同社代表取締役社長 樫原利幸氏は「中国路線は伸びる余地があり、当社は路線を開設するうえでの優位性もある。一番になるポテンシャルを持っているという自負がある」と自信をのぞかせた。
また、中期事業計画終了年度である2021年度の黒字化を目指すとしており、「2018年度は安全体制構築のため路線を縮小していたが、2018年6月にJALに整備を包括委託した。2019年度は赤字額を半減させ、2020年度には少なくともトントン、その先(2021年度)に黒字化と考えている。(後述の寧波線なども含め)新規就航計画を成し遂げられれば、実行可能だと考えている」との見込みを語った。
同社のロゴマークは3つのSを組み合わせたデザインとなっており、これは経営上のブランド価値として「Safety(安全)」「Sincerity(誠意)」「Smile(笑顔)」の3つを土台とすることを表わしており、「3Sを愚直にすべての行動指針としていく」(ワン氏)の方針は変わらない。
ただ、上記の目標を達成すべく、新たに顧客視点に立って、顧客を笑顔にさせることを表わす「Smile」、“心躍る新たな旅の価値作り”を表わす「Swing(躍る)」、そして顧客満足を実現するための「Spring(飛躍)」を組み合わせた「3S」を設定。
とくに「Spring」は、春という意味だけでなく、飛躍などの意味があり、さらに中国人から見た日本の和などのイメージも感じ取れるという。そこで、この「SPRING」をブランドとして打ち出し、さらに新たなタグラインとなる「SMILE! SWING! SPRING!」のキャッチコピーを通じて、同社が顧客に感じてほしいポイントを示していく。
このブランドリニューアルにより、機体デザインは、これまで胴体上部に「SPRING AIRLINES JAPAN」、胴体下部に「春秋航空日本」と描いていたが、胴体上部に大きく「SPRING」と描き、下部に小さめの「JAPAN」の文字を添えるデザインになる。
また、Webサイトも「SPRING」を前面に打ち出し、新たな旅の提案の場としても活用できるようリニューアル。チェックインカウンターについても、順次「SPRING」ロゴを中心としたものに刷新していく。
4月25日に「寧波」に新規就航。成田空港の運用時間延長や「朝発ボーナス」活用
このブランドリニューアルとともに、就航を予告していた成田~寧波線の開設について、4月25日から週4便で運航することを発表。90%の搭乗率を目指す。2019年夏期スケジュール期間の運航ダイヤは下記のとおり。
SPRINGの成田~寧波線(2019年4月25日~10月26日)
IJ101便: 成田(08時30分)発~寧波(10時50分)着、火・木・金・日曜運航
IJ102便: 寧波(11時50分)発~成田(15時50分)着、火・木・金・日曜運航
航空券は4月10日14時に発売。通常は片道5100円からだが、新規就航に際して、4月15日12時まで片道3999円から(諸税、空港使用料など別途)の記念セールを実施している。搭乗日は4月25日~10月26日が対象で、座席数限定での販売となる。
この成田~寧波線は、成田空港の機能強化を活用した中国路線展開という点に特徴がある。NAA(成田国際空港)は、4月1日から着陸料の減免制度である「成田ハブ化促進インセンティブ」を拡充し、国際線で6時~8時59分発、国内線で6時~7時59分発の新規就航便を対象に、最大3年間、着陸料を無料もしくは半額とする「朝発ボーナス」制度を立ち上げた。成田空港として新規の路線となる場合は3年間無料、ほかの航空会社による路線はあるが航空会社として新規の路線となる場合は半額となる。
Spring Japanのワン氏は「朝発ボーナスでコスト削減でき、これをお客さまに還元される」と話す。具体的には、成田を8時30分に出発し、かつ成田空港にとっても初めての就航地となることから、着陸料を3年間無料化。NAAの試算では、ボーイング 737-800型機でデイリー運航した場合、通常、着陸料は3年間で約1億5000万円になるという。
さらに、2019年冬ダイヤから夜間運用時間が23時までから24時までへと1時間延長することや、22時~23時に設定されている便数の制限緩和で、成田空港と地元自治体が合意したことを踏まえ、Spring Japanでは「夜間にも機材を活用して中国路線拡大を図りたい」(ワン氏)との方針を掲げている。
その具体的な運用例として、現状の国際線は1機が往復して1日が終わる状況だが、夜間の運用時間拡大によって、夜に成田空港を出発し翌朝に成田空港へ戻る中国への往復便を設定したり、国内線で運用している機材を夜間のみ中国往復に利用したりといった例を挙げる。
同社社長の樫原氏によると、現状はボーイング 737-800型機を6機を保有し、定期便は5機で運用。各機は1日6~7時間程度の稼働時間とのことで、夜間にも利用することで稼働率を高め、6機がフル稼働するような状況を作り出したいとしている。
一方、この「朝発ボーナス」を提供するNAAからは、取締役の荒川武氏が会見に同席。国際線発の活用事例となったことを紹介し、早朝発着枠を航空会社が活用することに期待を示す。朝発便の成田空港へのアクセスについても公共交通機関で都心などから間に合うほか、前日夜から滞在できるような取り組みも進めている。
この朝発ボーナスや、2019年冬ダイヤからの夜間発着の制限緩和について、「1日を通じて機材を稼働させられるようになり、成田空港におけるLCCのさらなる拠点化につながる」と述べるとともに、利用者視点では「朝発、夜発が増えることで柔軟な旅行プランが組めるようになると思う」との期待を示した。
一方で、夜間の到着については、最終列車が23時台となっていることが課題であるとの認識を示し、「現状も弾力運用で24時までフライトできる。航空会社からバス会社に確認していただくというスキームはあるが、現実的にはうまくいっておらず、始発まで空港に滞在せざるを得ないことがある。NAAとしても交通機関と話をしていきたいし、現実、空港機能強化もあるので話をしている」と、解決に向けた協議を行なっているという。
また、中国からのインバウンド旅客が年平均で44.8%の成長となっていることなどを挙げ、中国路線に対する期待も示した。成田空港からは現在、中国22都市、寧波線で23都市と結ばれることになるが、関空(関西国際空港)やセントレア(中部国際空港)のみ就航している中国の都市が16都市(寧波を除く)あり、そのほとんどは、Spring Japanが運航するボーイング 737-800型機で就航できる範囲にある。荒川氏は「中国の実質的なオープンスカイを働きかけ、1つでも多くの都市就航につなげたい」と誘致に取り組む姿勢を示した。