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日本旅行業協会、“赤本”こと改訂版「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」発行。全国で説明会も

2018年12月13日 実施

改訂版の「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」に着いて説明した一般社団法人日本旅行業協会 法務・コンプライアンス室マネージャー 中島一則氏(左)と法務・コンプライアンス室長 堀江眞一氏(右)

 JATA(日本旅行業協会)は12月13日、定例会見を開催し、改訂版の「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」を発行したことを説明した。

「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」は、その名のとおり旅行業者が広告と取引条件説明書面を制作する際の書き方・ルールについてまとめたもの。店頭のちらしやパンフレット、新聞広告には目的地や渡航手段、宿泊先、価格などが表示されており、旅行商品を購入すると、催行条件やキャンセル条件などを記した契約書が手渡される。こうした文面は旅行業者が自由に作成してよいわけではなく前提として法令や通達があり、JATAが発行する本ガイドラインはパンフレット制作担当や仕入れ担当に向けた参考書になっている。本書はその赤い表紙から、業界では通称「赤本」と呼ばれている。

 改訂内容について説明したJATA 法務・コンプライアンス室マネージャーの中島一則氏は、前回の改訂が2005年9月で約13年ぶりの改訂になったと話す。これまでも追補版をPDFなどで配布してきたが、高速バスの事故やてるみくらぶの破綻、民泊について規定した住宅宿泊事業法(民泊新法)など業界で大きな変化が続いたため、改訂版の発行に踏み切ったという。

 本文に編入した追補版には、例えば「貸し切りバス運行会社の表示対応」や「前受金の適正な表示」などが挙げられる。以前から航空や鉄道の運行会社の表示はしていたものの、バスについては取り決めがなかった。しかし、夜間高速バスの事故が相次いだことを受けて、観光庁の通達などにより、バスの運行会社についても書面で表示するようガイドラインが変更されている。

 後者は2017年3月のてるみくらぶの破綻を受けたもので、同社は旅行の半年~1年前といった早期に旅行代金の全額を収受していたため、破綻後に多くの利用者が旅行に行けない、全額の弁済を受けられないといった事態を招いた。このため、過度な早期に多額の前受金を利用者から収受しないよう「60日前20%の原則」(海外旅行の場合)が新たに設けられており、こちらもガイドラインに盛り込まれている。

 また、住宅宿泊事業法の施行を受けて、民泊施設を旅行事業で扱う場合は宿泊機関名の表示部分で「民泊」「住宅宿泊」と記載するようにガイドラインが示されている。このほか、2017年に改正された個人情報保護法や2016年に施行されたいわゆる障害者差別解消法などについても、文章例などで対応しているという。

 前回の改訂時は194ページだったところ、今回は229ページとかなりボリュームが増えているが、本文の文字は全体的に小さくなり、ページあたりの情報量も増えている。中島氏は、「細部の表現などをより噛み砕いており、実質全面改訂と言えるもの」と説明した。

 JATA正会員に対してはすでに「じゃたこみ12月号」に同梱して配布済みで、2019年2月以降にJATAのWebサイトでPDFでダウンロード可能になるとのこと。紙版は1冊824円で販売する。また、JATAとANTA(全国旅行業協会)は、会員向けに共同で改訂版赤本の説明会を全国主要都市で実施する。参加費は1人500円(赤本1冊付き)で、JATA会員向けページから申し込みを受け付けている。

改訂版「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」説明会

2019年1月15日:東京 全日通霞が関ビル(満席)
2019年1月25日:札幌 北海道経済センター
2019年1月28日:大阪 エル・おおさか
2019年1月30日:名古屋 名古屋ダイヤビルディング
2019年2月6日:那覇 沖縄県青年会館
2019年2月14日:東京 全日通霞が関ビル
2019年2月19日:福岡 天神クリスタルビル

改訂版「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」