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JTB、新商品説明会。2019年の注目旅行先はハワイ。高頻度利用者向けのステータス制度も導入
10連休の2019年GWの予約は前年比250%
2018年12月10日 20:15
- 2018年12月7日 発表
JTBは12月7日、2019年度上期に発売する新商品や2018年度の市場概況、今後の取り組みについて説明会を行なった。
2019年度の注目旅行先にはハワイを挙げ、新商品としてはヨーロッパ発着のバス旅を多数用意した「ランドクルーズJTB」を発表。また、シニア層向けの「JTB心ゆく旅」をリニューアルしたことも紹介した。
2018年度の旅行者数は堅調に推移
最初に常務執行役員である生田亨氏が登壇し、2018年度の旅行業界の概況と2019年度の想定について説明が行なわれた。
2018年度については、航空座席の供給数は旺盛なインバウンド需要が物語っているように大きく増加。また、長らくテロによる影響があったヨーロッパにおいても、ビジネス、レジャー需要ともに堅調に推移していることを挙げた。加えて、日本からの出国者数も4月から9月の数字を見ると前年比で106%の伸びを示し、これについてはインバウンド増による路線の増加とLCCの拡大によるところが大きいのではないかと述べた。
不安定要素としては、日本からの旅行先として大きなマーケットであるハワイ州のハワイ島において5月に起きた噴火、北朝鮮問題によるミクロネシアへの航空座席供給数の減少、日本国内の台風や地震による自然災害を挙げた。ハワイ島の噴火については現在は鎮火しているので市場は戻りつつあるが、噴火前までは戻れきれていないとのこと。ミクロネシア方面の減少については、下期からは航空各社が座席供給量を戻しており、また同社も含めてチャーター便を伸ばしたこともあり、下期は対前年比で約140%と回復傾向にあると語った。
オーストラリアにスポットを当てたキャンペーンとオンラインブランドの立ち上げ
次に同社が2018年度に手掛けた事業について説明した。2018年度の「グローバル・デスティネーション・キャンペーン」に選定したオーストラリアにおいては、政府観光局をはじめとした現地旅行会社と多くのコンテンツを開発したが、なかでもチャーター便を専業とするアライアンス航空と独自チャーター契約を結ぶことでオーストラリア国内の飛行機による移動を確保できたことが大きいと説明。
オーストラリアの国内線フライトは予約と同時に買い取りという制度が多くなっており、日本からのパッケージ旅行が難しい状況となっていた。特に注力したのはオーストラリアの中心に位置するウルル(エアーズロック)で、前記のアライアンス航空が用意するチャーター便を利用することで、ダーウィンやゴールドコースト、ブリスベンといった都市から多くの旅行客を運ぶことができたとしている。また、JAL(日本航空)やカンタス航空とのチャーター直行便を用意することで魅力的なツアーが造成できたと話した。
そして現在は、旅行需要の伸びとともに飛行機の座席確保が難しくなってきているのが課題であり、同社はチャーター便の用意や、座席の買い取りにも注力している。現在の見込みでは、2018年度は26万席になるだろうと話した。ヨーロッパ方面に加え、ミクロネシアにも注力し、アジア方面ではフーコック島やダナン、チェンマイといった都市にもチャーター便を飛ばすことで需要を喚起したいとし、「JTBがこの航空市況のなかで生き残っていくための重要な要素になっていくと思うので、自らリスクを負って需要を作っていく活動をさらに推進していきたい」と語った。
同社の今年の大変革としては、グループ15社を同社に1本化することで「造成」「仕入れ」「販売」が一体となって顧客に対応するべく、ステージ制を導入したことも大きなトピックスとして紹介した。
このステージ制は、顧客の利用状況に応じて「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の3ステージが用意され、上級ステージであればパンフレットに掲載していない内容でもアレンジを対応するという。
そのほか、FIT(Foreign Independent Tour:海外個人旅行)型の新商材として「ダイナミックJTB」を立ち上げ、ルックJTBの添乗員同行コースに現地から参加できる「現地集合パッケージ」も新設した。ダイナミックJTBはノンパンフレットのオンライン販売にすることで、ホテルや飛行機を時節に合わせた魅力的な価格で多くのラインアップを用意することができ、飛行機の座席が発売される300日前にも対応することで早期に需要が獲得できるとしている。
2019年度はGW10連休を含め旅行需要はさらなる伸長を予想
2019年度については、市場は引き続き堅調に推移していくと予想。その理由としては、国策として2020年までにインバウンド4000万人、アウトバウンド2000万人、合計で6000万人の需要を想定して空港や港湾を整備する方針であることから、出国者数も相応に伸長が見込めるとしている。
そして、GWの10連休と年末年始(2019~2020年)の9連休が控えていることから、大きな旅行需要が見込まれている。現在のところ、GW10連休について同社では前年比250%で推移しており、さらにアジア方面の商品も直近に販売が開始されることからさらに数字は伸びるのではないかとしている。また、キャンセル待ちが8000人に上っていることからも、それに応えるべく仕入れや買い取りを強化して追加商品を発売したり、チャーター便を使った商品を展開したりする予定があるとのことだ。
年末年始については、立ち上げたダイナミックJTBの関連商品を3月から販売開始。時流にマッチした便利さと同社の安心と安全のブランドで訴求していく方針であると語った。不安要素としては、燃油変動の影響や米中をはじめとした国際情勢は引き続き注視が必要であると話し、10月には消費税アップも控えていることから消費マインドへの影響もある程度の懸念材料として挙げていた。
注目旅行先にはハワイを選定して取り組みを強化
同社の2019年度の新たな取り組みについては執行役員である遠藤氏が説明した。
まず最初に3年目を迎えるグローバル・デスティネーション・キャンペーンにハワイを選んだことを紹介。このキャンペーンは交流人口の拡大をコンセプトととして、コンテンツやサービスなど持続可能な仕組みを作ることで継続的な観光地開発に貢献していくものである。
ハワイにおいては「まだ知らないハワイへ。新しい海時間の過ごし方」をコンセプトに、コンテンツ開発、インフラ投資、コミュニケーション強化による3つの戦略で進めていく。コンテンツについては常に開発をしており、準備ができ次第、商品に反映させるとのこと。インフラ投資については、同社のハワイにおけるサービス「'OLI'OLI」の利便性を高めるとし、具体的にはルアナラウンジのリニューアル、オンライン受付端末やスマートスピーカーを利用した顧客対応などを挙げていた。
そのほか、街中を走る同社のバスには低床バリアフリーの新型トロリーバスや電気バスといった新型車両も導入する予定だ。ハワイにおいてもチャーター便を利用した戦略は進めていく方針であり、6月から9月の期間で直行便が就航していない地方空港から日系航空会社を利用したホノルル行きのチャーター便を現在準備している段階だと説明した。「2019年5月にはANAが大型旅客機であるエアバス A380型機を就航させることから注目されることは必至であり、弊社としてもキャンペーンをして大きく盛り上げていきたい」と話した。
ヨーロッパ方面は周遊観光バスを4月より運行開始
次にヨーロッパについての取り組みを紹介した。現在、ヨーロッパ方面においてはフランスがキャンペーン効果もあって対前年比140%と好調な数字を残しているが、引き続き注力して数字を伸ばしていきたいとしている。イタリアではローマの旧市街地に大型バスの乗り入れが不可となったため、ミニバスを用意して利便性を高めていくと説明した。
ヨーロッパ方面のなかでも特に大きな取り組みとしては、11月に発売を開始した「ランドクルーズJTB」を紹介。このサービスは「海にクルーズがあるように、陸にもクルーズを」をコンセプトにしたヨーロッパ12か国で運行する周遊観光バスで、「航空券なし」「宿泊付き」「観光付き」「現地集合&現地解散」が特徴となっている。バスには日本語が通じる現地係員が同乗し、個人旅行では行きにくい土地やパッケージツアーには組み込まれていない観光名所を巡ることで、FIT志向の顧客ニーズに応えていきたいと説明した。
シニア向けブランドを統合して上質な旅を提供する
そして重要な顧客であるシニア層に対しては、従来の「ルックJTB 心ゆく旅」と「旅彩彩」を統合した「JTB心ゆく旅」でカバーしていくことを紹介。ブランドを統合することでバリエーションを大幅に拡大するとともに、連泊重視の日程、少人数催行を重視し、上質でゆったりとした時間を提供することに注力する。
以前から「ゆっくりと過ごしたい」といった要望は多く寄せられており、そのニーズに応えていくとともに、企画と販売店が一体となって旅行前から旅行後まで手厚くケアをすることでリピーターを増やしていきたいとも語った。
そのほかの地域については、オーストラリアはアライアンス航空とのチャーター便契約があるので、引き続きウルルとハミルトン島コースをGWとお盆の時期に商品として販売。また、世界遺産であるゴンドワナ多雨林にフォーカスしたプランも設定する。アメリカ方面は旅のプロが選んだ「アメリカ大陸 記憶に刻まれる風景30選」をコース化する。
アジア方面は台湾の強化とシンガポールに注力する。グアムについては、「+KOMIKOMI」コースが人気なのでこちらをリニューアルするとともに、航空機の座席供給が不安定な部分があるので、引き続きチャーター便を積極的に活用していきたいとしている。ダイナミックJTBについては、早期に販売できる体制をさらに整えて拡大していく意向だ。